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経営者自身が新規事業に入り込み、学ぶこと

経営のヒント
2024.10.24

歴史を振り返ると、日本史でも世界史でも、新しい国づくりを始めるにあたり、国のリーダー自身が海外におもむき、進んだ制度や技術などに触れ、学んでいたことが分かります。

日本史であれば、明治初期に欧米に派遣された「岩倉使節団」が有名です。明治に入ったばかりの時期に、政府の首脳陣や留学生など総勢107名が送り込まれました。
この使節団は約2年弱に渡り、当時のアメリカやヨーロッパなどの先進文明に触れ、貪欲に学びました。そして、使節団メンバーであった大久保利通や伊藤博文などは帰国後、立憲政治や産業振興を進め、近代化を推し進めたのです。

世界史であれば、ロシアのピョートル1(1672年~1725)という皇帝がいます。発展途上国であったロシアを近代化しようとして、ヨーロッパの先進文明を学ぶ250人もの大使節団を派遣しますが、この使節団になんとピョートル1世自身が参加していたのです。
それも、偽名を使って「船大工」として働き、海軍の増強にために必要となる造船技術を皇帝自身が学んだのです。大使節団の帰国後、こうした学びが活かされてロシア海軍は強化され、ロシアは近代化に向かったのです。

私は、このように新しい国づくりにリーダー自身が直接学ぶということは、新規事業において経営者自身が事業を直接学ぶことに似ていると考えています。
この数年間のなかで、新規事業を始める前に経営者自身が当該事業に入り込み、学んでいる姿をいくつか見てきました。

具体的な内容は差し控えますが、ある経営者の方は、検討している新規事業を運営されている他社(ライバルとならない会社を選んでいます)の社長にお願いして、パートタイムで勤務させてもらったのです。新規事業で直接働くなかで、その事業の運営や押さえておくポイントを学ばれたのです。
パートタイムで勤務されてから3年程度経過していますが、この経営者さんは自社で新規事業を立ち上げ、現在成長軌道に乗りつつあります。

なぜ経営者自身が新規事業に入り込み、学ばないといけないのか。
それは、新規事業の「方向付け」、「資源の最適配分」、「人を動かす」という、経営者の仕事を行うためには必要なことだからです。

既存事業は、ほとんどの場合、経営者が成果を出してきた事業のため、改めて入り込み、学ばなくても経営者の仕事ができるのです。しかし、新規事業は違います。

新規事業の現場に入り込み、学ぶことなしに、「どのようにすればお客様に喜ばれるのか」、「その実現のためにはヒト・モノ・カネ・情報をどう活用すべきか」を考えることはできないのです。このようなことが考えられるように、現場に入り込み、直接学ぶことが必要なのです。

新規事業を始めるにしても、「自分は経営者なのだから今さら新規事業に入り込み、学ぶ必要はなく、社員にやらせればいいのだ」と考えているとしたら、新規事業について本当に経営者の仕事はできるのでしょうか。
そのうち新規事業は担当者任せとなり、想定していたように成長しないことや、最悪は失敗することになるのではないでしょうか。

歴史上のリーダー達が新しい国づくりに向けて直接学んだように、経営者も新規事業立ち上げに向けて直接学ぶことが重要だと考えます。


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