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会計はビジネスの言語である(ウォーレン・バフェット)

今週の「言葉」
2025.07.18

この言葉は、「オマハの賢人」と称され、世界最大の投資持株会社であるバークシャー・ハサウェイの会長兼CEOを務めるウォーレン・バフェットの言葉です。
彼はさらにこう述べています。
「財務諸表の数字は、企業の成功、課題、強み、弱み、そして機会を物語っている」と。

私は例年この時期、経営者向けの経営実践セミナーや、会計初心者の方向けの講座、上場企業の役員候補向けの研修など、会計に関する仕事が多くなります。そうした場でいつもお伝えしているのは、会計とは単なる記録ではなく、リアルな企業活動──すなわち、独自のビジネスモデルや戦略の「結果」を表しているということです。

わかりやすく言えば、企業の行動や意思決定は、やがて財務数値という形で表面化します。
たとえば、工場を持たない製造業、いわゆるファブレス企業の貸借対照表(バランスシート)を見れば、一般的な製造業に比べて有形固定資産が少ないという特徴が見えてきます。

また、後発医薬品(ジェネリック)を主力とする製薬会社の損益計算書は、新薬を中心とする企業と比較して売上総利益率は低めですが、その一方で売上高研究開発費率も低い傾向があります。ここにも明確な戦略と構造的な違いが表れています。

このように、「戦略やビジネスモデル財務諸表の数値」という因果関係が頭の中でつながるようになると、逆に財務諸表を見ただけで、その企業がどのようなビジネスを展開し、どんな意思決定をしているのかを読み解くことができるようになります。

さらに、競合他社や自社の過去の財務諸表と比較することで、バフェットの言う「企業の成功、課題、強み、弱み、そして機会や脅威」までもが浮かび上がってきます。財務諸表は一見すると数字の羅列に過ぎませんが、その背後には必ず企業の物語があります。

京セラ創業者の稲盛和夫さんも、著書の中で次のように語っています。
「経理が準備する決算書を見て、例えば、伸び悩む収益のうめき声や、やせた自己資本が泣いている声を、聞き取れる経営者にならなければならないのである。」

会計はあくまで現在地を知るためのツールです。しかし、会計を“言語”として使いこなすレベルにまで深めることで、戦略の妥当性を検証し、より確かな意思決定につなげることができるのではないでしょうか。

平野 薫

 


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