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トランプ関税ショックに備える

時事トピック
2025.04.17

4月2日にアメリカのトランプ大統領が貿易相手国への相互関税を発表し、世界は混乱を極めています。トランプ大統領は相手国の反応に合わせて個別交渉をしていくようで、着地点が見えにくい状況が続いています。

内容も日を追うごとに変化し、それに合わせて株価は乱高下しています。株式市場だけでなく安全資産の代名詞である米国債も売られており、市場に動揺が走っています。バラ積み船の用船料を総合的に表す「バルチック海運指数」が一週間で約14%下落するなど既に実体経済にも影響が出始めています。日本に次いで米国債を保有している中国が報復目的で大量の米国債を売却するような動きになれば、金融危機が起きる可能性もあり予断を許しません。

現時点で企業経営にどの程度の影響があるかは不透明です。しかしリーマンショックや東日本大震災、コロナ感染拡大のような大きな環境変化での経験を踏まえ、経営者はショックに備えておくべきです。

ショック時に一番重要なことは何よりもまず『資金繰り』です。大きな景気悪化を免れたとしても、状況が見通せずに一時的にグローバルなモノの動きが停滞する可能性は非常に大きいと思います。収益が減っても固定費は簡単に減らせません。キャッシュアウトが先行する中で、十分な手元資金を確保しておくことが重要です。リーマンショック時に帝国データバンクの調査員をしていた私は資金繰りに奔走し疲弊する経営者をたくさん見てきました。資金繰りに困った経験のある経営者の方はどれだけ精神的な負担になるか実体験を通じて理解されていると思います。だからこそ、先が見通せない状況の場合は少し多いかなと思うくらいの手元資金を確保しておくべきです。

資金繰り以外で大事だと思うのは『情報収集と発信』です。情報が錯綜するなかで、何が正しくて、どう動くべきかを適切に整理することが大切です。従業員は不安になると浮足立って目の前の仕事が手につかなくなります。社員や取引先に対して「今どういう状況で、何を優先し、どんな行動をとるか」を明確に伝えることで余計な不安を払拭することができます。大きく外部環境が変化する局面では業種によってはビジネスチャンスに繋がることもあるので、そのような点も冷静に見極めるべきです。

一方でトランプ関税の影響が少なく好業績の企業にとって、景気が悪化することが投資の機会になることもあります。設備投資に限らずM&A投資、更には昨今ほとんどの会社で不足感のある人材投資です。私の顧問先企業でもコロナ禍では優秀な新卒を大量に採用し、現在も活躍しています。世の中全体が不景気で停滞する際に、余力がある企業は過剰に自粛する必要はありません。株式投資でも同じことが言えますが、全体が悪い中で投資する決断力と余剰資金がある人が勝ち組になれます(現段階での株式投資を推奨している訳ではありませんので自己責任でお願いします。)。

いずれにせよ必要以上に不安にならず、冷静に自社でやるべきことを見極めることが重要です。


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