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上司の礼儀作法

経営のヒント
2024.09.18

・いつも機嫌よくしている
・部下が来た時には、すぐ部下のほうを向く 

ある大企業グループの会社様でお聞きした、「上司の礼儀作法」2つです。同社様を含めた複数社で人事責任者として活躍され、組織づくりの実績を上げてこられた方が、管理職の義務、自社の管理職に求める姿勢の基礎として、徹底を促していたことだそうです。シンプルながら、とても的を射た2つだと感じ、印象に残りました。

機嫌が悪い人には、誰も寄って来なくなる。あなたが機嫌が良いか悪いか、面白くないと感じることがあるかどうかは、相手にとってどうでもよいこと。どんなに機嫌が悪かったとしても、嘘でもよいから、周囲に対して機嫌のよいふりをする。上司でなくてもあらゆる人に当てはまることですが、特に上司と呼ばれる地位の者はそうするのが義務だというわけです。

そして、自分自身のことより、部下のためにいつでも時間を使う用意があるというのを態度で示すことも、上司の義務。PCをバチバチ打ち込んでいる最中に部下が来て、PCを見つめたまま迷惑そうな顔をするなど論外というわけです。忙しくて今すぐ対応できないなら、くるっと笑顔で部下のほうを向いて「今は立て込んでるから、○分後でどうかな?」と応対する。

コミュニケーションにおいては、「がめん(画面)」ではなく、「がんめん(顔面)」を見ましょう、ということです。

ポイントは、「いつも」=「常に」にあると思います。

その方いわく、「会議でも、いつ機嫌が良くなるか悪くなるかわからない上司に向かって、忌憚なく意見を言えるはずなどない。普段からこの2つの礼儀作法を発揮することが、コミュニケーションにおける存在承認の基礎だと考えている。心理的安全性なるものを高める施策だったり、創造的で生産的な意見交換を目指す対話会だったり、そういうのもよいが、まずこの2つの徹底。この2つをやってないで、そうした施策の旗振り役をするなども本末転倒」ということです。

先日お会いしたある経営者様は、「怒り切らないこと」「反省すること」を大切にしている、と話していました。何かの思いをもって事に臨んでいれば、喜怒哀楽は必然的に伴う。時には怒ることもある。しかし、相手との関係修復ができないレベルまで「怒り切らない」ようにすることを大切にしているというわけです。そして、もし怒ってしまったと気づいたら、自分から相手に対して頭を下げて態度を改める。そして、中庸に戻す努力をする。

Job総研によるアンケート(2022年実施)では、転職理由の建前と本音について、上位は次のようになっています。

転職理由の建前ランキングTOP3
1位:専門スキルや知識を発揮したい
2位:報酬を上げたい
3位:自身の働き方を見直したい 

転職理由の本音ランキングTOP3
1位:報酬を上げたい
2位:職場の人間関係が合わない
同率3位:会社のビジョンや方向性に疑問を感じる
同率3位:自身の働き方を見直したい

「職場の人間関係が合わない」「会社のビジョンや方向性に疑問を感じる」は、本音ベースではそう思っていても表面的に語られることは少ない、と想定できます。そして、「職場の人間関係が合わない」は、昔から本音ランキングで上位に入り続けている要因です。キャリアや生き方で別の道を選択するための離職は悪いことではありませんが、キャリアや生き方が現職にマッチしていながら人間関係が主要因で離職となるのは、やはり残念だと言えます。

組織活動は人と人の営みである以上、この要因はゼロにはできません。そのうえで、ゼロに近づけていく取り組みをしているのかと、冒頭の方は問いかけていました。

上記で挙げた礼儀作法は、ごく当たり前のことであり、特殊な能力を要することではありません。しかしながら、徹底が難しいことでもあります。立て込んできて余裕がなくなってくると、出来なくなることです。そのうえで、その当たり前の実践にこだわってみてはどうかと、その方のお話を聞いて改めて感じた次第です。


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