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社員の退職時のコミュケーションで業務引継ぎ以外に大事なこと

経営のヒント
2022.08.12

社員から「辞める」と伝えられたあとの当人とのコミュケーションはどのようにしていますか。

退職後も現場が支障なく回るための「引継ぎ」だけに注視していませんか。

 

これは重要ですが、それ以外にも大事にしたい点があります。そこが成行き任せだと、①経営上のリスクが生まれる、②「退職」という現象を経営に活かし切れない、ことにもなりかねません。

具体的にはどのようなことが発生し得るでしょうか。

 

■成行きのコミュケーションで発生し得る問題例

杞憂だと思われるかもしれませんが、実際には大なり小なり発生している印象があります。

 

<当人から社内・社外へ>

●本人の業務怠慢

 ー仕事の質の低下、期限や報連相の不徹底

 ー業務や顧客の引継ぎ不足 など

●社内への悪影響・損害

 ーネガティブ情報の社内発信

 ー機密情報の漏洩など不法行為(法律、規程) など

●会社のネガティブ情報の拡散

 ー転職サイトへの書き込み、取引先への流布 など

 

<社内から当人へ>

●業務遂行の妨げ

 ー合理性に欠ける業務割り当てや会議出席の拒否

 ー承認行為や報連相の意図的な拒否・遅延 など

●当然の権利を認めない

 ー有給休暇の取得拒否、福利厚生の利用拒否 など

●周囲による本人への悪評価

 ー立場をおとしめるような風説の流布 など

 

■退職時コミュケーションの留意点

問題発生を防ぎ、なおかつ、退職プロセスを機と捉えて経営上のプラスに変えるにはどうすればよいでしょうか。重要な観点を3つだけ述べたいと思います。

 

①コミュケーション目標を置く

業務引継ぎであれば同僚や上席者が同じく遂行できるようにしておくという明確な目標があり、行うことは「知識・ノウハウの記録や移転」とシンプルです。

他方、前述の問題では、退職に至る経緯や本人の特性、周囲の状況によって大きく変わり、目標やアクションは自明ではありません。たとえば、退職者本人よりも、その周囲や上席者が問題の火種になっていたということも往々にしてあります。

したがって、経営者や管理者は現状を慎重に把握し、目標を置いたうえで具体的に手を打っていく必要があります。経緯はあれど、理想の最後は「やめてよかった」ではなく、「これまでいてよかった」「出身者として、ほかで恥ずかしいことはできない」「彼/彼女がいてくれてよかった」などのポジティブな状態となることではないでしょうか。

 

②アクション指針に「感謝」を置く

前述の問題は、辞める人・周囲の双方に個人的な思惑があるからこそ起きてしまう要素も大きい気がします。逆に言えば、心や考え方の持ち方次第で変わる部分も大きいということです。

両者の関係性がこれまで良好でなかったとしても、「会社を支えてきてくれたメンバーである」との感謝をもって、最後のコミュニケーションをしていきたいものです。

なお、退職予備軍は潜在的にいます。こういう機会での経営層による方針や態度、接し方はおのずと伝わり、連鎖的な退職の抑制にも寄与する気がします。

 

③「辞めるとは足による自社への評価」と捉え、感想・意見を大事にする

辞めることが決まった人は、(次の就業先との対比などによって)自社に対して「外の目」で見ることができやすく、自分達が気づいていなかった問題・課題を指摘してくれるかもしれません。

退職=人が減るという現象面だけを見て、その要因分析をしっかりとしていないこともありがちです。「辞める奴が(一方的に)悪い」とレッテルを張らずに、辞めようとしている人に対してこそ、自社を振り返ってもらって丁寧な聴取などを心がけたいものです。


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