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鬼滅の刃に見る鬼殺隊と鬼の集団のリーダーシップのあり方

小宮一慶のモノの見方・考え方
2021.09.30

このところフジテレビ系列で「鬼滅の刃」が週末ごとに放映されました。「立志編」に続いて「無限列車編(劇場版)」も放映されました。私は結構楽しんでそれらを見ました。今回のメルマガは、鬼滅の刃に関心のない方には分かりにくい内容だと思いますが、アニメの中で鬼殺隊(きさつたい)と鬼の組織とのリーダーシップや組織の違いが経営コンサルタントの視点で見て結構面白く、その感想を述べます。

とても対照的だったのは、鬼殺隊で、ずば抜けて優秀な隊員(「柱」という)が集まった柱合会議が行われた時のことです。「当主」と呼ばれるリーダーが現れるまでは、優秀で個性の強い「柱」たち9人は、それぞれが好き勝手な発言をしていたのですが、当主が会議の場に出てきたとたん、皆、当主には敬意を表し、言葉遣いも一気に変わり丁寧なものになります。リーダーを尊敬している様子がうかがわれます。

特徴的なのは、そういう状況でありながらも、当主に対しては、それぞれの柱が自分の意見を曲げずに主張することです。主人公の炭次郎の妹の禰豆子(ねずこ)は鬼なのですが、人を食べない良い鬼です。しかし、柱の中には、禰豆子を殺してしまえという意見を強硬に主張する者が数人いました。当主は、禰豆子を生かしておくというのですが、それでも柱の数人は譲りません。鬼殺隊の使命は鬼を撲滅することだからです。鬼に家族を殺された者も少なくありません。

その後、議論が続き、禰豆子が人を食べないということが証明され、一部の柱が禰豆子が人を食べないことに「命をかける」ということで、当主の意見に皆従うのですが、当主も柱たちの意見を十分に聞き、議論がなされる様子は、「良い会社」を見るようでした。

一方、鬼の支配者は、とにかく逆らう者は許さないというスタンスです。十二鬼月(きづき)という特別に優秀な鬼たちの集団を直接の部下に持ち、それを上弦と下弦という2つの階級に分け、下弦の鬼たちの向上心(?)を高めるような工夫もなされていますが、支配者はとにかく絶対なのです。鬼殺隊の柱や炭次郎たちのせいで下弦の鬼たちのパフォーマンスがそれほど良くなく、下弦の鬼たちが集まった場では、少しでも言い訳や意見を言うものは、支配者が容赦なく殺してしまうというシーンもありました。

たまたま今週月曜日の日経新聞に「側近に学ぶ上司説得術」というアップルのスティーブ・ジョブズ氏没後10年を記念したコラムがありました。ジョブズ氏はとにかくワンマンだったらしいのですが、その意見を覆した社員たちがいて、コラムには「アップルを復活させたのはジョブズ氏の考えを変えさせた社員だ」とまであります。

私も今では社員20人ほどとなった小さな会社の経営をもう25年ほどやっていますが、社員のだれも真っ向から逆らう意見は言いません。松下幸之助さんは「衆知を集める」ということをとても大事にされていましたが、少なくとも鬼殺隊のように、理念に基づきながらも、意見が自由に言える社風を作るのがトップの仕事だと思っています。そのためには、トップも社員も素直で謙虚でいることがやはり大切ですね。


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