皆さんは、大阪万博に行かれましたか?
私は先日、予定があり大阪に訪問した翌日、偶然にも予定が空いていたため、思い切って足を運んでみました。もともと人混みが苦手で、万博にもそれほど強い関心があったわけではありません。ただ、メディアでも話題になっており、一度くらい見て知見を広げてみようかと早起きをして現地へ向かいました。
パビリオンの事前予約はしていなかったため、当日は混雑状況を確認しながらSNSで評判のパビリオンをいくつか回ることにしました。その中で特に心に残ったのが、パソナグループの『PASONA NATUREVERSE』というパビリオンです。
このパビリオンでは、話題の“iPS心臓”が展示されており、さらには鉄腕アトムとブラックジャックによるオリジナルストーリー映像も上映されています。懐かしのキャラクターたちが最新の医療と結びついて登場する演出に、自然と期待が高まりました。
展示されていたiPS心臓は本物で、映像も予想以上にクオリティが高く、往年のファンとしては大満足でした。しかし、それ以上に心を動かされたのは、そこに描かれていた“未来の医療”の世界です。再生医療、AIを活用した診断や遠隔医療、個別化された治療など、今まさに実用化に近づいている先進技術が、非常にリアリティをもって紹介されていました。
「未来って、こんなに便利で希望に満ちているのか」――そう思える内容で、思わずワクワクしました。
この“ワクワク感”というのは、実は組織にとっても非常に大切な要素だと私は考えています。経営コンサルタントとして企業の長期ビジョンや事業構想の策定に携わる中でよく感じるのは、ビジョンには「合理性」だけでなく「共感」や「感情的な納得」が必要だということです。
どれほど優れた戦略や数値目標があっても、それが働く人々の心に響かなければ、行動は伴いません。むしろ、「数字ばかりの目標」を掲げる会社ほど、社員は表面的には従っているように見えても、心の中では距離を置いていることが多いのです。
人は、自分の仕事に意味を見出したい生き物です。そしてその意味は、他者や社会に貢献しているという実感から得られます。だからこそ、「私たちの仕事はこんな未来をつくる」「この取り組みは、世の中のこんな困りごとを解決する」というストーリーを描き、社員と共有することが極めて重要なのです。
『PASONA NATUREVERSE』で私が感じたのは、そうした未来像の“伝え方”の力です。リアルな未来を具体的に描き、そこに自社の取り組みを結びつけることで、人の心に火をつける。まさに長期ビジョンを現実の行動につなげる好例だと感じました。
ちなみに、覚悟はしていましたが、万博会場は想像以上の混雑ぶりでした。パビリオンはもちろん、飲食店やお土産店も長蛇の列で、何をするにも待ち時間が発生します。これからさらに暑さが増していく季節ですので、もしこれから訪問を予定されている方がいらっしゃれば、ぜひ早めにパビリオンの予約を行い、回る順番や休憩場所も含めて事前に計画を立てておくことを強くおすすめします。