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長期ビジョンの真の目的とは

経営のヒント
2022.05.27

「実際のところ、何度も社長が話している内容なんですよね」

ある社長の長期ビジョンの発表を聞いた幹部社員の言葉です。

 

この長期ビジョンは、社長が私たちとの対話を通じて紡ぎあげたものです。既存の事業に加えて、発展的に新しい事業を展開していく内容です。社長もこれまで十分に言語化できていなかったことが明確になったという感触を持っていました。

 

しかし、幹部社員は少し違った問題意識を持っていました。

「折に触れて社長が話してくれている新しい事業展開について、具体的なイメージを明確に提示できたのは良かった。でも、同じことは何度も話していると思うんです。問題は浸透していないことだと思います。」

 

1年前、同社は事業の領域を今までとは違った形で展開していくことを考え、新しく工場を建て移転しました。社長は「ただ引っ越すのではない。新しい事業を始めるんだ」と社員に話しました。引っ越してからも折に触れて同じことを伝えています。

 

しかしながら、社員はこれまでの仕事を粛々と行っています。環境が変わった分、今まで通りにはできないこともあります。社長とすれば、新しい方法を考えてほしいのですが、社員は、以前と同じようにやるためにどうするか、と考えてしまいます。

 

そのような状況を打開し、事業を新しい方向にドライブしていきたい、そんな思いから、長期ビジョンを発表したのでした。

 

「浸透しないのは、みんなの理解力の問題だと思うんですけどね

幹部社員はそう言います。しかし、できるだけ平易な言葉で、噛んで含めるように社長は話をしています。理解力の問題とも限らないのではないかと考えていると、別の幹部からこんな言葉が出てきました。

 

「発表を聞いて『すごいこと考えてるな』と思うんだけど、話が終わったら『どれ、仕事に戻ろう』…っていう感じです」

 

なるほど、これは状況をよく表しています。社長の言っていることは分かる、つまり理解はしている。しかし「わが事」にはなってないのです。社員の「わが事」は、目の前の仕事です。

 

ここで考えないとならないのは、社長と社員の関係性です。同社は決して、風通しの悪い会社ではありません。でも、どことなく「社長から社員へ」という上意下達の関係性があります。社長の考えた長期ビジョンは、社員から見ると社長の「わが事」に見えているのかもしれません。

 

長期ビジョンや経営計画の発表は、経営者からの一方的な伝達セレモニーになりがちです。これでは、「私たち」のものになりません。また、その内容も自社の発展だけが書かれていたのでは、真の原動力になりません。誰のどんな役に立つことが、私たちの目指す姿なのか、それを語り合う場が必要です。

 

長期ビジョンは伝えて終わりではありません。真の目的は、実行に移そうと対話する中で、社長を含めた全員の主語が「私たち」になり、「お客さま」を求心力にして前に進んでいこうとする組織能力をつくることにあるのだと思います。


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