米国がイランとの開戦に踏み切りました。日本のインフレ再燃や金利上昇が心配です。
まずはインフレです。中東情勢が不安定化する中で、原油やLNGの価格が騰勢を強めています。1月には1バレル60ドル程度だった原油価格が一時110ドルを超える水準となりました。原油の移動が困難になっており、産油国は減産を行うところが増えています。ホルムズ海峡の封鎖状況にもよりますが、今後さらに上昇する可能性もあります。
心配なのは日本の物価です。2025年は3%前後で推移していた消費者物価ですが、今年1月には2.0%にまで下落しました。しかし、これは昨年12月末のガソリンの暫定税率廃止や、電気やガスの補助金の影響が大きく、食料品などは値上がりが続いています。
日本は年間110兆円を超える輸入のうち、約4分の1がエネルギーです。そんな中での原油価格の上昇です。また、このところ158円を超えて進んだ円安も大きく輸入物価に影響します。このままでは、ガソリン価格は暫定税率廃止を帳消しにするくらいの上昇をし、電気・ガスは今後は補助金がなくなることに加えて、原油やLNG高の影響を受けて大幅な上昇が予想されます。インフレの再燃です。
インフレが再燃すると、昨年1.3%下落した実質賃金のことが心配になります。実質賃金は実額である名目賃金からインフレ率を差し引いたものですが、4年連続でマイナスが続いており、国民生活は以前より厳しくなっています。インフレがひどくなると当然、実質賃金が下がります。それでは、これまでと同じものが同じ値段で買えなくなります。子供さんがいるような家庭では、食料品などは量を確保せざるをえないですが、量を確保しようとすると質を落とさざるを得なくなります。
この春にある程度の賃金上昇は見込めますが、インフレはそれを帳消しにします。
そうするとインフレを抑え込むしかなく、日銀は政策金利(短期金利)を上昇させざるをえません。おそらく、現状0.75%の政策金利を、4月の政策決定会合で0.25%上昇させ、政策金利が1.0%になると考えられます。年末には1.25%まで上昇する可能性も低くありません。
また、政府はインフレ対策を行わざるを得ない状況となります。ガソリン、電気、ガスなどへの補助金を出すなどです。そうすると、もちろんその財源が必要です。それでなくても対名目GDP比で235%という先進国中最悪の財政状況の現状では、高市政権の「積極財政」の掛け声だけで長期金利が大きく上昇し、一時は10年国債利回りが2.3%にまで上昇しました。現在は少し落ち着いて2.2%台ですが、こちらも再上昇する確率が高いでしょう。
イランでの戦争の行方次第ですが、今後の原油価格、日本のインフレ率、金利からは当分目が離せない状況です。
小宮 一慶