4月から新入社員が新しく仲間に加わった企業さまも多いと思います。弊社でも様々な企業さまから送り出していただいた新入社員の合同研修を行っております。緊張した面持ちでドアを開けて入ってこられる方たちは本当にフレッシュで、私たちも身が引き締まりつつ、そのエネルギーを少しお裾分けしてもらえるような気持ちでお迎えしています。私ごとですが、うちの長女もこの春、新入社員として社会に出ていきましたので他人事ではありません。
一方で、会社にいる若者とのコミュニケーションに悩む企業さまは少なくないと思います。リーダー層の方たちと話をしていても、どうやって若手に接したらいいのか悩み、試行錯誤している様子を良く伺います。こうしたら上手くいく、という絶対の正解はありませんが、いくつか若者と接するときのヒントをお伝えできればと思います。
・情報を与え意図を説明する
物心ついたらネット情報に接し、SNSなどを駆使している世代です。この世代を育ててきたのでよく分かりますが、圧倒的に我々とは違う環境で育っています。情報はあって当たり前、なくては不安なのです。何も知らずに、調べずにものごとに取り掛かることが難しいのだろうと感じます。そして調べれば正解に近いことを得られショートカットをするのが常なので、効率の悪いことも好まない傾向があります。
何か仕事を頼むときに、できるだけその仕事の意味や背景、目指す成果やプロセスを説明してください。これは過保護と考えるのではなく、本来、成果をあげる仕事をするには誰にでも必要なことと考えるべきです。
・成長にフォーカスする
就職活動時に相談に乗っていて痛感しましたが、今の時代は終身雇用を前提としていません。日本経済の先行きにも不安を感じる世代です。ずっと安泰、なんていう保証はないので、常に自分のキャリアを計算しポータブル(外に出ても社会で通用し持ち運べる)なスキルを身に着ける志向を持っている人が多いようです。
この会社では自分は成長できないと思えば辞めてしまいます。どのように成長できるのか、若手の目線で一緒に考えて伸ばすことを支援してください。そのうえで職場での関係性や企業の未来像への共感も育むこと、この両輪が必要だと思います。
・一人ひとりが違う
Z世代は、若者は、と一括りにしないことです。情報の在り方が変わり、マスでの流行を追いかけることは減り、個々の興味関心が本当に多様で、それぞれの世界に属しています。考え方についても、先行きが不安だからこそ、個人の成長を一番に考えチャレンジする人もいれば、どうせ頑張っても大差はないと醒めている人もいます。いつの時代も言えることですが若者を一括りにしないこと、そしてその価値観はますます個別化していることも頭に入れて、一人ひとりと接してみてください。
・経験知をたくさん伝えていく
自分の時代はこうだった、と自慢げに言うのは前提としてNG(私もたまに娘に注意されます)。ですが、ちょっと前まで学生だった人たちです。情報はいっぱい持っているかもしれませんが、実経験はまだまだです。仕事というもののリアリティ、大変なことも多いなかでの面白さや醍醐味、達成感、そういったものを良い話も失敗談も含めて折をみながら伝えてみください。はたらくことへのリアリティを育て、地に足がついて、人と人で仕事をしていくうえで役に立つはずです。
若い人を、お客さんではなく、一緒にはたらく仲間として迎え入れ、お互いに素直に知らないことを学び合う。社会に出て凝り固まった自分の考え方やこれからの組織の在り方について改めて考えるチャンスにもなります。そして新しい仲間の不安と期待に満ちた気持ちを、自信や挑戦する気持ちに育てていけるよう導いていきたいものです。