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社会課題解決の具体性について

経営のヒント
2024.08.02

経営の支援として関わらせていただいている中で、経営理念や経営者としての軸に向き合ってお話をさせていただく機会が多くあります。
その取り組みをしていて、特に気になっているのは社会貢献や社会課題の解決への具体性についてです。

世の中には、経営理念で社会貢献について謳っている会社がたくさんありますが、なぜ日本の世界的な地位は低下し、30年もGDPが成長せずに給料も上がらなかったのでしょうか。

二宮尊徳の言葉として知られている「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である」という言葉があります。(※尊徳の著作には見当たらず、後世の人々が尊徳の思想を解釈して作り出したものと考えられています。)

世の中において、「経済なき道徳」の度合が強くなりすぎてしまったのではないかとも考えられるのではないでしょうか。

一つの例ですが、政府は生産性投資を行うことを支援する補助金制度等、社会課題の解決に向けた施策を打ち出しています。

このような施策の一部に私自身もコンサルタントとして関わる機会がありました。生産性投資を行い、労働力不足の課題を解決し、不足する労働者の賃金の向上によって事業の継続性と賃上げによる一人当たりGDPの向上を実現しようとするものです。

この取り組みに関わり中身を深く検討してみると、労働生産性(一人当たり付加価値額)を上げることが根底にあります。労働分配率が一定であったとしても、生産性を改善することで賃上げが無理なく実現できるのです。

この取り組みを行うにあたり、どうしても数字数字、いろいろな想いを伝えようが結局は数値的な指標で判断されるお役所仕事に辟易としそうになります。

一方で、このように数字数字という計画においても、組織内での対話を行いこの数字数字の計画に向き合うことによって、取り組みの具体性についての逃げ道のない説明のための検討が必要になります。

表面的な数値の取り繕いになってしまえば、心の乗っからない無味乾燥な創作物になってしまうのですが、人口構造の変化による働き手不足、それに伴う地域経済の地盤沈下を食い止めるという目的が根底にあります。

具体論を突き詰めていくと、数字や指標などの無味乾燥に見えるものにまみれてしまいがちですが、根底にある目的が的を射ていれば、そこを信じて無味乾燥な数字や指標にまみれるのも、また具体性・客観性を備えて「経済なき道徳」でなく具体性の伴った「経済のある道徳」を実現するための取り組みになると信じます。

経営者の軸や経営理念を考えるときに、具体的な数字が先に出てくると興ざめる場面も少なくありませんが、具体的な指標を決めて実践しなければ、何事も実現できません。

経営理念で素晴らしいことを言っていても、具体的にどのように行動するのか、限られた人材と資金で何に集中し、具体的な成果を追求するのかを決めなければ、総論で良いことを言いながら各論が進まないまま、結局世の中が変わらないということになってしまいます。

改めて、中小中堅企業の企業数は全体の99%を占めます。その中で、経営者やリーダーとして、具体的に指標を定めて実行に移すことが、社会貢献や社会課題の解決につながると考えます。


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