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物書きのメリット

小宮一慶のモノの見方・考え方
2025.03.25

先ほど、私の162冊目となる単著のゲラ読みが終わりました。『「金利上昇」に勝てる経営』という本で、マクロ経済の分析とそれへの経営の対応策を書いた本です。
ゲラ読みといってももちろん単にゲラを読んでいるだけではなく、間違いがないかをかなり真剣に確認しながら読むので、結構神経を使う仕事です。ただ、私はこのゲラ読みがとても好きです。ゲラ読みも含めて物書きという仕事がとても好きです。
それにはいくつかの理由があります。

ひとつは自分の考えがまとまること。いまでも年に100か所くらいで講演をします。多くの方にお話をしますが、話し言葉は、その場限りで結構無責任な部分もあります。書くということは、それもしっかりと書くとなると、考えをまとめなければ書けません。それも短い文章で過不足なく伝えることが求められます。それが話すときにとても役に立つのです。きちんとまとまり、しかもコンパクトな話のほうが当然伝わりやすいからです。

人のことは言えませんが、何を話しているのかが分からない人が時々いますが、それは、内容がはっきりしない、とくに、話がだらだら続くなどだと、相手は理解しません。話す文章が長いと分かりにくいのです。文章は、書くにしても、話すにしても、「。」と「。」との間を短くすると分かりやすいのです。話が分かりにくい人の話は「、」で文章が長く続きます。終わりがうまく切れないので、聞き手が理解しにくいのです。

書く文章は、一文をそれほど長くはできません。私も物書きを始めた頃に、編集者から「3行を超える文章は避けてください」と注意されたことがあります。今でもそれを心掛けています。多くの文章を書いているうちに、伝えたい内容をきちんと盛り込みながら、自然と話す文章も短くなっていると感じます。

このことと同様に、文章を書くメリットは、「残る」ということです。もちろん、残るということは話す言葉と違って「逃げ場」はありません。その分、言葉を選びますし、冒頭で述べたように、ゲラ読みをする際にも、真剣にならざるをえません。このため、話す言葉のレベルも上がると思います。

もちろんビジネスにも役立ちます。私は経営コンサルタントが本業ですが、本を出すことにより、多くのお客さまと知り合うことができました。地方に講演に行った際にも、「小宮さんの本を読んだことがあります」と言われることが結構あり、とてもうれしい気分になります。おかげさまで累計発行部数が405万部となり、いまでも月に6本の連載を持っているので、私の文章をお読みになってくださった方も少なからずいらっしゃると思います。
そういった意味で、私を知ってくれている人がいるということは、講演のみならずコンサルティングのお仕事もやりやすいと言えます。物書きをしていたおかげと言えます。

さらには、物書きは一人の時間が持てるというメリットがあります。
いつもは、有難いことに多くの人に囲まれて仕事をしています。先週も、顧問先さんの定例の講演会などを含めて5か所で講演をさせてもらいました。今週も3か所で講演する予定です。多い時には数百人の方の前で話すわけです。もちろん、お客さまの会議などにも多く出ますから、そこでは必ず人との関わりがあります。

ただ、普段多くの方と接しているので、ひとりで黙々と仕事をするのも好きです。物書きはそういう仕事です。心のバランスが取れるのでしょう。
このように物書きは私には大きなメリットがあります。今年はがんばって3冊くらいは出版したいと思っています。

小宮 一慶

 


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