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「平等」と「公平」

知恵のバトン
2024.11.26

「平等」と「公平」。似たような言葉ですが、どう違うか認識されていらっしゃいますか。

「平等」とは、すべての人に対し等しくすることです。職場でいえば、全従業員に一律同じ基準で給与を払う、同じように差をつけず仕事を分担する、同じ勤務体系で統一する、などでしょうか。例えば、同一労働・同一賃金がいわれるように、同じ仕事をしているなら同じ基準で賃金を支払うべきです。また、同じ雇用条件で雇われているなら、雑用やお茶くみなどを性別で役割化させない、というのも「平等」な観点です。「平等でない」ということがどういうことかは今の時代ではさすがに理解が進んでいますし、比較的「平等」の概念は分かりやすく目に見えやすいものといえます。

いっぽう、「公平」とは、一人ひとりの能力や特性を考慮して同じように機会を与えることをいいます。「平等」においては、対象の人が同じスタートラインに立っている前提で同じように扱うイメージですが、「公平」はそもそものスタートラインが違うのではないかということに目を向けます。そして、その違いを考慮してスタートラインそのものを調整することで、同じようにゴールを目指して活躍できる機会を与えるイメージです。

この「公平」の観点がダイバーシティ(多様性)の実現においては非常に大切だと言われています。外国人の社員がいる会社で誰にとっても作業を分かりやすくするため、文字ではなく写真を多用してマニュアルを作成したり、力のいる作業を女性や高齢者の力でもできるように補助的なマシンを導入したりするなどが、中小企業でも実例として挙げられます。

採用難も背景にして、女性や高齢者、外国人の社員比率が増えている企業も多いと思います。また、子育て社員を男女ともに応援している企業も増えていると思います。そういった様々な背景や特性を持つ社員の能力を活かすという観点でも、もはやダイバーシティは上場企業だけの問題ではなく、あらゆる企業の必然といえます。

そして、もうひとつ付け加えたいのが、「平等」は比較的見えやすいものなのですが、「公平」については見る側の力量が必要、ということです。違うスタートラインに立っているのはないか、と気づく力、一人ひとりの背景や特性を見ようとするコミュニケーションと想像力が欠かせません。

「平等」と「公平」をいかに考えるか。様々な人の力を活かしながら企業の成長を目指すうえでも、まずはその考え方を意識することから始められたらと思います。

 

【コンサルタント:大田潤子】


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