2025年1月20日、トランプ大統領が再び就任し、第2期トランプ政権が本格的に始動しました。
「MAGA(アメリカ合衆国を再び偉大な国にする)」を掲げる政権は、発足後1週間で、関税引き上げ、移民の送還、対外援助の凍結、パリ協定やWHOからの脱退など、次々と政策を打ち出しました。その方向性は「アメリカンファースト」を徹底し、他国との軋轢や孤立も辞さない姿勢が鮮明です。
アメリカと同じく、自国の利益を最優先し孤立主義を進もうとする国々が、世界中で増加しているように感じられます。イギリスやフランス、ドイツでは、移民制限や治安確保を理由に、保守的な政策を支持する動きが広がっています。また、ロシアや中国といった権威主義国家と接近する政党も国政選挙で勢力を伸ばす兆しがあります。この傾向は、当面の間続くのではないでしょうか。
しかし、歴史を振り返ると、こうした流れが長期的に続くとは考えにくいのです。なぜなら、歴史的に見ると、開放的な国は繁栄し、閉鎖的な国は衰退してきたからです。
「開放的な国は繁栄」した最も象徴的な例は、移民を多く受け入れてきたアメリカでしょう。同国は、こうした開放政策によって超大国となり、現在も成長を続けています。また、日本においても、遣唐使や戦国時代の南蛮貿易、明治維新の開国といった歴史的な開放政策が国を発展させる原動力となりました。
一方で、閉鎖的な政策が衰退を招いた例も数多くあります。19世紀の中国は、鎖国を続けたことで科学技術が遅れ、アヘン戦争に敗れ、植民地化が進みました。同時期のアジア諸国も同様でしたが、例外的に国を開放した日本とタイだけが植民地化を免れています。
また、第二次世界大戦時のドイツや日本は、孤立主義を深めた結果、最終的に破滅的な結末を迎えたことは記憶に新しいでしょう。
なぜ開放的な国は繁栄し、閉鎖的な国は衰退するのか。その理由は、開放的な国が外部から新しい人材や知識、技術、ノウハウを受け入れ、社会を活性化させるからです。開放は一時的に混乱を招くこともありますが、それを乗り越えることで繁栄への道が開かれます。
一方、閉鎖的な国では「一時的な安定」を享受できるものの、外部からの新しい刺激がなくなることで社会が停滞し、結果として衰退につながるのです。
現在、世界的に閉鎖の動きが目立つのは、グローバル化による混乱を避け、安定を求める心理の現れかもしれません。しかし、時間が経つにつれて、閉鎖による弊害が顕在化するのではないでしょうか。新しい人材や技術、知識が入らず社会が停滞し、危機的な状況に陥ったとき、再び国を開放しようとする流れが生まれる可能性があります。
先行きは不透明な部分もありますが、歴史が示す大きな流れを捉え、未来を見据えることが重要です。
増田 賢作