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入社する会社で何年働きたいか

経営のヒント
2022.05.06

マイナビ2023年卒大学生活動実態調査が3月1日に公開されています。「新卒で入社する会社で何年ぐらい働きたいか」というテーマに関して、調査対象の大学生・大学院生全体で次の結果となっています。この結果に関連し、マイナビ記事では「10年未満という回答が4割超もある。就活時からすでに転職を意識している学生が一定数存在することが分かる」と説明しています。

 

1~3年ぐらい6.1%、4~6年ぐらい21.9%、7~9年ぐらい12.4%、10年以上28.9%、定年まで30.7%

 

これだけを見ると、「やはり終身雇用制は既に崩壊か」「今の若者は辞めやすい」などと考えてしまいそうですが、果たしてそうでしょうか。一歩踏み込んで理解を深めるポイントとして、3つあると考えます。

 

1つ目は、時系列の変化で見ることです。

過去の調査結果と比べて回答傾向の比率が変わっていれば、その変化をもとに考察することができます。ただ、過去実施分で同一の調査項目の結果が見当たらないため、比較できませんでした。(存在するのかもしれませんが)

 

2つ目は、実態を把握すること(1つ目の埋め合わせにもなる)です。

若者の離職率を考える場面では、よく「入社後3年以内の離職率」が問題提起されてテーマになることがあります。この3年以内離職率ですが、経年変化を追うと実はほとんど変わっていないことが分かります。

 

厚労省のデータによると、大学卒入社3年以内の離職率は、バブル崩壊前の1988年に29.3%でした。その後のピークは、2004年の36.6%です。最新のデータは2018年時点のもので、31.2%です。好景気下でも不景気下でもいつの時代もほぼ30%台で、最近はピーク時よりむしろ減少していることになります。高校卒は、1988年48.7%、2004年49.5%、2018年36.9%で同様の傾向です。

 

3つ目は、データを細分化して評価してみることです。

冒頭の「大学生・大学院生全体」を細分化すると次の結果となり、一定の有意差があるように見受けられます。文系女子の回答は年数が短く、理系男子は年数が長いことが見て取れます。理系男子は、「自分の技術・技能を活かして、良い会社で末永く働きたい」という考えが、他の属性の対象者より強いのかもしれません。

 

文系女子:1~3年ぐらい6.0%、4~6年ぐらい27.9%、7~9年ぐらい15.2%、10年以上25.7%、定年まで25.2%

 

理系男子:1~3年ぐらい4.0%、4~6年ぐらい17.4%、7~9年ぐらい11.4%、10年以上31.6%、定年まで35.6%

 

これらの結果から、次のように仮説立てることができると思います。

 

・何年ぐらい勤続したいと思っているかにかかわらず、実際の早期離職者の傾向は中長期的にほとんど変わっていない。新規入社者に支持される会社は就業先として選ばれ続けるし、支持されない会社からは離れていく。きわめてシンプルな原理原則が当てはまるのではないか。

 

・「4年以上」の合計は93.9%である。就職予備軍も「入社後3年以内離職率約1/3」の現実的な事象は感じ取っていて、主観ながらも妥当な目標値を回答しているのかもしれない。

 

・「10年以上」と「定年まで」を合わせると59.6%になる。長期勤続もしくは終身雇用を望む就職予備軍は、実は多数存在しているとも言える。就職観や働き方の多様化は「考え方や選択肢の種類が増えた」と捉えるべきであろう。長期勤続や終身雇用の選択肢自体が消えたわけではなく、それを望む人も相応に存在していそうである。

 

・女性が男性に比べ、ライフイベントで勤続が難しい状況は、就業率のM字カーブなどと呼ばれてきた(30歳代の出産・育児期に下がり、子育てが一段落した40歳代で再上昇する現象)。就職予備軍も「女性の勤続は難しいのではないか。数年でも勤続できれば御の字」と依然として感じているのかもしれない。「本来理想的に勤続したいと思う年数」ではなく、「現実的に勤続できればよいと思う年数」を回答している可能性もある。だとすると、「自社では望めば勤続可能」と打ち出せば、訴求力になるかもしれない。

 

結局のところ、企業を経営・マネジメントする側としては、

・働きがいのある良い仕事ができる環境をつくって、良い会社づくりにつなげていく

・良い仕事に集中できるための、働きやすい環境をつくる

に尽きるのではないでしょうか。

 

<まとめ>

若手社員に選ばれる企業づくりを目指す。


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