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なぜ「つながらない権利」が生まれたのか

知恵のバトン
2021.11.24

今年も、あと1か月となり、慌ただしく過ごしていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。納期の近い仕事をいくつも抱え、気づいたら深夜まで残業の日が続いている・・・という方もいらっしゃることと思います。併せて、コロナ禍を契機に、国内で一気に広がったテレワークによって、自宅で仕事ができるのは便利である半面、私生活との境界が曖昧でオンとオフの切り替えが難しいという側面もあります。さらに長時間労働になりがちな傾向が指摘されており、最近では、就業時間外の「つながらない権利」が世界的に注目されています。

 

この「つながらない権利」の発祥は、フランスで、16年の労働法の中で、「つながらない権利」を行使するための条件を労使交渉で取り決めることなどが規定されました。イタリアでも同年に「スマートワーキング」に関する法律に関連して法整備、20年にはカナダで法制化の議論が開始されました。21年1月にはメキシコで、「つながらない権利」の尊重をテレワーク法で使用者に義務化しました。英国では21年7月、ポスト・コロナの働き方に関心が高まる中、野党・労働党が新政策「ニューディール・フォー・ワーキング・ピープル」を発表。
この中で、私生活とのバランスをとれる在宅勤務を実現するために、テレワークを標準のワークスタイルとすることをうたい、つながらない権利の確立を盛り込みました。

 

本文を見て、ん?って思われた方もいらっしゃると思いますが、「つながらない権利」を最初に法整備したのはフランスで、16年に制定しており、テレワークがトリガーとなって、この「つながらない権利」が生まれたのでありません。

 

それは、新たなテクノロジー(インターネットやスマートフォンの普及)によって人々の働き方がどのように変わるのかという問題意識に基づくものでした。テクノロジーの発展によって、オフィスを離れようがバカンス中であろうが仕事の連絡が頻繁に入るようになることへの拒否反応から、こうした議論が始まったといえます。つまり、ワークライフバランスが、テクノロジーによって取りづらくなってきている事が読み取れます。

 

テクノロジーの発展に伴い、生活や働き方も大きく変わり便利になりました。一方で、ビジネスとプライベートの切り替えが難しい環境になり、従業員のストレスマネジメントが、社会における重要課題の一つとなっています。従業員一人ひとりが本来の力を発揮できる「働きがい」のある環境を整えるために、より一層、テクノロジーとの共生を考えていかなければなりません。                       


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