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人を賢くする「会社」

知恵のバトン
2021.01.26

わたしがコンサルタントになったきっかけのひとつにある本との出会いがあります。『人を賢くする道具―ソフト・テクノロジーの心理学』という本です。
この本には、体験的認知と内省的認知という概念の話が書かれています。体験的認知は、例えば車の運転のような認知活動です。車を運転するとき「どうやったら事故を起こさないのか、そのためにわたしは何をすべきか」などといちいち考えません。歩行者が飛び出してくれば、パッと、ブレーキを踏むでしょう。こうした自動的な行為は、車のブレーキという道具に支援されています。
内省的認知は、「どうやったら事故を起こさないのか、そのためにわたしは何をすべきか」を考える認知活動です。教習所で運転の記録をプレイバックしながらディスカッションする、というのをやった記憶があります。この時、ビデオは内省を支援する道具です。
どちらも、道具が人を賢くしている例です。体験的認知が「人に考えさせない」のに対し、内省的認知は「人に考えさせる」ことで賢さを支援しています。この本の中で、著者のD.A.ノーマンは、体験すべき時に内省させ、内省すべき時に体験させる道具があると説いています。つまり、どちらを促進したいかについて、わたし達は無自覚であるというわけです。
例えば、マニュアルはどうでしょうか。マニュアルは、考えさせないことで生産性があがる道具です。手順通りにやれば一定の成果がでます。一方で「マニュアル人間」という言葉があります。マニュアルによって、自分の頭で考えない人を作る、ということです。ただ、これはマニュアルが悪いのではありません。マニュアルという体験的認知を支援する道具しか用意してないのが問題です。ここで必要になるのは、マニュアルを作ったり、見直したりするための「対話の場」です。マニュアルに書かれたことを実行に移すと、体験が生まれます。その体験は、実は人によって全く同じにはなりません。体験したことをあらためて言葉にし、仲間と対話することで、互いの内省が進み、さらなる工夫が生まれます。つまり、振返りのミーティングは、内省的認知を支援する道具なのです。考えてみれば当たり前ですね。実行しないのも、やりっぱなしなのもダメというのは、よく分かっていることです。にもかかわらず、十分な環境を作ることができていない。体験を促し、その内省を促す仕組み、つまり、賢くする道具が整っているかどうか、そういう目線で会社の中を見直してみてはいかがでしょうか。


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