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マーケティングのQPSと採用マーケティングのQPS

経営のヒント
2024.12.04

人口構造から来る人手不足から、人材採用がお困りの会社さんは多いのではないでしょうか。

今回は、採用マーケティングについて考えてみたいと思います。言葉では採用マーケティングとよく言うのですが、それを実際に具体化するとなるとどうしたらいいのか、意外と整理できていない部分なので、ご参考にしていただければと思います。

まずは採用マーケティングの前に、マーケティングのQPSについてお話ししたいと思います。

QPS
QはクオリティーのQで、お金を払う対象となる商品、サービスそのものを言います。
Pは価格(Price)です。商品サービスそのものの値段です。
Sはお金を払う対象ではないですが、商品サービスを選ぶ要因になるものです。立地や雰囲気なども含まれます。

例えば、登山する人が多い山の上にあるおにぎり屋さんを例にしましょう。
この場合、おにぎりそのものがとてもおいしくて選ばれるということであれば、おにぎりがQであり、それが選ばれる要因になります。また、そのおにぎりがとても安いので選ばれるということであれば、それはPの価格によって選ばれるということになるでしょう。ただ、おそらく読者の皆さまも感じられたように、この場合のおにぎり屋さんが選ばれる理由はおそらくSである立地でしょう。

この場合、この山に登る人が、このおにぎり屋さんのターゲットです。逆に言えば、その山に登っていない人は全くターゲット外です。当たり前ですが、普通に暮らしている人が、おにぎりを買うために、その山におにぎりを買うために上っていくことはまずありえないからです。

このおぎにりが仮に150円であった場合には登山する人のほとんどの人が買い、500円になると半分くらいの人が買うとしましょう。また、おにぎりは普通のおにぎり(100円程度)だとします。
この場合、おにぎりというQ100円程度)に立地というSの価値を実質的に400円以上感じる人が半分程度いることを意味します。

 このような考え方をすると、商品サービスはニトリでは無いですが、「お値段以上」であれば選ばれると言うことになります。つまりQSP以上と言うことです。もちろん、競合他社(この例で言えば山の上のもう一軒のおぎにり屋さんなど)があった場合には、「もっとお値段以上」でなければ競合に負けてしまうことになります。

では、これを採用マーケティングで表すとどうなるかと言うと

 Qは、仕事の内容、例えば仕事の楽しさや、その将来に向けた意義可能性などと言うものも含まれるでしょう。
Pについては、給与や賞与などの待遇や休暇日数などが該当します。
Sについては、社風や会社の立地条件なども該当することになるでしょう。

この場合には、マーケティングのQPSと違って、合計(Q+P+S)が自社が提供するものと、採用の候補者が考えるものとで、どちらが高いかによって採用が決まることになります。

もちろん、そんなに単純な話ではなく、どのような仕事を求めるか、どのような待遇を高く評価するか、どのような社風や立地などであれば、高評価なのかについては、候補者の方の考え方によります。そして、待遇重視でバリバリ仕事をこなす人、や家庭とのバランスを考えて、休暇や穏やかな社風を優先する人、などに分かれます。

これらは、マーケティングで言えばセグメンテーションと呼ばれるもので、同じようなQPSに対する感度を持っているであろうとされる集団です。これを、実際にターゲットとする候補者層に当てはめて考えてみると、仕事の内容や待遇条件、そしてその他の要素をどのように組み合わせることによって、その候補者の方に対して魅力的に伝えられる会社になるのかといった検討が深まるのではないでしょうか。

実際に我々のお客様についても、このような取り組みをさせていただいております。

難しい点としては、Pで表現されるような待遇面や休暇日数等については見れば明らかなので、求人広告などで提示して伝わりやすいのですが、仕事の意義や楽しさや、社風などの内容については、どのようにすれば伝わりやすいのかということをよく考える必要があります。

実際にインターンなどが盛んになっている理由も、採用のQSについては実際に働かなければわからないと言うことに起因していると考えることもできます。

今は、そして今後も企業は候補者から選ばれる存在です。人口構造の変化によって力関係はだいぶ変わりました。

過去においては採用候補者が、履歴書で書類選考で落ちてしまわないように気を付けましたが、今は会社も書類選考で落ちないように、Pの条件をターゲットに対して一定水準の競争力を持たせる必要があります。

そのためにも、経営改善によって一人当たりの付加価値額(労働生産性)を改善させることで、良い条件を提示し、良い条件で人を雇用しても会社の利益が減少することがないような経営状態を作っていくことが必要になります。

そのためには、優秀な人材が強みを発揮して活躍していただく必要があるのです。

鶏と卵の話になってしまいますが、しっかりと採用競争力を維持・向上させるためには魅力的で競争力のある商品サービスを提供するための良い人材を引きつけて採用し、活躍してもらう必要があります。

そのきっかけとして、商品サービスだけではなくて、人材についての採用もQPSというマーケティングの考え方で考えてみることも有効です。

是非、取り組んでみていただければと思います。


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