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「当たり前」は当たり前じゃない

今週の「言葉」
2024.10.03

経営陣の方とのお打合せで時々、中間管理職や中堅・若手について、何か特定の言動を日々実践、もっと言えば習慣化できていないことを指して、「○○や△△のような“当たり前”のことができていない」とお聞きすることがあります。
私どもだけに吐露をされ、ご本人達に向けて直接、「こんな“当たり前”のこともできないのか!」とお伝えするのはあまりないのかもしれませんが、1つ気がかりなことがあります。

それは、「自分の“当たり前”は相手にとって必ずしも“当たり前”とは限らない」です。
仰りたいお気持ちはよくわかりますが、組織状態の到達目標を「上意下達で上司の言う通りに動いてほしい」ではなく、「社員が自ら考え、自律的、臨機応変に機動的に動けるようになってほしい」に置くのならば尚のこと、こと社内コミュニケーションおいては、「当たり前」という表現を使いたいのをぐっと堪えて、「なぜ、○○や△△の言動が必要なのか・大切なのか」(理由)を分かりやすく述べていただくのがよいと思います。

これにはいくつか理由がありまして、まず、これはしばしば言われることですが、「理由」への理解・共感が伴わないと相手は「やらされ感」になるかもしれないということ。相手が動くのは、こちらが動かしているわけではなく、相手が自ら決断して、結果、動いているのであって、こちらが求めたい決断結果へと促すために「理由」が大事と思います。
この点に関連しますが、社長・経営陣→中間管理職層→中堅・若手層というコミュニケーションの伝達リレーにおいて、分かりやすい理由を伴っていないとその過程で、もはや「当たり前」という部分も抜け落ちて、「○○や△△をやれ」とだけ伝わり、現場へ行くほど「やらされ感」も助長されてしまうのを危惧します。
次に、「当たり前」は言動を促すための「理由」とは位置付けず、皆が意識せずともできてしまう状態など「結果・到達目標」と位置付けた方がコミュニケーションが生産的になりやすいということ。「これこれは当たり前だから」と上席者から言われると疑問などを差し挟む余地があまりないですが、理由さえ理解できれば、たとえば「○○や△△だけでなく、□□も“当たり前”になるようにしよう」のように開かれたやりとりになるように思います。

ですので、発信元では「当たり前」で済ませずに、ご自身で「理由」をひも解き、言葉を付け足していただきたいと思います。


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