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経営と経済における自由の意味 ~危機にこそ学びたいハイエクの思想~

知恵のバトン
2022.01.11

明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い申し上げます。
元日の日本経済新聞の一面は「資本主義 創り直す」という名の記事でした。資本主義は第3の危機を迎えているとの内容でしたが、そこでご紹介したいのが20世紀を代表する経済学者、フリードリヒ・ハイエク(1974年ノーベル経済学賞受賞者)の思想と理論です。今年を明るいものにするために私たちは何を以て発展を期すのか、ハイエクの智慧を借りて経営に活かすべきヒントを探ろうと思います。

 

記事では資本主義の最初の危機(世界恐慌)を政府の経済への介入を積極的に行う(いわゆる大きな政府)ケインズの理論によって乗り切ったとされます。その後の第2の危機はレーガノミクスやサッチャリズムに代表される「小さな政府」、つまり新自由主義の政策で乗り切ったとされます。記事に名前が挙がっていませんでしたが、この新自由主義を最初に世に知らしめたのがハイエクです。因みに第3の危機は、過度な市場原理主義が富の格差を拡大させ、民主主義さえ危機に陥らせている、との論調、さらに我が国においては、30年間実質賃金が上がらず、さらに今回のコロナ禍で「国民総貧困化」とまで語られます。

 

では第2の危機を救ったハイエクの思想や理論は、この第3の危機に何を語るのでしょうか。ハイエクの思想や理論を知る上で最も重要な著作は『隷従(隷属)への道』です。本書が著されたのは1944(昭和19)年、つまり第二次世界大戦という人類史上最悪の危機に著された書です。本書では大戦後に世の中が貧しくなることを予想して次のように語ります。

 

「まともな世界を構築するための唯一の可能性は、富の一般的水準を改善し続けることにある」と。日経新聞にあった「国民総貧困化」、これに対してここから豊かになるためにどうすれば良いか。ハイエクに言わせれば貧困を解決するには経済成長するより仕方がない、ということです。経営で言えば新たな付加価値を生み出すということです。

 

さらにハイエクは経済成長ではなく所得の再分配という方法で貧困の問題を解決するのは決してやってはいけないと警告しています。この事についてはサッチャーが「金持ちを貧乏にすることによって貧乏な人は豊かにならない」と、うまい表現をしていました。ハイエクは経済の発展のためには規制を減らし、人間の本来持っている徳性、現状維持ではなく改善を求める人間特有の欲求を自由に交換させることを理想としました。この事は経営にも通じます。中国の古典『老子』にも「世の中に禁令が多くなればなるほど、人々はますます貧しくなる」とあります。但し、この「自由」には注意が必要です。私たちはコロナ禍を通じて物心両面で自由の制限を体験しました。この後の経済、経営の発展のために改めて自由とは何かが問われてもいます。

 

この点について、ハイエクは自由とは自己責任や道徳を伴うものとして、次のように語ります。「個人主義という言葉は今日(利己的という意味で)悪い響きを持っている。(中略)しかし、個人主義の本質的な特徴とは、人間としての個人への尊敬である。」と。さらには敬意に「他者への寛容さ」を加えて本来の自由の意味を定義しています。成果とは人間関係の質に左右されるという原則とも似ています。ドラッカーも「生産性を向上させたければ、まず従業員を人間として尊重することから」と言っています。経営においても一人ひとりのなれる最高を寛容さと敬意をもって促進させているか、この辺りに今後の発展のヒントがありそうです。  


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