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加速する変革へのたゆまぬ熱量──お客さまと共に繁栄するために

お客さまとのストーリー
2021.04.09

伊豆商事株式会社は創業から約半世紀。住宅設備、空調設備の専門商社として事業を拡大してきました。柳田 忠広社長が社長になって6年目。会社を変えるために本腰を入れようとしたときに頭に浮かんだのが小宮コンサルタンツの平野 薫でした。伊豆商事がどのような変革を遂げていったのか、ふたりが語ります。

コンサルタントチームリーダー  エグゼクティブコンサルタント
平野 薫 (ひらの かおる)
昭和53(1978)年 宮城県大崎市生まれ
宇都宮大学農学部卒業。
キユーピー株式会社、株式会社帝国データバンクを経て現職。
帝国データバンクでは年間約400社の調査を実施。優秀調査営業社員に選ばれ、社長表彰を受ける。現在は上場企業や公的機関などの幹部・管理職を対象とした教育研修、および企業戦略の立案など各種コンサルティングに携っている。
伊豆商事株式会社 社外取締役
ワックデータサービス株式会社 社外取締役

トップダウンの社風が強く主体性を持てずにいる社員の変革

▲伊豆商事 柳田社長

 

まじめで優しく、責任感の強い柳田 忠広氏は、娘婿として伊豆商事株式会社(以下、伊豆商事)の社長になりました。当時、まだ遠慮もありましたが会社をより良くしていきたいという想いも強く、そのきっかけとなる「何か」を求めていたと言います。

柳田 「小宮コンサルタンツさんとの出会いのきっかけは、小宮さんの著書を読ませていただいたことです。その後、たまたま小宮さんの話をお聞きする機会がありまして、定期的にもっと学びたいと思ってKC会員になったというのが、2010年の3月ごろになります」

その後、柳田社長は、小宮コンサルタンツが提供する後継者ゼミナールの2012年度9期生としての活動を始めます。そこで出会ったのが、当時まだ入社2年目のコンサルタント、平野 薫でした。

柳田 「平野さんは事務局という裏方の仕事においても、機を見て適切な行動をとっておられ、その状況把握力と実行力には、目を見張るものがありました。その中でも後継ゼミ生7名に横のつながりを持ってほしいという強いメッセージを平野さんから常に感じていました」

その後、平野への伊豆商事の経営に関する具体的な相談は、後継ゼミが終わって5年ほど経過してから始まりました。

柳田 「私自身が本腰を入れて少し会社変えていかなければいけないと考え始めたときに、一番に思い浮かんだのが平野さんの存在でした」

柳田社長から声をかけられたときのことを、平野はこのように話します。

平野 「当時はトップダウンの印象が強かったんです。上から言われたことはすばやく対応するものの、自分から主体的に考えて行動することが乏しい社風でした。そんな中、柳田さんから『会社のミッションをつくりたい』という話があり、伊豆商事さんとのお仕事がスタートしました」

柳田社長と平野は一緒にミッションをつくり、その後、戦略づくりに発展します。そこで平野は初めて伊豆商事の実態を知り、驚いたそうです。

平野 「今思うと1人1人の営業社員は優秀な方も多く、きちんと仕事をする方も多かった一方、1にも2にも数字ありきの状況で、これといった営業方針があるわけではありませんでした。どのようなお客さまにどのように売るか、といった目標が見えづらく、とにかくいくら売るかがすべてという雰囲気だったんです」

当時、伊豆商事の社員はほぼ個人事業主のような動き方をしており、営業・事務・配送まですべてひとりで担当していたと言います。調べていくうちに、同業他社に比べて伊豆商事の生産性が低いこともわかりました。そこから、平野と柳田社長との経営改革が始まったのです。

 

営業社員の仕事を分業化──トップダウンとボトムアップのバランス

▲小宮コンサルタンツ平野と伊豆商事本社にて

 

社員の動き方と生産性を踏まえ、柳田社長と平野との間で伊豆商事の全体戦略についての話し合いが始まります。

柳田 「初めに取り組んだのが、営業社員の仕事を分業化することでした。営業社員は、配送や工事手配、建設現場の現地調査など、営業社員以外でもできる業務に忙殺され、肝心の営業活動にあまり時間を割けていなかったんです。

そこで、まず配送部門をつくり、営業社員の本来業務である営業活動に集中できる環境を整備。同時に、プレーヤー化していた本部長や部長の役割を『マネジメント』と設定しました」

柳田社長は、会社の仕組みにも抜本的な改革を加え、社長だけでなくマネジメントチームで営業戦略を考え、実行する流れを整えました。自らの想いを積極的に伝えるために、月に一度の営業所長とのセッションに参加するようにしたのです。

平野 「意識していたのは、トップダウンとボトムアップの両方をバランスよくやっていくこと。社長と幹部で戦略をつくり、所長を中心とした社員に落とし込んでいく。落とし込んでいく際も、ただ『やれ』というのではなく『何のためにやるのか』という目的を伝えることを重視しました。

所長が『訪問件数を増やしましょう』と提案したら、それで終わりではなく、『何のために訪問件数を増やすのか?』という目的・理由をしっかりと落とし込んでいったんです。こういったことをするようにしたのは、営業社員の行動量を分析したところ、競合他社と比べて行動量が少なかったことがわかりました。そこを変えたかったのです。そこで、目的・理由をきちんと伝えることによって社員の方々の理解も進み、行動が変わっていきました」

非常に優秀でありながらとても優しい性格の柳田社長には、最初は遠慮のようなものがあったといいます。しかし「やる」という決意を明確にしたことにより、次第に厳しさも併せ持つようになっていきました。

柳田 「2017年の5月から着手したのですが、その頃は志の大切さというのを改めて平野さんと一緒になって何度もこれで良いのかということを繰り返しながら、会社のミッション作りをやっていきました。そして、ミッションを浸透させていくためにどうするかということで、ここでやはり経営者が本気にならないといけないというやり取りを平野さんと何度もやりました。

その時に、創業時からの経営陣と毎回毎回大変厳しい議論をしていました。ただその時、私自身がこれからやろうとしていること、またミッションを実現しようというところを前に進めようと思ったのは平野さんとプロジェクトを開始した時の志の大切さを固めていたから旧態依然の進め方を打ち切るということを最後まで押し通せたのではないかと思います」

平野 「今までは社長ではあったのですが、創業者に対してもそうですし社員に対してもそうだったと思うのですが、何となくの遠慮が色んな所に対してあった気がします。

しかし、本気で人生をぶつけてこの会社を変えて良い世の中を作るという、そこがとても明確になったと言いますか、『やる』という決意と言いますか、志と言いますか、そういうものがありありと近くにいて感じるようになりました」

また、平野は「十分伝わっていない」と感じたことは、率直に柳田社長に指摘をしました。それを受けて、柳田社長は「とことん突き抜けて、周りに伝えていく」ことを意識するようになったと言います。

柳田 「自らが考えることができていないというところに、我々の大きな課題がありました。ただ『やれ』というだけでは解決できません。そこでマネジメントチームをつくり、若手社員にも考え方を浸透させていったんです。一つひとつ具体的に実行計画を立てて、それを着実に実行していく、というアプローチも心がけています」

柳田社長は、会社改革のパートナーとして、第三者である平野の存在が非常に大きかったと語っています。

柳田 「当社の理念・ミッション・ビジョンを理解していただいた上で、ビジネスパーソンとしての正しい考え方やスキルをご指導いただけるので、社員自身、納得感も高まりますし、習熟度合いが上がることを実感しました。」

新たな取り組みによりコロナ禍でも伸びてゆく売上

▲ミーティングの様子

 

柳田社長は、段階的に会社に改革を加えていき、伊豆商事のビジョンや働く基本姿勢を示していきました。並行して、幹部クラスから若手社員に至るまで、社員の育成にも力を入れています。

柳田社長は、2021年3月5日に開催された創業記念式典において、大きな変化が見られたと語ります。創業記念式典は毎年行われていますが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、オンラインで全社を結んで開催されました。

柳田 「4~5年前までは、考え方から方針、施策に至るまでほとんど私がひとりで喋っている状態でした。それが2~3年前からは、営業本部長が方針を説明するというように変化が生れてきたんです。そして、今回の創業記念式典では、施策について各部長が自分の言葉で考えて話してくれるシーンを目の当たりにしました。

私がひとりで喋っていたときには絶対伝えたいことが伝わっていなかったと、改めて思い知らされましたね。部長から各営業所の社員に伝えて実行して、結果に結び付けていかなければ、と強く思いました」

このような変化が起きた背景には、柳田社長の仕組みづくりの上手さも関係していると平野は分析します。

平野 「私も含めて幹部メンバーで何となく雑談をして『こういうことができたらいいですよね』ということが出てきたら、すぐに仕組みに落とし込むのが抜群に上手なんです。

もともとビジネススキルがとても高い方なので、『ここはちょっとこの行動が少ないね』とか、『こういうところが弱いね』ということを、すぐさま仕組みに落とし込んで、その仕組みを回しながら意識を共有していく。『絶対にこういう世の中をつくる』という気持ちでやっていったら、いろいろな相乗効果があって、かなり変わったと思いますね」

コロナ禍においても売上が伸びたのは、社員一人ひとりが責任を持って動くようになったから、と平野はみています。そんな平野の分析力を柳田社長は認め、信頼しています。

柳田 「平野さんは財務分析のエキスパートなので、自社やお客さま、同業他社や取引先さんの財務分析から、さらに当社が次にどういう行動を起こすべきかということまで示唆をいただいています。

それだけでなく、営業感覚と実行力に大変優れた方なんです。ですから、私共のような業界においても、得意な財務分析と営業感覚、実行力という視点から具体策を講じて、一緒になってやっていただけたのはありがたいですね」

伊豆商事では、コロナ禍で活動制限がある中、オンラインで社内外のやり取りを実施。また、トークスクリプトの作成とロールプレイングを徹底的に行い、営業スキルのブラッシュアップを行いました。さらに、お客さまに対して非接触での新たなプロモーション活動も始めていったのです。

そんな伊豆商事の取り組みを見て、平野はコンサルタントとしての意識に変化が現れたと言います。

平野 「伊豆商事さんとの取り組みは、私が今携わっているお客さまの中でも特に濃い関係をもたせていただいています。もはや他人ごとではない、完全に自分のこととして考えるようになっていますね。この会社に良くなってもらいたい、と本気で思える会社に出会えたのは、自分のコンサルタント人生の中でかけがえのない経験だと思います」

伊豆商事と平野は、今回の仕事を通じてお互いプラスの変化を得ることができたのです。

 

加速する変革のスピード──共に繁栄するための新たな施策

▲伊豆商事本社前にて

 

まだまだ経営改革は始まったばかりと柳田社長は今後の展開を見据えています。

柳田 「ミッション実現・ビジョン達成にはまだまだ足りていないところがたくさんあります。具体的には、中長期的な事業計画を定期的に見直して課題を早期発見し、短期的なものにしていくといったことです。

あとは、人材という面での次世代マネジメントチームの育成と、そこでの短期政策の立案と実行力を高めていくといったことも課題ですね。管理職の育成や、彼らのマネジメント実行力も上げていかなければいけないと思っているんです。さらに、若手メンバーも増えてきているので、わが社の理念・ミッションを浸透させ、基本的なスキルを身につけてほしいと考えています」

柳田社長は、パートナーとしての平野に強い信頼と期待を寄せています。

柳田 「平野さんには、私たちのミッションやビジョン、私自身の経営者としての考え方を理解した上で、具体的なコンサルティングを実行していただいております。さらに期待したいのは、私自身がよりミッション実現・ビジョン達成に向けて走っていけるように、良い会社を作るパートナーとしてよろしくお願いしたいということですね」

一方、平野は現在の伊豆商事に生じた変化と今後の展望について、熱い想いを持っています。

平野 「伊豆商事さんとの取り組みを始めて数年経ちましたが、正直最初のうちは、変わることを好まない、変わろうとしない習慣のようなものがある組織だったんです。

それが、柳田社長の覚悟や熱量、仕組み化によって、新しいことにみんなが取り組む組織に変わってきました。変わる習慣や癖のようなものがついてきたんですね。基本的な組織としての土台がかなりできてきたので、ここからまたどんどん新しい施策を導入していって、変革のスピードを加速させたいと思っています」

現在、柳田社長と平野は、経営にプラスになる新たな取り組みを企画しています。

平野 「以前、ある幹部の方と食事をする機会があり、そのときに『以前のままの伊豆商事だったら将来なくなっていたと思う。今の状態を続けていけばもっと良い会社になれる』と言っていただけたのは本当に嬉しかったです。もちろん私がやったことは限られたことで、柳田社長や社員の皆さんの努力があったからこそ今があります。

伊豆商事がさらに繁栄し、他社が簡単にまねできない存在になるためには、ただ目の前の数字を上げるだけではいけません。そのためには何が必要なのか施策を考えていきたいです」

伊豆商事は、柳田社長と平野の熱量により、本当の意味でお客さまとともに繁栄していくGreatな企業に生まれ変わっていくことでしょう。


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