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成果の出る会議の特徴

知恵のバトン
2025.03.01

(弊社所属のコンサルタントによる長編コラム「KC文集2025」掲載記事)

経営コンサルタントとして、私の最も多い業務は会議への参加です。
振り返ると、2024年の1年間で12社、延べ156回の会議(自社の会議を除く)に参加していました。

多くの会議に参加していると、成果が出る会議とそうでない会議の違いが見えてきます。
会議というものは会社のお偉いさんが沢山参加し高いコストが掛かっているので、成果の出る会議をすべきです。今回の文集ではどのような会議が成果が出ているのかということを自分なりにまとめたものをお伝えしたいと思います。

■特徴①「目的と議題を明確にする」
まず一つ目の特徴は“目的と議題を明確にする”ことです。
会議はそもそも何のために行うのか、その目的を明確にすべきです。私が参加しているある会社の会議の目的は“長期事業構想を推進する”ということです。
その会議では10年後のビジョンを掲げ、それを達成するための成長戦略や、事業部間のシナジーをいかに高めるのかという内容について集中して議論しています。この会議は経営幹部メンバーが参加していますが、直近の業績について議論することはありません。業績についての検討は別途経営会議が設定されており、そこで議論されています。

目的を明確にすべき理由は、議論が本来の内容から脱線し、重要な論点が取り上げられない事態を避けるためです。本来の目的を達成するためにタイムマネジメントをすることも会議をする上で重要です。

目的を設定したら目的に沿った会議の議題を明確にする必要があります。
時折見かけるのは、オーナー経営者が最近気になったことを長々と話し続け、独演会と化してしまう会議です。そのような雰囲気の会議は意見もほとんど出ませんし聞いている方も疲弊します。目的を達成させるためにどのような情報を共有し、何について議論をすべきかを明確にさせる必要があります。
時に一つの議題で議論が活発になり時間が費やされることもありますが、長時間の会議では、あらかじめ大まかなスケジュールを設定するべきです。

また、会議の都度、決定したいことや議論して欲しいことを参加者から事前に募ることも重要です。会社というものは日々色々なことが発生します。それを衆知を活かし解決するために、会議を上手く活用しなければいけません。
オープンに議論ができない風土の会社は担当が一人で問題を抱えてしまい大きなトラブルにつながるケースもあります。様々な幹部メンバーの意見を集め、組織全体で物事を推進していく風土が大切です。
私は経営者以外のメンバーから議題が挙がってきているかを、会社が活性化しているかどうかを見る一つの基準にしています。経営者以外から議題が上がってくる会社はメンバーの心理的安全性が高く総じて活気があります。

また会議の議題の最初に“経営者からの発信”として意識の共有をする時間を設定することが多いです。会社によっては、拠点が離れており会議のメンバーと経営者が日常的に一緒にいないというケースがあります。そのため経営者が普段何をどのように感じ何を考えているのかという意識の共有ができていない会社があります。
経営者に迎合しろというつもりはありませんが、一体感を持って仕事をするために経営方針の根底にある経営者の考え方や感性を理解してもらう必要があります。最近ではテレワークなど働き方が多様化しているため、これまで以上にその重要性が高まっていると感じます。

■特徴②「事前に資料を共有する」
二つ目の特徴は“事前に資料を共有する”ことです。
何を今更…と思われるかもしれませんが、長年多くの会社の会議に参加している私からすると意外と出来ていない会社が多いというのが実感です。
しかし、事前に資料共有ができているかどうかで会議の効率が上がり、議論も深まるのは間違いありません。

事前に資料を確認することで、内容理解に要する時間が削減され、気付いた点について事前に調査や準備を行うことが可能です。また、事前準備を通じて、活発かつ深い議論が展開されやすくなります。
時折、資料に書いてある数字をダラダラと読み上げることに多くの時間を割いている会議がありますが、それは全員揃って実施する必要はありません。会議の中では数字のポイントについて担当者の見解を述べる程度で十分です。

また、事前に資料を共有していない会議では、各担当は会議の直前にバタバタと資料を作成することが多く、完成度が低い傾向にあります。完成度の低い資料をベースにして、内容を読み上げることに時間を割き、不十分な理解の状態で短時間議論する・・。このような会議をしていては成果を出すことはできません。
成果の出ない会議を続けていると参加者も時間の無駄だと感じるようになって、参加率も下がります。結果的に、より成果の出ない会議になってしまいます。

会議では参加者は事前に資料を共有することを嫌がるケースがあります。慌ただしいからという理由を言う方もいますが、それ以上に事前に確認され、必要以上に突っ込まれるのが嫌だからだと思います。しかし会議において突っ込んで議論をするということは非常に重要なことです。
また当日どころか、議題について必要な資料を作成せずに口頭で終わらせようとする担当者もいます。これも同様で必要以上に突っ込まれたくない、もしくは自分の中ですら内容がまとまっていない際によくあることです。しかし必要な資料が無いと状況が理解できないことも多く、議論も空中戦になりがちです。参加者全員の時間もムダになります。

今更と思われるかもしれませんが、会議の前日までに資料を共有し、参加者が事前に内容を確認することは、成果の出る会議に繋がります。

■特徴③「グランドルールを設定する」
三つ目の特徴は“グランドルールを設定する”ことです。
グランドルールとは、参加者が守るべき基本的な約束事であり、会議を円滑に進め、参加者間の摩擦を防ぐために設定されるものです。

私が参加している会社の会議では、以下のようなグランドルールを設定し、会議開始時に全員で確認しています。
・開始時間厳守
・分からないことがあればその場で確認する
・忖度せず意見を出す(配慮はしても遠慮はしない)
・前向きな意見、建設的な意見を出す
・「できなかった言い訳」ではなく「どうすればできるか」を考える
・自分と異なる意見でも一旦は受けとめる
・発言は3分以内で簡潔にまとめる
・結論を出す
・問題の根本を追求する(評論で終わらせない)
・お客様目線の意見を出す
・部門最適ではなく全社最適の視点を持つ
・携帯電話の着信には出ない
・副業(内職)厳禁
・議事録は会議当日に共有する

例えば、「忖度せず意見を出す(配慮はしても遠慮はしない)」というものがあります。
会議でよくあるのが、忖度してお互い傷をなめ合い、差しさわりのない議論に終始することです。耳の痛いことを言われなければ辛くなることはありませんが、果たして成果に繋がるでしょうか。会議というのはお互いプロとして最適だと考える意見を出し合い議論するものです。だからこそ忖度せずに意見を出す必要があります。一方で遠慮せずに発言することはウエルカムですが、相手を罵倒したり徹底的に個人を批判することは会議の後に遺恨を残すこともあります。そのため相手の立場が無くならないような配慮もして言い方には気を付けるということも含めています。

また「部門最適ではなく全社最適の視点を持つ」というものがあります。各部門の責任者が参加する会議はどうしても各部門での負担の押し付け合いになりがちです。部門最適な発言が出そうな場合でも、グランドルールに全社最適の視点を含めておくことで、「全社最適の視点で考えたらどうか」と議論を促すきっかけになります。

「開始時間厳守」や「携帯電話の着信を禁止する」、「副業(内職)の禁止」などは、参加者同士が不快な思いをしないためのルールです。これにより、規律が保たれ、会議への集中力が高まります。

グランドルールに絶対的な正解はありません。会社の文化や方針に合わせて柔軟に設定し、参加者全員が会議に集中できる環境を整えることが大切です。

■特徴④「問題ではなく成長の機会に時間を割く」
四つ目の特徴は“問題ではなく成長の機会に時間を割く”ことです。

会議では様々な議題が挙がり、それについて議論が行われます。
しかし、放っておくと“会社の問題をどう解決するのか”という議論に終始してしまうことがあります。それに何か問題があるのか?と考える方も多いかもしれません。

問題とは、例えば事業であれば、社会のニーズが減少し長年赤字が続いている事業をどのように立て直すか、人材面であれば、パフォーマンスの低い社員の生産性をどのように高めるかといった課題です。

確かに赤字続きの事業やパフォーマンスの低い社員をどうにかしたいという気持ちは分かります。しかし、そのような問題ばかりにフォーカスし、議論していては会社は大して成長しません。成長したとしても売上高前年比105%程度に留まるのではないでしょうか。
それではどうすれば良いのか?それは会社が成長する機会にフォーカスすべきなのです。事業で言えば社会のニーズが高まり成長している事業を更に成長させるためにどうするのか?人材面で言えばパフォーマンスの高い社員の生産性を更に高めるためにどうすれば良いのか?またはパフォーマンスが向上している社員をどうやってハイパフォーマーにするのか?ということです。

急成長を遂げている会社においても、問題は沢山発生しています。いや、急成長を遂げているが故に問題は普通の会社以上に発生しています。しかし、成長し続ける会社は問題ではなく、成長する機会にフォーカスしています。だからより成長できるのです。

かの有名なピーター・F・ドラッカーは著書『経営者の条件』で下記のようなことを述べています。
「問題に圧倒されて機会を見失うことがあってはならない。
ほとんどの組織の月例報告が第一ページに問題を列挙している。
しかし、第一ページには機会を列挙し、問題は第二ページとすべきである。
よほどの大事件でも起こらないかぎり、問題を検討するのは、機会を分析し
その利用の仕方を決めてからにすべきである」

問題について議論してはいけないと言っている訳ではありません。優先順位と時間配分の問題です。

私の経験上、問題の議論、特にパフォーマンスの低い社員をどうするのかという話はゴシップ的に盛り上がりやすいし、時間も割かれやすいです。
しかし、そのような問題児が会社を成長するきっかけになることはありません。
経営層の貴重な時間をそんな成長とは関係のない分野に使うのはあまりにも勿体ないことです。

人間は元々強みよりも弱みに目が行きがちです。なぜなら迷惑を掛けられるのが嫌だからです。しかし弱みは努力して改善しても普通になるだけです。世の中に貢献できるのは強みだけです。

以前、息子と一緒に「走り方教室」という習い事の見学に行ったことがあります。
そこでいた子供は大きく二つのタイプに分かれていました。一つは走るのが得意で更にそのスキルに磨きを掛けたいと思って参加している子。もう一つは走るのが苦手で少しでも早く走りたいと思って参加している子です。
この辺りは多様な価値観や考え方があると思うので、何が正しいと一概には言えないと思いますが、個人的な考え方としては後者の苦手な子は他に得意なことを見つけてそれを習った方が良いのではないかと思います。なぜなら走るのが苦手でも他に絵でも音楽でも工作でも得意なものに時間を投資した方が強みを活かして実績を挙げ、自己肯定感も高まるからです。
コンプレックスを克服させてあげたいと思う親心も理解できますが、苦手なことを続けるのは本人としても結構きついのではないかと思います…。

会議では自社の問題にフォーカスして弱みを克服するよりも、成長の機会にフォーカスして強みを更に伸ばすという時間の使い方をすべきだと思います。

■特徴⑤「議題に対するYes Or Noをハッキリさせる」
五つ目の特徴は“議題に対するYes Or Noをハッキリさせる”ことです。

会議に出てよく感じるのは、参加者のスタンスが曖昧でどっちつかずの意見が多いということです。例えば、『この制度を導入すべきか?』という議題があったとします。それに対して参加者に意見を求めると、「競合他社でも導入している事例が増えてきているので、わが社でも検討する必要があると思います・・」とか「社会情勢からしてもそういった社員のニーズは高まってきていますが、コスト面の負担も考慮しないといけませんね・・」という意見が出ます。
そのような曖昧なスタンスだと、導入に賛成なのか反対なのか、本人としてどうしたいのかがよく分かりません。そのような際、私は導入すべき、すべきでないか”Yes”か”No”で答えて、その理由も述べてくださいと突っ込むようにしています。なぜならそのような曖昧な意見が多いと議論が深まらないからです。私としては専門的な知見を持ち社内の事情も熟知している経営幹部のどの程度の割合の人が導入すべきだと思っているのか、そしてなぜ導入すべきだと思っているのか自分の責任のもとで意見を出して欲しいのです。曖昧なスタンスで発言することは責任逃れだと思います。曖昧なスタンスだと対立や葛藤が生まれにくいし、ズレたことを言っているなと批判されることも少ないからです。明確なスタンスの意見があるからこそ、対立意見を持つメンバーとの議論が発生し、そのような議論があるからこそこれまで気づかなかった視点や代替案が浮かび上がることが多いのです。
ピーター・F・ドラッカーは著書『経営者の条件』の中で「意志決定において意見の不一致こそが問題への理解を促す」、「重要なことは、意見の不一致が存在しないときには決定を行わないことである」と述べており、何かを決定する過程では意見の不一致が必要だと言っています。このようにスタンスを明確にすることで、活発な議論になり正しい意思決定に繋がるのです。
またスタンスが曖昧な発言をしている人は本当の意味で深く考えていないことが多いと思います。どっちつかずの意見であれば批判を受けることもないため、表面的な言葉を見繕ってその場をしのごうとします。しかし、明確なスタンスで結論を出すことは責任を伴うので、その際は自分なりに真剣に考えて発言をするようになります。

このように「議題に対するYes Or Noをハッキリさせる」ということを意識した進行を行うと一気に議論が活発になり、成果の出る会議になります。

■特徴⑥「トップは一通り意見が出るまでは質問を中心にする」
六つ目の特徴は“トップは一通り意見が出るまでは質問を中心にする”ことです。

会議参加者が経営幹部であっても、サラリーマンであることに変わりはありません。サラリーマンとして、会議では経営者の意向に反する発言を避けようと考えるものです。議題について自分なりにどのように考えているのかということ以上に、経営者はどのような答えを望んでいるのかということを気にして、経営者の発する一つ一つの言葉に集中し経営者の意向を探ります。
そのため、経営者が最初から結論めいたことを言うと、ほとんどの参加者はその意見に流され、自分の考えを封印してしまいます。しかし、それでは衆知を集めることができません。正しい意思決定を行うには、各ポジションの責任者の立場としての意見を幅広く集めることです。例え経営者が優秀であっても現場の状況で見えていないこともありますし、気付いていないこともあります。また参加者のそれぞれの立場の意見を聞くことで、更に考えをブラッシュアップすることにも繋がります。
パナソニックの創業者である松下幸之助さんも「一人より二人、二人より三人、できるだけ多くの人から、できるだけ多くの話を聞こう。」と衆知を集めることの重要性を説いていました。それぞれの現場の責任者である経営幹部のプロとしての見解を聞き、議論を深めた方が間違いなく良い結論が出ます。

私が会議に参加する際には、経営者には極力結論は述べず、気になったことを質問してもらうようにお願いしています。参加者の意見が一通り出た後に、会社の責任者として経営者に結論を出してもらうようにしています。結論については、多数決ではありません。例え全員が反対したとしても一通り意見を出した後であれば、経営者の一存で決定してもらいます。
近鉄グループの中興の祖である佐伯勇さんは「独裁すれども独断せず」という言葉を残しています。これは他の人の意見を聞かず一人で決める独断は避けるべきですが、最終結論は自分で出して、それを徹底してやり切らせるという意味です。

経営者から、「自社のメンバーには自分の意見がなく、いつも一人で考えなければならない」という嘆きをよく耳にしますが、まずは自ら結論を出さず、議題に対する意見を問う質問を投げかけるスタイルを採用すべきです。

■特徴⑦「衆知を集めるために付箋を活用する」
七つ目の特徴は“衆知を集めるために付箋を活用する”ことです。

会議では、声の大きい特定のメンバーばかりが発言し、他のメンバーの意見が反映されないことがよくあります。
会議で自分の考えを発言しないのは問題かもしれませんが、声の大きな人が場を支配していると発言しにくいものです。結果的に声の大きな特定メンバーの意見が総意のような形で議論がまとまるケースが多いのですが、それでは衆知を集めることができません。声の大きなメンバーは、発言しないメンバーについて「意見がなく、何も考えていない」と感じるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。

私が会議を進行する際には、発言の少ないメンバーや、その議論で重要な役割を担うと考えられるメンバーに対して、こちらから指名して意見を求めることがあります。そのような意見の中には、議論の結論を覆すほど重要なものが含まれていることもあります。
また、特定の議題の中で多くの意見を集めたい場合に便利なのが付箋です。「会社の問題点」、「来期取り組むべきこと」、「生産性向上のために削減すべきプロセス」など、単なる「Yes」や「No」といった回答ではなく、回答者の自由な発想を促すオープンクエスチョンを用いる際に特に有効です。
参加メンバーに付箋とサインペンを渡し、10分程度時間をとってそこに自分の意見を書いてもらいます。そしてその付箋をホワイトボードに貼りながら発表をしてもらいます。貼り付ける際は、KJ法(意見を分類しながら整理する手法)のように似た意見を近くに貼り、グループ化していくと全体の意見が整理されやすくなります。
付箋を活用するメリットとしては、全員の意見を平等に収集できるだけでなく、意見を視覚化することで情報を整理しやすくなる点や、整理された情報から新たなアイデアが生まれやすくなる点が挙げられます。また既に付箋に記載しているため、声の大きいメンバーに忖度して発言を封印するということも少なくなります。

特定のメンバーだけが発言し、衆知を集められていないと感じたら、雰囲気を変えるためにも付箋を活用してみてください。

■特徴⑧「人数を増やしすぎない」
八つ目の特徴は“人数を増やしすぎない”ことです。

会議に出ていて感じるのが、ただ座っているだけの人が多いということです。発言もせず、他人の話を聞くだけで、飽きると内職を始めます。参画意識も貢献度も低いです。
なぜそのような現象が起きるのか?要因の一つは会議の参加メンバーが多過ぎることです。

会議の人数が多いと、主体的に参加しなくても目立たず、参画意識が下がり他人事になりがちです。また場の迫力に圧倒され、発言も極端に減ります。そこにいる意味・意義が薄いと感じるようになると内職を始めます。
情報共有が目的の場合は、ある程度の人数になることはやむを得ないかもしれませんが、議論がメインの会議では人数を絞り込むべきです。私の経験だと議論がメインの会議は5~7人が適切です。4人だと議論する際に、意見の幅が足りないと感じます。一方で8人だと参画意識が低下し、発言が少なくなります。また全員の意見を聞いていると会議全体が長くなりがちです。5~7人であれば、主体性を持った意見を幅広く集められ、会議時間も長引かずに終わります。
Amazonでは、「会議の参加者はピザ2枚で満足する人数」というルールがあります。CEOのジェフ・ベソスが会議の生産性を高めるために提唱したそうです。ピザ2枚を何人で食べるのかという感覚は人によって異なると思いますが、上記の人数とそれ程大きな乖離はないと思います。

店長会議など、特定の階層のメンバー全員を集める場合は、どうしても人数が多くなります。その場合は、情報共有と議論に時間を分けて、議論の時間は小グループに分けて実施すると活発に意見が出るようになります。

人件費の高いメンバーを大勢集めて、非効率な時間を過ごすことは、会社にとって大きな機会損失です。それだったら現場の仕事に時間を使い、組織に貢献してもらった方がずっと良いはずです。
もし参加者が内職ばかりしており、やる気が感じられない場合は、会議の参加者を見直してみてはいかがでしょうか。

■特徴⑨「映写しながら議事録を作成する」
九つ目の特徴は“映写しながら議事録を作成する”ことです。

会議において口頭だけのやり取りでは認識の食い違いが生じたり、重要な内容が曖昧に流れてしまうことがあります。そのため、重要な会議では議事録を作成すべきです。

議事録を作成する際にオススメなのが、モニターやプロジェクターに映写し、参加者全員で議事録の内容を確認しながら会議を進めることです。発言内容が文字として落とし込まれることで、認識の食い違いを防ぐことができます。文字になった内容を見てニュアンスが異なる場合はその場で修正してもらえます。また、文字として視覚化することで、ホワイトボードを使った場合と同様に、新たな発想が生まれる効果があります。また会議をしながら議事録を作成しているので、別途議事録を作成する手間が省けます。
以前、ある大企業では、会議音声を録音して文字起こしを行い、議事録を作成していました。2時間の会議の議事録の作成に丸二日掛けていました。特に社内で共有するだけの議事録ならそこまで体裁にこだわる必要は無いと思うので、その場で重要な会話を入力するだけで十分だと思います。また作成に時間が掛かるということはその議事録が共有されるまで数日間を要するため、参加メンバーが自部署で報告するのにも不都合です。
私自身、会議の司会進行をしながら議事録を作成することがありますが、会議直後、遅くとも数時間以内には参加メンバーに共有します。多少「てにをは」が不自然でも、意味が通じれば問題ないと考えています。それよりもスピーディーに共有することの方が優先順位は高いです。
私が顧問を務めるお客さま企業では会議の議事録は終了後30分以内に送付するというルールを設定しています。これは議事録作成に手間を掛けずスピーディーに共有することを目的にしています。

■特徴⑩「具体的なタスク・担当・期日を明確にする」
10番目の特徴は“具体的なタスク・担当・期日を明確にする”ことです。

多くの会議に参加する中で、漠然と話し合い、結局具体性に欠けたまま終わる会議も見受けられます。方針を立てて組織運営をしていく中では会議以外の場所でそれぞれのメンバーが個別にアクションを起こすことが重要です。
そのためには、各方針に基づいて、各自が何をすべきか具体的なタスクを明確にする必要があります。ここで重要なのはそれぞれのアクションに対する担当と期日を明確にすることです。主体的に担当を引き受けてくれる人もいますが、多くの場合、忙しい中で仕事を増やしたくないというのが本音でしょう。また期日に追われて仕事をするのが嫌だという人も多いと思います。
そのような中、和気あいあいと忖度が蔓延する組織では、担当や期日を明確に決めない傾向があります。結局やるべきタスクは決まっているが、誰がいつまでにやるのか不明確で進捗しないという状況に陥ります。そのため、多少の軋轢や葛藤が生じても、勇気をもって担当と期日を明確にすることが必要です。
具体的なタスク・担当・期日を議事録に記録することで、確実にアクションを起こしてもらうことが重要です。記録に残すことで、『言った・言わない』の問題を防ぎ、担当者が責任を持って行動するよう促せます。

■良い会議が良い会社を作る
ここまで成果の出る会議として10個の特徴を挙げてみました。これまでの経験上、会議の内容が良くないと全社の雰囲気も悪くなり、業績もパッとしません。しかし、会議の内容が良くなるにつれて、会社に規律が生まれて活性化し、業績も向上するものです。会社をより良くするために、会議の見直しを検討してみてはいかがでしょうか。

平野 薫

 


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