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企業経営とガバナンス

小宮一慶のモノの見方・考え方
2026.03.23

ニデックで不適切会計の問題が起こりましたが、創業者の永守重信氏の存在が大きかったと報じられています。永守氏は1973年に日本電産を立ち上げ、町工場を一代で精密モーター分野では世界有数の企業にまで育て上げた人物です。それほどの業績を出したうえに、「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」をモットーにがむしゃらに前に進む性格もあり、周りのだれもが異論をはさむことが許されなかったという社風が出来上がってしまったのでしょう。上場企業でありながらガバナンスが全く利かない状態に陥っていたとしか言いようがありません。

あまりにも結果の数字を追い求め過ぎたことが、今回の不祥事を招いたとも言えるでしょう。数字はあくまでも結果であり、やはり、ドラッカー先生の「成果と実績や結果の違い」を理解することや、私の人生の師匠の藤本幸邦老師の「お金を追うな、仕事を追え」といった考え方が必要だったと考えます。

ここで思い出されるのが、松下幸之助さんです。松下さんは、素直ということをとても大切にされていたことで有名で、衆知を集めることの重要さをご存じでした。そして、自分の力が強くなり過ぎることにも注意を払っておられました。働く人が意見を言いにくいからと、自らが促して組合を作らせたと言われています。門真市にあるパナソニックミュージアム松下幸之助歴史館の前には松下さんの大きな銅像が置かれていますが、それを寄贈したのは組合です。組合結成25周年事業として創業者の銅像を建てたのです。

ガバナンスとは、本来議論されないといけないことが議論されていることだと私は考えています。実力者の鶴の一声で、あとは何も議論されずに物事が決せられているのは、ガバナンスが機能しているとは言えません。どんなに優秀な人でも必ず間違います。その場はそれでいいかもしれませんが、結局は、その会社や働く人のためにはならず、社会にも迷惑をかけることとなりかねません。

本来、ガバナンスは手間のかかるものですが、丹念な深い議論が忌憚なくできるようになれば、逆に経営の失敗は少なくなり、また、それを行える人が増えれば、企業の寿命も延びるものです。

なかなか実力者の意見に異を唱えるのは難しいことなのは、私もよく理解しています。ひとりの独断から組織を守るためには、「考え方」を求心力にする必要があります。人を求心力にするのではなく、組織の目的やあるべき姿を求心力にすることが大切です。宗教団体が何千年にもわたって長続きするのは、考え方を求心力にしているからだと考えられています。

リーダーは自分を求心力にするのではなく、正しい考え方の宣教師となるべきです。教祖ではありません。

私も小さな会社を作って30年になります。創業経営者でオーナー経営者です。16人の会社ですが、私に面と向かって異を唱える人はまずいません。組織を長く続かせるためにも、私も正しい考え方の宣教師となり、考え方を求心力にした組織を作りたいと切に願っています。

小宮 一慶

 


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