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魚を取り巻く環境変化から考えてみた

経済トピック
2022.07.22

コロナ禍や、今年に入ってから顕著になった地政学的リスクの高まりを受けて、原材料や食品の調達では、以下の傾向がより強まったと言えます。そして、簡単には逆戻りしそうにありません。

 

・国外から国内までの調達距離は、短いほど供給が安定する

・調達のために領土・領空・領海を経由する国は、少ないほど供給が安定する

・日本と良好な関係にある国からの調達のほうが、そうでない国からの調達よりも安定する

・日本国内ですべて調達できる場合は、もっとも安定する

 

例えば海産物についても、日本から遠く離れたエリアで漁業を行い、いろいろな国の領海に隣接するルートを経由して運ぶよりも、日本近海で漁業を行い国内市場に運べるほうが供給が安定します。地政学的なリスクが減ることに加え、値動きが読みづらくなった燃料費など必要経費の変動幅を減らすことができるからです。

 

また、陸に隣接する海や、陸の上で調達できれば、なお供給が安定します。この観点からも、養殖は今後さらに価値が再評価されそうな、有力な方法だと言えます。

 

日経新聞社サイトのウェブで「養殖」をキーワードに検索すると、最も古い公開記事の2010年2月23日~2022年6月30日までで、養殖関連の記事が3,722件出てきます。約12年4か月間で3,722件ということは、1か月あたり平均で約25.1回「養殖」に関する記事があったということになります。

 

そして、今年6月の1か月間で「養殖」に関する記事は、49回確認できました。(概算で正確性は保証できませんが)12年間の1か月平均の推定2倍です。これは、国内調達の観点からも養殖が注目され、関連記事が増えている結果ではないかと想定されます。内容も、魚やカキなど一般的に養殖で思い浮かぶ食品に加えて、コオロギやトノサマバッタに関するものもありました。安定供給の観点から、食品の国内調達・国産に商機を見出すのは、有力な可能性があると思われます。

 

ところで、養殖(特に魚類)にはひとつの壁が存在していると言えます。

それは、「養殖より天然のほうがおいしいという思い込み」です。

 

牛や豚など陸上動物に関しては、「野山を駆け回っている野生の牛豚のほうが、畜産で飼育されている牛豚よりおいしい」と答える人はほとんどいません。同じ理屈なら魚類も同様になるはずですが、そうはいきません。魚類の場合は、多くの人が「養殖場の魚より、自然のままの状態で泳いでいる天然のほうがおいしい」と答えます。「天然」という語感がそう思わせるのでしょうか。

 

しかし、この傾向も、もしかしたら時代と共に変わっていくかもしれません。

小学校に通う息子に協力してもらい聞き取り調査をしてみました。休み時間に、「海を泳いでいる天然の魚と、養殖場で育てている養殖の魚、どっちがおいしいと思うか」と、周囲の友達に問いかけてもらったのです。すると、8割がたの級友が「養殖のほうがおいしいと思う」と答えたと言います。「天然」と答えがちな人が多い大人とは、傾向の違う回答結果でした。(サンプル数・調査方法も不完全なため、一般化はできませんが)

 

実際、養殖業は世界的な成長産業です。水産白書によると、世界で漁業・養殖業生産量に占める養殖の割合は、1980年代以前はほとんどなかったのが、今では50%以上を占めるようになっています。(もちろん、天然魚、養殖魚、それぞれに特徴や良さがあります)

 

別の例で考えると、製造業で工場の国内回帰が進んでいます。「デジタルトランスフォーメーションチャンネル」のサイトによると、工場が国内回帰している理由として、「新興国の所得上昇」「インバウンド需要の向上」「日中間の単位労働コストの逆転」「日本の製造業は依然として薄利多売」の4つを挙げています。

 

単位労働コストとは、ある製品を一定量作るのに必要とする労働コストです。工場の国外拠点の主要地だった中国では、以前は日本より単位労働コストが低かったのですが、今では日本のほうが低くなっているとされます(同サイト等を参照)。この中長期的なトレンドに、今年に入って顕著になった供給リスクの観点も加わり、国内回帰はさらに進みやすくなっていると言えそうです。このことを踏まえると、今後製造業でのさらなる人材難、工業用地の取り合いなどが想定されます。

 

どんな記事が増えているか、あるいは消えているかも手がかりに、

・以前からの中長期的な経済トレンド

・直近の経済環境や既に起こった未来

・直接は見えにくい、人々の価値観の変化

などを総合的に観察することで、自社がとるべきアクションや事業機会のヒントが得られるのではないかと思います。

 

<まとめ>

経済環境における中長期的な変化と直近の重大な出来事から、今後とるべきアクションを考える


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