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言ったことを守らない人が「信を問う」とはいかなることか

小宮一慶のモノの見方・考え方
2024.10.08

新しい内閣が発足しました。最初は期待感を持っていましたが、その後の言動から石破首相の人間としての資質にとても大きな疑念を持っているのは私だけでしょうか。
以前に発言していたことが簡単に覆されるからです。

首相は、自民党総裁選時には、じっくり議論をしたうえで衆議院を解散するとを言っていましたが、首相になったとたんに前言を翻し、国会を早期に解散して、「国民に信を問う」と言っています。
10月27日が総選挙に決まりました。

「信」という字は「人」の「言」と書きます。言ったことを守るということが、信の源泉なのです。「信」を守れない人が「信を問う」など言語道断だと思います。

もちろん、政権を確固としたものとするためには、スキャンダルが出ず、国会でパーティー券の裏金問題で野党から厳しく突っ込まれないで、まだ新鮮感があるうちに選挙をしたいという戦術的な思惑があることは理解できますが、選挙に勝つためには、言ったことを守らなくてもかまわないと思っているのなら問題です。
人間としてやってはいけないことまでやるような人がトップでは現政権に今後の期待など持てるはずもありません。

世論も敏感で、各紙の10月初めの世論調査では、石破氏の支持率は50%をかろうじて超える程度で、これは岸田前首相の最後の時期を大きく上回る数字ですが、日経新聞によれば、2002年以降の新首相の支持率としては最低とのことです。
もちろん岸田政権発足時(59%)の支持率よりも大きく下です。

松下幸之助さんは『道をひらく』の中で、「いかに強い力士でも、その勝ち方が正々堂々としていなかったら、ファンは失望するし、人気も去る。
つまり、勝負であるからには勝たなければならないが、どんな汚いやり方でも勝ちさえすればいいんだということでは、ほんとうの勝負とはいえないし、立派な力士ともいえない。(中略)事業の経営においても、これと全く同じこと。
その事業が、どんなに大きくとも、また小さくとも、それが事業であるかぎり何らかの成果を上げなければならず、そのためにみんなが懸命な努力をつづけるわけであるけれども、ただ成果を上げさえすればいいんだというわけで、他の迷惑をかえりみず、しゃにむに進むということであれば、その事業は社会的に何らの存在意義も持たないことになる。
だから、事業の場合も、やっぱりその成果の内容、つまり、いかに正しい方法で成果を上げるかということが、大きな問題になるわけである。」(「大事なこと」より)

金融政策も同様です。石破氏が自民党総裁に選ばれた直後は、ライバルの高市氏が金利上げに反対していたことから円安傾向だったのが、石破氏は以前から利上げに反対ではなかったので、一転大幅な円高株安に市場は反応しました。「石破ショック」とまで言われました。
しかし、その後石破氏は、一転して「緩和」を強調しており、日銀総裁との面談でも「今は利上げの時期とは思わない」と発言しています。

経済政策も迎合的ですが、首相が本当に信頼に足るのかとても心配です。

先にも述べたように10月27日は総選挙です。
野田氏率いる立憲民主党も、その前身の民主党が政権をとっていた時の経済政策などを考えるととても不安ですが、少なくとも信頼できる人や政党を選びたいものです。

小宮 一慶

 


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