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採用QPSについて

経営のヒント
2025.02.20

皆さま、人手不足で悩んでいませんか。

特に中小企業にとって、優秀な人材を確保することは大きな課題です。この課題を一気に解決できるとは言いませんが、目的を持って採用活動に取り組むために、「採用QPS」という考え方をお伝えできればと思います。この考え方は、Quality(品質)、Price(価格)、そしてS(その他の要素)の3つの要素から成り立っています。マーケティングのQPSを人材採用に向けた考え方に転換しています。それぞれについて詳しく説明します。

まず、QQuality)についてです。これは、仕事の内容そのものや働きがいを指します。求職者がその仕事にどれだけの楽しさを見出せるか、またその仕事が社会や顧客にどのように貢献できるかという意義、さらにはその仕事を通じて自身のキャリアがどのように発展する可能性があるかといった要素が含まれます。これらは「トータルモチベーション(TOMO)指数」として評価されます。トータルモチベーション指数とは、仕事に対する楽しさや意義、成長の可能性を総合的に評価する指標です。中小企業は、仕事内容の魅力を具体的に伝えることが重要です。例えば、社員がどのように成長できるか、どのようなスキルを身につけられるかを明確に示すことで、求職者の興味を引くことができます。

次に、PPrice)です。これは給与や福利厚生、休日などの条件を指します。これらは求職者が応募を検討する際の最低条件として機能し、競合他社と比較されることが多いです。中小企業は、これらの条件を市場の標準以上に設定することが難しい場合もありますが、他の要素で補完することが可能です。例えば、柔軟な勤務時間やリモートワークの導入など、求職者にとって魅力的な条件を提示することで、競争力を高めることができます。大切なことは、このPの段階で足切りに合わないことです。求職者の方は、確実な情報として受け取れるPをまずは確認して、検討を先にすすめるかどうかの基準とします。そのため、Pで足切りにならないように競合他社(採用候補者が皆さんの会社の他に検討するであろう会社)の水準を確認し、それと遜色ないレベルまでPを改善することは必須と言えるでしょう。(これを実現するためにも経営において一人当たり付加価値(労働生産性)を高める必要があるのです)

最後に、S(その他の要素)です。これは社風や企業文化、職場環境、さらには企業の立地や周辺環境などを含みます。中小企業は、大企業に比べてアットホームな雰囲気や柔軟な組織文化を持っていることが多く、これを強みとしてアピールすることができます。例えば、社員同士の距離が近く、意見が通りやすい環境であることや、地域に根ざした活動を行っていることを伝えることで、求職者にとって魅力的な選択肢となることができます。

地方の会社さんで、Sを差別化要因として、移住したい方の需要を捉えて採用を成功させている例もあります。

誰をお客様とするか、ならぬ、誰を候補者とするか という採用マーケティングの面白さでもあります。

採用QPSを効果的に活用するためには、まず自社の強みを明確にし、それを求職者に対してどのように伝えるかを考える必要があります。特に、Qの部分では、仕事内容の魅力を具体的に伝えることが重要です。また、Sの部分では、企業の文化や環境を実感できるような情報提供や直接対話の機会を設けることが求められます。

難しい点としては、P以外はWEBサイトなどの情報だけでは伝わりづらいということです。QSなどはSNSなどを通じて普段の活動や会社の雰囲気などとして伝達するやり方などもありますし、インターンなどを活用するなど実際に会社に触れていただく機会を設けるなども有効な手段です。

さらに、採用QPSを活用する際には、どのような人材が自社で活躍できるかを明確にすることも重要です。ここで役立つのが「ストレングスファインダー」などのツールです。ストレングスファインダーとは、個人の強みや特性を明らかにするための診断ツールで、求職者の資質を客観的に分析し、自社に適した人材を見極めることができます。

このように、採用QPSは、企業が求職者に対してどのように自社の魅力を伝え、どのような人材を求めているかを明確にするための有効な考え方です。この枠組みを活用することで、より効果的な採用戦略を構築し、必要な人材を定義しその方の採用に向けた取り組みを進めることができるでしょう。採用がボトルネックとなっている企業は、このフレームワークを活用することで、採用活動を改善してみてはいかがでしょうか。


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