商売人の家系で育ったコンサルタントが大事にする仕事のスタンス
▲コンサルティング事業部 増田賢作
主に私が展開しているコンサルティングにはいくつかのテーマがあります。その中でも一番優先度高く進めているのは、経営計画書の策定支援です。
5年〜10年という長期スパンで企業としてどうなっていきたいのかをお客さまと一緒に検討し、それに向けてどういった取り組みが必要なのかをコンサルティングしています。
在りたい姿というのは、数字だけの話ではなく、将来にわたって、どういったお客さまにどのようなサービスを提供していくのか、そして、それを維持・発展させていくことができるかがポイントになります。
そのために会社内部はどうなっていかなければならないのかを考え、そこに向けた5年後、3年後、1年後の計画をつくっていくことを支援しています。
経営コンサルタントとしては、お客さまの会社自体はもちろんのこと、その中で働かれている従業員の皆様など、関わるすべての方々が幸せになっていく、ということを基本的な価値観として置いています。
私の社会人としてのスタートは、20代のときに入社した外資系の保険会社です。
内部管理の職に就いていましたが、組織の中でキャリアアップすることよりも、自分でスキルを身につけて、ゆくゆくはそれを提供することで生計を立てていきたいと思っていました。
今振り返ると、父親が自営業で設計技師として個人事務所を開いていたり、父方の実家も中四国でスーパーを展開していたりと、商売人としての家系で育ったことも影響しているのかもしれません。
ひとつの組織に入ってその中で過ごすより、自分たちの力で組み立て商売をすることに価値を置いている環境だったのだと思います。
組織の中でそこを磨いていくことはなかなか難しいと感じるようになり、20代の終わりに大手コンサルティングファームに転職をしました。
経営コンサルタントとして、使命を全うするために決めた独立
大手コンサルティングファームでは10年間、ハードな環境の中で仕事をしてきました。
大手商社の事業計画の支援や銀行の業務改革の案件、経営管理の案件などを担当させていただきました。
銀行の案件では、店舗・ATM・ネットバンキング、それぞれの店舗や商流でどのくらい儲かっているかどうかの“見える化”として、それらを管理するためのベースをつくるお手伝いをさせていただいていました。
いわゆる管理会計という分野の仕事を周りに教えてもらいながら経験し、コンサルタントとしてのベースを築くことができました。
一方で、葛藤があった部分もあります。コンサルティング業界に入る前のコンサルタントのイメージは、企業の存続に関わる重大な役割を担うというものでした。しかし実際、クライアントは大手企業がメインで、断片的なパーツとしての業務を請け負うことが多かったんです。
当時のコンサルティング依頼の大半は、切羽詰まった経営課題があってその解決をしてほしいというよりは、コンサルタントが入って裏付けをしてほしいという案件が多くを占めていました。
大企業からそれなりの仕事をいただくことは収入につながっていくので、経営上は効率性が高いと言えますが、本来のコンサルティング会社が持つ使命とのギャップを感じていたんです。
そこで、40歳のときに中堅企業や中小企業、地方の企業の仕事がしたいと思い、個人事業主という形で独立してコンサルティングの仕事を始めました。
まずは、ブティックファームからの案件を請け負いながら仕事をする中で、目指すコンサルティングをどのように行っていくべきか考えました。
独立して初めて請け負った案件は、私の出身地でもある広島のメーカーの案件でした。複数ある事業の中のひとつが赤字になっている状態で、その赤字事業を改善していくためのプロジェクトです。
自身が関わりたいと考えていたコンサルティング内容に近い案件だったこともあり、この案件を請け負っていたコンサルティングファームに所属することにしました。
そこでは、資金調達をしなければ倒産してしまう恐れがあった製造業の会社の再生支援にも携わりました。
この案件は厳しい状況に置かれていましたが、再生計画をつくり、政府系の金融機関から特殊な形で資金を調達することで存続まで持っていくことができたんです。今もその事業は継続されています。
その後も、経営コンサルタントとして企業の存続に関わる案件に立ち会うことができ、とてもやりがいを感じていました。
ただ、企業の再生局面というのは、社員の幸せどうこうの前にやらないといけないことがあります。ただ本当にそれがコンサルタントとしてやりたいことなのかとジレンマを感じていました。
そこで、企業の業績を改善するだけでなく、企業理念や大事にする価値観を軸に社員も幸せになる経営支援ができないかと考えるようになったんです。
原理原則が軸にあるからこそ、受け身ではなく主体的に関われる
▲社内ミーティングにて
2020年5月、緊急事態宣言の影響もあり、改めてこれまでの自分を振り返るきっかけがありました。
これから先の5年後、10年後の自分を考える時間のなかで、当社代表の小宮の書籍を読んだんです。その際に、自分自身が考えていたことと、小宮コンサルタンツが実践していることがすごく近く感じたんです。
私は以前から「貢献」・「規律」・「学習」という3つの価値観を大事にしています。
「貢献すること」は、お客さまに対する貢献もそうですし、周りの仲間に対する貢献も含みます。
お金を稼ぐことも、貢献することの結果に過ぎないと考えているので、まずは「貢献する」ということを大事にしています。
ですが、何もベースがない中で貢献すると言っても難しいので、そのときに大切なのが「規律」と「学習」だと思っています。
「規律」というのは、細かくいえば時間を守ることであったり、求められたことに対してきちんと応えていく、そのために自分を律する、ということだと考えています。
また、コンテンツがないと「貢献」はできないので、「学習」をすることによって、充実したコンテンツを蓄積して高めていくことも重要です。
最近この3つに「やさしさ」を加えました。前に挙げた3つはかなりハードな言葉でありそれだけではなかなか人と調和することは難しいと感じているからです。
「貢献」「規律」「学習」の厳しさがあってこその「やさしさ」だと思います。
これらの価値観の背景には、私自身、歴史や哲学の本を読むことが好きで、それらが影響しているのだと思います。
中国の古典である儒教関連の本や、歴史の本を読む中で、ある程度時代を超えた原理原則、一貫しているものがあると思っているんです。
小宮が書籍で語っていたこともまさにそこへ通じることで、小宮コンサルタンツであれば、自分の大切にしている価値観をダイレクトに活かせるのでないかと感じました。
また小宮は、「良い会社を目指すこと=goodはgreatの敵」や「良い仕事を追求すること=お金を追うな、仕事を追え」といった理念・考え方を持っています。
そういったものを持ちながら、コンサルができたら、純粋におもしろいなと思ったんです。
これまでのコンサルティング会社での経験から感じることは、コンサルティング会社というのは、来たものを受ける・依頼があったら対応するという受け身のスタイルが基本でした。
しかし、小宮コンサルタンツは、こうあるべきというものを持っているコンサルティング会社なんです。
原理原則や正しい考え方という言い方をしていますが、それがあるから、受け身ではなく、こちらから主体的に関われる、お客さまを良い方向に導いていけるという点に大きな可能性を感じましたね。
お客さまの成功のために取り組む。小宮コンサルタンツの持続的な成長
▲小宮コンサルタンツのコンサルメンバーとの一枚
小宮コンサルタンツが提供している価値は、世の中をより良くしていくものだと思っています。だからこそ、限られた企業様だけでなく、もっとこの考え方を拡げていかなくてはならないと考えています。
もっとお客さまへの認知度が高まれば一緒に仕事をしたいと思ってくださるお客さまが増えると思うので、今後はそこを強化していきたいです。
そのためには、仲間を増やしていかないといけません。より多くのお客さまにサービスを届けるには、それなりの組織が必要になります。
もう少し細かくいうと、われわれの組織が永続していくことを考えるのであれば、若いメンバーが組織の中で成長し、お客さまに貢献していく未来も考えていかなければなりません。
「世の中に貢献する良い会社を増やしたい」、「従業員が働いていて幸せになる会社を増やしたい」と考える若い世代のコンサルタントは一定数いると思っています。そういった若い世代に伝えたいことは、大きなコンサルティングファームと、小宮コンサルタンツはお客さまとの関わり方が大きく異なるということです。
小宮コンサルタンツの場合、カウンターパートは経営者の方で、その関わりの中で会社全体に対して、力を発揮できるという点で魅力があります。
私も30代のころに叩き込まれましたが、大手のコンサルティングファームにとっての成果物はドキュメントが中心です。けれど私は、本質的にはその会社が良くなることが、本当の成果物であるべきだと思うんです。
その会社が良くなればコンサルティング会社に対価を支払う価値はあるはずです。小宮が話していたことで、「コンサルティングの成果物はあくまでも会社」ということを言っていて、まさにその通りだと思いました。
現在、具体的に私が進めているのは、経営計画書の策定を支援する新サービスです。
多くの企業の経営計画は、前年の積み上げで作成しているところが多いと思います。たとえば、「前年の売上の数%アップを目指す」、「商品の改善を図る」などです。
一方、われわれが考えているのは、5年後、10年後を見据えて、そこから逆算し、経営計画を立てましょうということです。
現在もそうですが、今後も環境変化は激しさを増していくだろうと考えられる中で、変化が起こってから後手で対応するのか、変化を予測して先手を打つのかで、会社の成長・存続は大きく変わってくると考えています。
この経営計画を実行していく中で、M&Aだったり、人事評価制度の構築だったりという取り組みも必要になってくると思います。
経営計画書の策定を支援することで、そういったコンサル支援の広がりにもつながっていくでしょう。
何よりも現在大事なことは、小宮コンサルタンツという組織の中で成長した人間が、世の中に出て活躍していくということだと考えています。
世の中に評価される人材を創出していくことも、お客さまを良くしていくということと同時に大切なことだと思うので、そこにも注力していきたいと思っています。