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「素直な人材」をどう見極めれば良いか?

経営のヒント
2025.03.13

先日、ある経営者とその企業の採用について話をしている中で、「採用したい人材に求めるものは?」という質問をしたところ、「やっぱり、素直な人材が良いね」とその経営者の方はお話されました。

その理由を尋ねると「素直な人は、こちらが言ったことや教えたことをまずやろうと行動する。素直じゃない人は、教えてもなかなか行動をしない。だから、素直な人のほうが成長が早い。」と話をしてくれました。

そこで今日は、「素直さ」について考えたことをお伝えできればと思います。

■素直とは?
まず考えたいのが、素直とはどういう資質なのかということです。

素直ということを実践されて最も成果をあげた人物として挙げられるのが、松下幸之助氏です。パナソニックの創業者で、日本の納税者のランキングとして長者番付というものが昔ありましたが、そこで10年間1位。言い換えれば、その当時、日本で一番お金を稼いだ人が松下幸之助氏でした。

その松下幸之助氏が「人が成功するためにひとつだけ資質が必要だとすると、それは素直さだ」と言っています。

また、松下幸之助氏は、素直さを「受け入れるということ」と「前向きに対応すること」と定義し、
具体的には、
「人の話をよく聞くこと」
「聞いてよかったと思うことはやってみること」
「やってみてよかったことは、やり続けること」
「やってみて良くなかったことはやめること」
と言っています。

そして、松下幸之助氏は、毎朝、鏡の前で「今日も素直でありますように」と唱え、自宅に戻ると「今日一日、自分が素直であったかを振り返る」ということを実践されていたと言われています。

さらに松下幸之助氏は、「素直じゃない人の弊害」ということも言っています。
そのひとつは、人の話を聞けないので、他人の知恵を活かすことができない。
もうひとつは、人の話を聞かない人には、人がそのうち話をしてくれなくなる。アドバイスがもらえなくなる。そしてその延長線上で人が手伝ってくれなくなる。

松下幸之助氏の素直さの定義を見ると、確かに素直じゃないと、仕事をうまく進めていくことは難しいということがわかります。

■なぜ素直な人材が良いのか?
この素直さという資質、いろんな経営者に「求める人物像」の話を聞くと、かなりの確率で挙がってくる資質です。特に中堅・中小企業の経営者は、ほぼほぼ挙げられます。

その理由として、冒頭でも述べたように、育成面でのメリットがあります。中堅・中小企業の場合、大手企業に比べると、十分に育成の時間を取ることが難しく、より少ない時間で戦力化を図りたいという側面があります。

そのほかには、自社の理念やビジョンの浸透を図る際に、素直な人材のほうが、浸透が早く進むという面も考えられます。ゆえに他社の色に染まっていない新卒を採用しようと考える企業も少なくありません。

■素直な人材をどう見極めればいいか?
一方で、素直という資質、悪い側面はないのでしょうか?

素直な人材の見方を変えると、次のような側面もあると考えます。
・何でも言う通りにしてしまう
・反論をしない
・自分で考えない
悪い意味で、従順な人材・NOを言わない人材という側面。

素直な人材というくくりで言うと、上記の要素も入ってくるのではないかと考えます。しかし、上記のような人材では、従業員として成長を遂げるのは難しい。素直だと思って採用したけど、悪い意味での素直な人材だったということも十分あり得ますし、実際そういった話を聞くこともあります。

では、どうやって良い素直な人材を見極めればいいのでしょうか?

これは私の持論ですが、「素直は、資質ではなく、状態なのではないか」と考えます。言い換えれば、「あることをした結果、素直な状態になった」ということです。

では、「あること」とは何なのかというと、「ビジョンや目標を持つこと」です。

「こうなりたいというビジョン」や「ここまでやりたいという目標」を持っている人たちは、そのビジョンや目標を実現するために、あらゆるものを活かそうとします。それが自分とは考えが違う人やあまり信頼関係がない人の言葉だったとしても、そこから良いものがないか、自分に活かせるものがないかと考えます。言い換えれば、ビジョンや目標を持っていると、耐える力が強くなると考えます。

私の見立てでは、ビジョンや目標を設定していなかったら、素直になっていないという人は多いのではないかと考えます。私自身が素直だとは思いませんが、人の話を聞いて活かそうという意欲は、ビジョンや目標があるからだと感じています。

そう考えた際に、素直な人材を見極めるには、「自分のビジョンや目標を持っているか、そしてそれが自社のビジョンや目標にリンクしているか」と言えるのではないでしょうか。

何も考えていない悪い意味での素直な人材を採用しないように参考にして頂ければ嬉しく思います。


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