ここ最近、気温差の大きい日が続いています。それもあってか、先日風邪で少し体調を崩してしまい、仕事帰りに自宅近くのクリニックに行くことにしました。初めて訪れるクリニックで、初診の場合予約が取れないとのことだったため、直接窓口まで行ってみると、受付の前は診察待ちの人であふれ、立っている人もいるような状態です。窓口の方に、「時間はどれくらいかかるのですか」と聞いたところ、「2時間半はかかります」との回答でした。
一旦帰宅して待つ、といったことも運用上できない様子だったので、諦めて外に出ようとしたその時、「他のクリニックを探しますか?このQRコードを読み込んでください」と窓口の方が言われたのです。スマートフォンでQRコードをスキャンし、条件を指定すると、周辺でその時間営業しているクリニックが一覧で表示されました。その上で、窓口の方は「ひとまず当院の順番待ちを仮押さえしておくので、この一覧から他のクリニックに電話してみてください。そちらで行けそうなら、当院の仮押さえを解除します」と言ってくださったのです。結果、周辺であまり待たず受診できるクリニックを無事見つけることが出来ました。
この一件で、私は「ここまでしてくれるのか、本当に有難い」と思いました。体調がすぐれない中、他のクリニックを探して歩くのは大変です。改めて振返ってみて、今回の窓口の方の対応について、以下2つの学びがあったと考えます。
①出来る限りの最善を尽くし「一歩踏み込む」対応で感動が生まれること
私が来院した際、窓口の方は「2時間半待ちです」と言って、そのまま何もせず私を帰すこともできたはずです。他のクリニックを探すところまでサポートしてもらえたその根底には、患者さん(今回で言うと私)の視点に立ち、できる限りの最善を尽くそうとする姿勢があった、ということだと思うのです。その意味で、お客様の視点に立ち、「一歩踏み込む」対応をすることが、お客様の期待を超えた感動を生むのだと感じました。
②窓口の方の対応が、そのクリニックを代表すること
今回の窓口の方の対応で、自分はそのクリニックが真摯で丁寧な対応をするクリニックだという印象を持ちました。接点があったのは窓口の方だけで、院長さんや看護師さんなどがどんな方かは分かりません。しかし、それだけ大勢の患者さんが集まるということは、窓口以外の方も皆良い対応をされているからではないかと思うのです。今回の件を通じ、窓口の方の対応一つが、その組織全体の印象を左右すること、また窓口の人ひとりがお客様にとってはその組織を代表する存在になる、ということを強く感じました。
たった5分程度のやりとりだったと思いますが、患者さんの視点に立った真摯な対応は、心に残る印象的なもので、自分自身の行動が一歩踏み込めているか、改めて考える機会となりました。このコラムを読んでくださっている皆さまも、普段の生活の中で心動かされるような体験をされることがあると思います。それをそのままで終わらせず、振り返ってなぜ嬉しい気持ちになったのか、どういうところがよかったのか、ということを考えてみると、自分自身や自社を高めるために活かせる部分が見つかるのではないでしょうか。