当社は15人ほどの小さな経営コンサルティング会社ですが、私はその経営を行いながらコンサルタントしても活動しています。その関係で、会議に出たり、講演を頼まれることも多く、全国を移動しています。その際に新幹線を使うことも多く、一番多い年には、ひと区間を一回として、170回新幹線に乗ったことがあります。一日に5区間乗車したこともありました。いまでは減りましたが、それでも年に100回を下回ることはありません。
私の仕事が、全国を移動しながらもスケジュール的にトラブルもなく実施できているのも、新幹線が時間に正確に運行されることのおかげだとつくづく有難く思っています。
このところも移動の多い毎日を過ごしています。私は東京に住んでいますが、先々週は、水曜日から土曜日までの4日間で、大阪、名古屋、広島、小倉、鹿児島を訪問し、鹿児島からは飛行機で羽田に戻りました。大阪、名古屋、鹿児島は講演で、小倉では親しいお客さまと昼食を採りながら打ち合わせをしました。広島は単に中継地で宿泊しただけです。
これらの移動を新幹線が支えてくれました。というよりは、正確に運行される新幹線なしでは不可能です。小倉では、駅に12時43分に着き、13時43分発の列車で鹿児島に向かうというスケジュールでした。お客さまの事務所が小倉駅のすぐ近くだからできたということもありますが、正確に新幹線が動いてくれるので、その後、定刻の15時37分に鹿児島中央駅に到着し、車で10分くらいの場所での16時からの講演に十分間に合いました。
先週も、愛知県の一宮で午前中、午後に名古屋でそれぞれ会議に出た後、その日の夕方に横浜駅前での古くからのお客さまの60周年記念パーティーに参加し、夜に翌日の講演のために大阪まで行きしましたが、こちらも予定通りに移動ができました。
大分前に、新幹線が東京駅に着いたときに車掌さんが「30秒遅れで到着して申し訳ありません」とアナウンスしたことがありました。「30分」ではなく「30秒」です。乗客には分からないことですが、15秒単位での運行管理からこういうアナウンスがあったものだと、感心したものです。
先月のモロッコとスペインの当社主催のツアーの際にも、現地の新幹線でスペインの首都マドリードから地中海に面したバルセロナまで移動しました。時速300キロを出す新幹線ですが、2時間半ほどでほぼ定刻に移動しました。団体での長旅でしたが、新幹線のおかげもあり、予定通り旅程をこなすことができました。
長い間、新幹線のお世話になり、おそらく3000回ほどは新幹線に乗ったでしょうが、経済の変化も新幹線車内で感じることがあります。
コロナの期間には新幹線はガラガラでした。東京から新大阪に移動した際に、新大阪到着時の乗客がひと車両に3人というとても寂しい思いをしたことがありました。
今では、多くの列車が場合によっては満席に近い状態で動いています。ひと列車で1000人くらいの人が乗っているでしょう。外国人が多いのも目立ちます。コロナが明け、円安もあり、日本を訪れ新幹線を使う人も多いからです。京都などではオーバーツーリズムが問題になるほどです。
さらには、日本人でも高齢者のカップルが目立ちます。先日も、私の隣に小学校高学年くらいの女の子が座りましたが、その子の祖父母と思われるカップルのお供をしていました。おじいちゃんにWiFiを接続してもらって、自身のタブレットでゲームをしていたのが、いかにも今の時代だと感じます。高齢者の比率が上がる中、定年などで引退されたカップルの新幹線で旅を楽しむ方たちが増えているのでしょう。
私は、年齢的にはあと何年間新幹線に乗れるかなと思うことがありますが、この先もしばらくは新幹線にお世話になりたいと思っています。
小宮 一慶