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豊かな人生を送るために、削ってはいけない『五つの時間』

知恵のバトン
2026.04.09

(弊社所属のコンサルタントによる長編コラム「KC文集2026」掲載記事)

■何でも効率化すれば良いというわけではない
昨今、タイムパフォーマンス、いわゆる「タイパ」がブームとなり、若者やビジネスパーソンを中心に時間効率の重要性が語られています。私自身も、拙著『なぜコンビニでお金をおろさない人はお金持ちになれないのか?』(ダイヤモンド社)の中で、時給2,600円の人が往復1時間かけて110円を節約していることを例に挙げるなど、時間の効率についてはかなり意識してきました。

実際、小宮コンサルタンツで経営コンサルタントとして仕事をしているほか、3社で社外取締役を務めており、2025年は飛行機に83回、新幹線に80回乗り、ホテルに140泊するなど、おかげさまで忙しい日々を送っています。この数年間は、少しでも多くの予定を入れるために効率化を進め、無駄なものを削減し、少しでも早くタスクをこなすことに喜びを感じていました。せっかちな性格も相まって、スケジュールは常にぱつぱつという状況です。

そんな中、昨年3月、出張先で帯状疱疹を発症しました。56日の出張の途中で、帰京したその日に次の56日の家族旅行へ出発するという強硬スケジュールだったため、病院に行く時間的余裕がありませんでした。結局、朝4時半にオンライン診療を受け、その場で出張先の調剤薬局に処方箋をFAXしてもらい、早期に治療をすることができました。

帯状疱疹は50歳以上で発症するものだという認識を持っていました。40代も半ばを過ぎたとはいえ、まだ早い気がしました。しかし診察してくれた医師によると、疲労やストレスが重なると若くても発症するとのことでした。確かに、この数年は仕事もプライベートも生産性を高めることを追求し、心身への負担が大きかったのかもしれません。

この出来事をきっかけに、改めて時間の使い方について考えるようになりました。現代社会では、あらゆる場面で効率化が求められます。生産性を高めるために効率化が重要であることは間違いありません。しかし、効率化を追求しすぎるあまり、本当に大切なものまで削ってしまっているのではないでしょうか。時間についても同様です。効率化によって生まれた余裕の時間で、何をするのかが重要なのであって、効率化そのものが目的になってしまっては意味がありません。

効率化しすぎてはいけない時間もあります。今回は、削ってはいけない時間を5つに整理してみました。

一つ目は「人」と過ごす時間です。誰と過ごすかによって、幸福感も仕事の成果も大きく変わります。
二つ目は「自己実現」の時間です。どのような人生を生きたいのかを長期的に考え、それを短期の行動やスケジュールに落とし込まなければ、理想の人生を送ることはできません。
三つ目は「学び」の時間です。学ぶことで無駄な遠回りをせずに済むこともありますし、何より教養があることで感動する機会が増えます。結果として、経済的な側面にも良い影響を与えます。
四つ目は「休息」の時間です。個人的にも疎かにしやすい部分ですが、休息をしっかり取ることでパフォーマンスは確実に上がります。休むことはサボりではなく、成果を最大化するための戦略です。
五つ目は「非日常」を経験する時間です。仕事でもプライベートでも同じことの繰り返しだと感性が鈍ります。やったことがないことを経験することで感性が磨かれ、自分の頭で考える習慣が身につきます。

この後は、今挙げた「削ってはいけない五つの時間」について、順に深掘りしていきたいと思います。

■削ってはいけない時間①:「人」と過ごす時間
コロナ禍の前後で、世の中は大きく変化しました。その中でも特に大きな変化は、リアルで人に会う機会が減ったことではないでしょうか。もちろん、コロナが収束し、リアルで会う機会はだいぶ戻ってきましたが、効率化の名のもとに在宅ワークが定着し、オンラインミーティングが増えたのも事実です。必ずしもリアルがすべて正しいとは思いませんが、オンラインですべてを代替できるわけではないと感じています。

起業家のジム・ローンは、「あなたは、最も一緒に過ごす時間の長い5人の友達の平均になる」という言葉を残しています。つまり、誰と過ごすかが、自分がどのような人間になるかに大きな影響を与えるということです。何かを成し遂げたいのであれば、そのような活動をしている人たちのコミュニティに身を置くことも一つの方法でしょう。

私自身、この数年で接点を増やしているのが著者仲間のコミュニティです。もともと出版をしたいと考え、出版のためのゼミに参加しました。個性的なメンバーが多く、当初は戸惑いもありましたが、大きな刺激を受け、楽しい時間を過ごすことができました。出版という目的は達成しましたが、次の出版に向けて交流を続けたいと思い、現在も毎朝、著者仲間と朝活を続けています。そうした場に身を置くことで、仕事が忙しくても、わずかでも出版に関することに時間を使おうという意識が自然と生まれます。

経営者や経営幹部の皆さまであれば、志の高い経営仲間と定期的に会うことをおすすめします。日々忙しく仕事に追われていると、どうしても目の前の課題に意識が向きがちです。その結果、長期的に仕事を通じてどのような世の中をつくりたいのかというミッションやビジョンを忘れてしまうことがあります。そんなとき、志の高い仲間と会い、夢を語り合うことでエネルギーが回復します。私は、このような志のエネルギーを回復させる時間を、F1になぞらえて「ピットイン活動」と呼んでいます。

また、仕事抜きで会える友人と定期的に会うことも大切だと思います。皆さんは、引退後も継続的に会える友人が何人いるでしょうか。仕事を通じて会っている人は、仕事だから会っているのでしょうか。それとも、仕事抜きでも会いたい、あるいは会いたいと思ってもらえているでしょうか。

私は、仕事以外で定期的に会う友人やグループがあります。この歳になると、それぞれが忙しく、予定を調整して実際に集まるまでに数カ月かかることも珍しくありません。それでも、老後になっても会えるかけがえのない友人たちなので、手間がかかってもスケジュールを調整し、集まるようにしています。

子どもと過ごす時間は、プライベートの中で最も大切にしている時間です。10年以上前の話になりますが、コンサルタントとして実績が上がり、お客さまのお役に立てている実感を持っていた時期に、弊社代表の小宮から言われた言葉を今でも覚えています。

「最近、仕事楽しい?」

そう聞かれたので、「はい。お客さまのお役に立てている実感があって楽しいです」と答えました。すると小宮は、「そういうときは、ついつい家庭を疎かにしてしまうから気を付けたほうがいい。仕事も家庭も、手間をかけないと良いものはできない。特に子どもとの時間は取り戻せないから」と言いました。

当時を振り返ると、仕事が順調だったこともあり、家庭よりも仕事を優先する意識が強く、家庭に対して雑になっていたように思います。それ以降、家族旅行は年間計画に組み込み、週末も仕事が入っていなければ、半日だけでも必ず子どもと出かけるようにしています。

2025年の夏にオーストラリアのエアーズロックを訪れた際、小学3年の次男が「自分に子どもが生まれたら、この場所に連れてきてあげたい」と言ってくれたことがありました。この一言は、今でも強く心に残っています。

会社に目を向けると、かつてと比べて飲み会や社員旅行などのイベントは減ってきています。特にコロナ禍においては、意味がない、無駄だという理由でやり玉に挙げられることもありました。しかし私は、非日常の空間で共に過ごすことは、価値観を共有し、相互理解を深め、一体感を醸成するうえで非常に重要だと考えています。

年度末にお客さまの幹部メンバーと合宿を行う機会も多いですが、そこには来期の経営計画を立てるだけでなく、根底にある信頼関係を築くという大きな意味があります。
このように、「人」と過ごす時間は、幸せに生きるうえでも、成果を出すうえでも、決して削ってはいけない時間なのです。

■削ってはいけない時間②:「自己実現」の時間
皆さんは、どのような人生を歩みたいか、明確にイメージされているでしょうか。
弊社のお客さまであれば「散歩のついでに富士山に登った人はいない」という言葉をご存じだと思いますが、人生で何かを成し遂げるうえで、どうなりたいのかというイメージやビジョンを持つことは非常に重要だと思います。

今から10年以上前のことですが、お客さまの経営者と鹿児島にある「知覧特攻平和会館」を訪れました。そこには、第二次世界大戦末期に出撃した特攻隊員が、出撃前夜に書いた遺書が展示されていました。それを見たとき、私が考えたのは、「明日、確実に死ぬと分かっていたら、自分はどのような後悔をするのだろうか」ということです。そして、そこから自分は人生で何を成し遂げたいのか、どのような生き方をしたいのかを考えるようになりました。

どのような人生を歩むのかということは、誰かに強要されるものではないと私は考えています。もちろん、世のため人のために人生を捧げることは尊いですし、そのような生き方をされている方々を心から尊敬しています。ただ、自分のすべてを犠牲にしてまで世のため人のためになることをしたいかというと、私自身はそこまでの境地に達しているわけではありません。

やりたいことや成し遂げたいことは、内容も規模も人それぞれで良いと思います。大切なのは、自分自身が納得できる人生を送れたかどうかです。ビジネスパーソンとして引退するとき、そして人生の幕を閉じるときに、「あれもやりたかった、これもやりたかった」といった後悔が少ない生き方ができていたら、それはとても幸せなことではないでしょうか。そのような後悔の少ない人生を送るために、まずは自分の成し遂げたいこと、やりたいことをリストにしてみることをおすすめします。

別に人に見せるものではありませんので、夢や妄想でも構いません。私自身もリストを作成していますが、ここ数年で達成できたものとしては、仕事面では出版や社外取締役への就任があります。現在は、それらを踏まえて、さらに目標を高く再設定しています。プライベート面で達成できたことは、富士山に登ることや縄文杉を見に行くことです。足掛け3年でチャレンジしているカジキを釣るという目標は、今も進行形で取り組んでいます。

人は、なろうと思わないものにはなれません。まずは変に小さくまとまらず、自分の夢や妄想を言語化することが大切だと思います。私自身、小宮コンサルタンツに入社した当時、現在のように多くのお客さまに仕事をさせていただき、社外取締役を務めたり出版したりすることは、正直なところ夢でしかありませんでした。しかし、成し遂げたいことを明確にし、コツコツと積み上げていくことで、かつて夢だと思っていたことが現実になっていきました。

この「成し遂げたいこと・やりたいことリスト」は、弊社代表の小宮が推奨している「年間10大ニュース」を作成するタイミングでメンテナンスすると、忘れにくくなりおすすめです。どのような人生を歩みたいのか、何を成し遂げたいのかという大きな方向性が明確になると、一年の目標設定がしやすくなります。

私は毎年、年末年始の休暇のタイミングで一年間の目標を設定しています。仕事面とプライベート面で、それぞれ概ね五つずつ設定するようにしています。このとき意識しているのは、行動目標と結果目標をセットで考えることです。例えば仕事面では、行動目標として「執筆仲間との朝活に毎日参加し、週3時間の執筆時間を確保する」、結果目標として「2冊目の出版決定・執筆完了」といった具合です。プライベート面では、行動目標として「週1回以上ジムで筋トレをする」、結果目標として「ベンチプレス80kg」と設定しています。

年間目標は、毎月月末に振り返りを行います。月末振り返りの一番の目的は、目標を忘れないことです。目標を達成できない最大の理由は、目標そのものを忘れてしまうことだとよく言われます。そのため、私は手帳に「月末振り返り」と記載し、リマインドするようにしています。

一年の目標を意識しながら、それを毎週の週間行動計画に落とし込んでいきます。個人的には、ここをしっかり行うことが最も重要だと感じています。この週間行動計画は、自己実現のためだけでなく、日々のタスク管理や備忘録としても非常に有効です。

具体的には、まず23週間先までの予定をざっと確認します。先の予定を確認する理由は、今週前倒しで取り組むべきことがあるかどうかを把握するためです。私は性格的に仕事に追われる感覚があまり好きではありません。そのため、業務の波動はできるだけ平準化したいと考えています。直近23週間で手間のかかる仕事が見えていれば、可能な範囲で前倒しして着手するようにしています。

先の予定を確認したら、一日ごとの詳細なスケジュールを作成します。スケジュールは30分刻みで管理します。まずは、お客さまの経営会議や研修、社内の勉強会など、時間が固定されている予定を組み込みます。出張が多いため、電車や飛行機の時間などもこの段階で調べて記載します。なお、飛行機やホテルは2カ月以上前に予約すると安いため、まとめて予約しています。

次に、時間は固定されていないものの必ず対応すべき仕事を入れていきます。研修テキストの作成やメルマガ原稿の執筆、社内の経費精算などがこれに当たります。
そこまで組み込んだうえで、『7つの習慣』でいう第二領域、すなわち重要度は高いが緊急度は低いものを予定に入れていきます。次の出版に向けた企画検討やジムでの運動、読書、子どもとスキーに行くといった時間です。第二領域の時間をどれだけ確保できるかで、人生は大きく変わります。しかし緊急度が高くないため、放っておくとなかなか着手できません。だからこそ、予定に組み込み、強い意志を持ってその時間を守る必要があります。

週間行動計画のポイントは二つあります。一つ目は、すべてのタスクについてスタート時間と所要時間を決めることです。単なるToDoリストでは、どの順番でどれくらい時間がかかるのかが見えません。しかし、どの時間帯に何をやるのかを決めておけば、嫌なことを先延ばしにしにくくなり、限られた時間で終わらせようという意識も高まります。

もう一つは、就業時間だけでなく、朝や夜、休日の時間も含めて計画することです。私の経験上、人生で差がつくのは就業時間以外の時間の使い方です。就業時間は多くの人が仕事に集中しますが、それ以外の時間をどう使うかは人によって大きく異なります。もちろん、朝も夜も休日もすべて仕事に直結することをすべきだと言いたいわけではありません。YouTubeを見たり、ゲームをしたりする時間があっても良いと思います。ただし、それも「休日の13時から17時まで」といったように、自分で時間を決めて行うことが大切です。

一週間のスケジュールを立てるということは、自分にとって理想の一週間を想像することでもあります。どのような時間の使い方ができれば理想なのかを考え、それを形にしていく。場当たり的に過ごし、日曜の夜になって「なぜこんなことに時間を使ってしまったのだろう」と後悔しないためにも、できるだけ具体的なスケジュールを立てることをおすすめします。

このように、「なれる最高の自分」になるために、何を成し遂げたいのか、どう生きたいのかを明確にし、それを日々のスケジュールに落とし込む「自己実現」の時間は、決して削ってはいけない時間なのです。

■削ってはいけない時間③:「学び」の時間
「木こりのジレンマ」という寓話をご存じでしょうか。
ある木こりが、休むことなく木を切り続けていました。しかし次第に斧の切れ味は落ち、作業ははかどらなくなります。「少し斧を研いだらどうですか」と周囲が勧めても、木こりはこう答えます。「そんな時間はありません。木を切らなければならないのです……」
学びの習慣がない人は、短期的な時間を惜しむ一方で、長期的にはより大きな時間を失っていると言えます。

また、時折、何でも自己流でやろうとする方を見かけます。自分の経験を通じて得たノウハウや教訓は腹落ちしやすいかもしれません。しかし、自分の経験の中で得たものだけに頼っていると、結果的に遠回りになる可能性があります。

例えば、野球で変化球を編み出そうとする人がいたとします。その人が30年の年月を費やし、100万回ボールを投げて試行錯誤した末に発見した変化球は、実はただの「カーブ」だった、ということもあり得ます。すぐに投げられるかは別として「カーブ」の投げ方は少年野球の書籍を読めば10分で理解できる内容です。

ビジネス書も同様です。その道の第一人者である著者が、数十年かけて会得したノウハウを結集したものが一冊にまとめられています。経営も、生き方も、営業も、生産も、成果を出すための近道は実は学ぶことです。

では、具体的に何を学ぶべきなのでしょうか。弊社代表の小宮は、経営者が学ぶべき三つのこととして、「①新聞などを通して、生きた経済や社会の動きを知ること」「②経営の原理原則を学ぶこと」「③何千年もの間、多くの人が正しいと言ってきたことを学ぶこと」を挙げています。

この三つに共通して言えるのは、継続的に学び続けることの重要性です。①の経済については、常に変化しているため言うまでもありませんが、②や③についても、日々の仕事や生活の中で、人はどうしても考え方がブレてしまいがちです。だからこそ、定期的に正しい考え方や原理原則に触れる機会を持つ必要があります。

このように学ぶことの重要性は多くの方が理解していると思いますが、「そうは言っても勉強は苦手だ」と感じる方も少なくないでしょう。実は私自身も、暇さえあれば勉強するというタイプではありません。

そうした、私と似たタイプの方におすすめなのが、「学ぶ環境に身を置く」ことです。弊社のセミナーや合宿に参加されている方であれば実感されていると思いますが、事前準備から当日まで、学ばざるを得ない環境に身を置くと、人は意外と頑張って勉強するものです。

前述のとおり、私は現在、著者仲間との朝活に毎日参加しています。20代の頃は、同僚と有志で勉強会を開き、就業時間後にカフェで勉強していました。今でも、集中して何かをまとめたいときには図書館に行くことがあります。

できない理由を探すよりも、やらざるを得ない環境に身を投じることのほうが、よほど効果的だと思います。

成果を出し精神的にも経済的にも豊かになるために、「学び」の時間は決して削ってはいけない時間なのです。

■削ってはいけない時間④:「休息」の時間
働き方改革が進み、以前と比べてブラックな労働環境は減ってきましたが、そうはいっても根っから真面目な方や責任感の強い方ほど、あまり休もうとしない傾向があります。休まずに働いていることや、徹夜したことをこれ見よがしにアピールする、いわゆる昭和的な感覚を持っている方も、いまだに存在しています。

かくいう私自身も、前述したとおり、疲労とストレスが重なり、帯状疱疹を発症していますので、偉そうなことを言える立場ではありません。ただ、それをきっかけに、休息は意識して取るようになりました。休息を取ることは、仕事のパフォーマンスを高めるうえでも非常に重要だと感じています。

若い頃、部署異動があり、慣れない業務をこなすために毎日深夜まで仕事をしていた時期がありました。常に寝不足で頭がぼーっとした状態が続き、電車に乗ると10分もあればアラームをセットし、数分でも良いから眠ろうとしていました。目の下にはクマができ、表情も冴えず、声にも覇気がない。このような状態では、当然ながら仕事の成果は出ません。疲れて体調を崩してからでは、元の状態に戻すまでに時間がかかります。大切なのは「疲れる前に休む」ことです。

私は仕事柄、一流と呼ばれる成果をあげている方と接する機会が多くありますが、その方たちは例外なくエネルギッシュです。ただ、よくよく話を聞いてみると、身体のメンテナンスにはお金も時間もしっかりとかけています。

休息の中で、最も重要なのはやはり睡眠です。週末にまとめて寝だめをする方もいますが、寝だめをしなければならないということは、平日の睡眠が不足しているということでもあります。一日の生活リズムを崩すと、それを元に戻すにもエネルギーが必要になります。そのため、睡眠時間や起床時間は、なるべく一定に保つべきだと思います。

私自身、年末年始も執筆仲間との朝活に参加しており、年明けに最初に会話をした相手は家族ではなく著者仲間でした。睡眠を確保するうえで最も重要なのは、夜更かしをしないことです。夜というのは不思議な魔力を持っており、時間がエンドレスに続くような錯覚に陥ります。動画を見たり、漫画を読んだり、「あと少しだけ」と思っているうちに深夜になっていた、という経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

前述した一流の方々も、必要に応じて夜遅くまで飲みながら交流することはありますが、日常的には睡眠をしっかりと確保し、朝型の生活を送っている方が大半です。さまざまな誘惑を断ち切るためにも、まずは早く寝ることを心がけることが重要です。

私自身、ありがたいことにお客さまからお声がけいただく機会が増え、忙しくさせていただいています。仕事の特性上、「代理で他のメンバーに任せる」ということが簡単にはできないため、体調を崩さないよう、メンテナンスにお金と時間をかけるようになりました。例えば、インフルエンザの予防接種は入社以来、毎年欠かさず受けています。

予防接種の効果や副反応については、さまざまな意見があるかもしれません。しかし、もしインフルエンザに罹患して仕事に穴を空けた場合、予防接種を受けていたにもかかわらず罹患したケースと、受けておらずに罹患したケースとでは、お客さまの印象も、自分自身の罪悪感も異なると感じます。そういう意味で、健康管理もプロとしての責任だと考えています。

それ以外にも、ビタミン点滴や酸素カプセル、整体、歯のメンテナンスなどを定期的に行っています。また、30歳を過ぎてからは毎年胃カメラによる検査も受けています。

おかげさまで、この15年間で仕事に穴を空けてしまったのは、10年ほど前に椎間板ヘルニアが悪化し、夜間に救急車で運ばれた翌日の一度だけです。この文集を読まれている方は、責任ある立場の方が多いと思います。だからこそ、仕事に穴を空けることが会社に与える影響を理解したうえで、日頃から健康管理に取り組んでいただきたいと思います。

■削ってはいけない時間⑤:「非日常」を経験する時間
現代社会はとても便利です。しかし、便利すぎる社会は苦労が少ない反面、何も考えずに生きていけてしまいます。人間が狩猟採集生活をしていた縄文時代は、毎日獲物を取るために試行錯誤し、自ら生活のための道具を作り、外敵の脅威に怯えていたはずです。しかし現代は、スマホ一つでほとんどのことが解決しますし、身の危険を感じる機会もほとんどありません。実際、現代の日本人は縄文人と比べて脳の容量が平均して510%少ないという研究もあるようです。

だからこそ、私は敢えて自分の快適ゾーンから脱出して「非日常」を経験することが重要だと考えています。私は学生時代に休学し、海外をバイクで放浪した経験があります。もちろん当時はスマホもなく、かろうじて大きな都市にインターネットカフェがあった程度です。英語もできず、社会の仕組みもよく分からない状況だったので、日々自分の力で物事を解決しなければいけませんでした。バイクを大陸間輸送するにも、ツテも情報もなく、片言の英語で何とか糸口を見つけなければいけませんでした。アメリカの山奥でタイヤがパンクした際や、ブルガリアのホテルの浴室でドアのL字ノブが外れ閉じ込められた際、南米でタクシー強盗に襲われ真夜中に山奥に放置された際などたくさんのトラブルがありました。しかし、その都度自分で何をすれば良いのか、必死になって考えて解決してきました。

そのような状況は極端な例かもしれませんが、非日常では五感を研ぎ澄まし、頭をフル回転させます。そんな経験が感性を磨き、自分で考える力が身につきます。

先ほど挙げたようなトラブルを敢えて経験する必要は全くありませんが、「非日常」を経験する上でオススメなのは、知らない場所に行くことです。できれば一人で旅をすることです。言葉も文化も異なる外国だと最高だと思います。

昨年、弊社の海外視察セミナーでスペインに行った際、自由時間があったので一人で電車に乗り、市場に行って朝食を食べてきました。周囲の看板や人の動きに目を配り、どうやって電車の運賃を払うのか、市場の食堂の仕組みはどうなっているのか、など集中して観察し考え、行動しました。知らない場所で知らないことをやるということは、その場で五感を駆使して多くの情報を認知し、考えなければいけません。正直、結構大変です。しかし、たった半日足らずの経験でしたが、久しぶりに全集中した気がします。

非日常を経験するのは旅以外でもできると思います。新たなコミュニティに参加する、趣味の世界で一歩踏み込んだ領域に進むなど、自分の快適ゾーンから敢えて出ることは、すべて非日常の経験だと思います。ご自身の感性を磨くためにも、敢えて快適ゾーンから脱出する時間を確保してはいかがでしょうか。

以上、五つの削ってはいけない時間を挙げさせていただきました。価値観や人生において大事にしたいもの、性格は人それぞれです。しかし、豊かな人生を送る上で、効率化の名のもとに削ってはいけないものもあると思います。今一度、ご自身にとって何が大切な時間なのかを考えてみてはいかがでしょうか。


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