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トランプ氏に見るリーダーシップとリーダーのあり方

小宮一慶のモノの見方・考え方
2025.01.28

1月20日に米国でトランプ政権が発足しました。結構過激な大統領令を続々と出していますが、ある意味、予想された通りの内容と言える部分も少なくありません。

例えば、地球温暖化に対応するパリ議定書やWHO(世界保健機構)からの離脱、不法移民に対する厳しい対応などです。

トランプ氏のリーダーシップについて、興味深い内容の記事が日経新聞の「大機小機」にありました。

それはトランプ氏の自伝的映画にあったということなのですが、「気弱な青年」だったトランプ氏に辣腕弁護士が「勝利のための3つのルール」を教えたということです。①攻撃あるのみ、②非を認めるな、③劣勢でも勝利を主張して負けを認めるな、ということです(1月18日付日本経済新聞朝刊)。

これまでのトランプ氏のやり方を見ているととても納得できることです。

よくよく考えてみると、ロシアのプーチン大統領なども同類の人間です。とにかく「自分が正しい」ということを主張し続けます。そして、今後はどうなるかは分かりませんが、トランプ氏にしろ、プーチン氏にしろ、そのやり方で権力の頂点に上り詰めたわけです。

しかし、私は、強いリーダーシップや勝利を得るために、上で述べた3つのことを皆さんに推奨しているわけではありません。これはあくまでも「気弱な青年」、言い換えれば弱者を鼓舞するための方法にすぎないと私は考えています。つまり、弱い人や社会的弱者は強者や権力者とそれなりに対抗する必要があり、そのためには、ここで述べた3つのことが必要な場合もあると思います。ですが、それにより、弱者から強者になった場合には、同じやり方を続けるのは良くないことだと私は考えています。

権力を握ったり、強い立場になった場合には、やはり「寛容」の心が必要です。論語に「恕」という言葉が出てきますが、許すということです。

ずいぶん昔の高校生のときに私は般若心経の写経をしたことがありました。その中で、「空」のこころというのは、「とらわれない、こだわらない、かたよらない」とありましたが、それと同時に「ひろい心」でもあるとありました。ここで言う「ひろい」とは「寛容」ということだと私は解釈しています。

私も含めて企業の経家者や幹部も、ある意味、強い立場にいる人間です。もちろん、多くのリーダーは、実績を残すためにも強いリーダーシップを求めていると思いますが、それを得たら、やはり、素直や謙虚な気持ちになって、「これでいいのだろうか」という反省を行うことが大切です。もちろん、自身のリーダーシップの根幹までを変える必要がない場合も多いと思いますが、やはり、間違いは間違いでそれを訂正するという心構えも必要です。

そうした意味において、トランプ氏のケースは、勉強になる部分と反面教師となる部分を正確に見極める必要があると思っています。トランプ氏の政策の影響等については、もうしばらくその影響を見極めたうえで、またの機会にお伝えできればと考えています。

小宮 一慶

 


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