中堅・中小企業の皆さまにとって、事業承継は大きな問題です。
事業承継というと、資産や株式の承継がまず先に思い浮かぶためか、どうしてもそのような観点に偏りがちです。
しかし、本来の事業承継とは、「事業」をいかに次の世代に継いでいくかということであり、次の世代がさらに発展、成長していくことを目的とするものです。
自分の代だけが良ければ良い、ということではだめなのです。
事業承継で意識していきたいのは、「事業や組織に対しての取り組み」と「経営者・後継者が行うバトンタッチへの取り組み」の2つです。
1.事業や組織に対しての取り組み
経営を引き継ぐにあたり、変化するお客さまや外部環境に対応しながら事業が発展していくような仕組みはできているでしょうか。経営者や、それに続く現幹部がいなくなっても、組織として機能し続けられるでしょうか。
もしそこに不安があるのであれば、なるべく早く取り組みを始める必要があります。
事業においては、ビジネスモデルの磨き込み、新しい取り組みに対する進め方や基準づくり、ノウハウや知見の共有、属人化ではなく標準化です。
組織においては、人材育成の仕組み、特に次世代幹部の育成です。
これらの成果が出るまでには時間がかかります。
社長になったら、次世代にむけてこれらを始めるぐらいのつもりで取り組むべきことです。
2.経営者・後継者が行うバトンタッチの取り組み
もうひとつは、経営者と後継者の間で行うコミュニケーションです。
経営者の仕事をすべて棚卸して見える化し、後継者に引き継いでいきます。単なる引継ぎ事項だけでなく、ミッションやビジョン、経営方針、経営計画について、また会社の歴史についてなどは、想いを伝え、一緒に考える時間が必要です。
親子など、血縁であればあるほど実はこのコミュニケーションが難しいようです。2人だけでは、一方的なコミュニケーションに陥ったり、必要な話ができないという悩みは多く聞かれます。
このような場合は第三者として他人が入って場を仕切ることが有効であり、必要な論点について網羅しながら、お互い素直にお話を頂けるようになります。