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体育会人材は採用すべきか?どう見極めれば良いのか?

知恵のバトン
2025.02.25

2月になり、企業の新卒採用のシーズンに入ってきました。
新卒採用をするにあたって取引先企業にどんな人材を採用したいですかと質問をすると、「体育会人材が良いね」というお話を聞くことがよくあります。
そこで今日は、体育会人材は採用すべきなのか、採用するとしたらどのような点で見極めれば良いかについて考えたことをお伝えできればと思います。

■体育会人材に脚光が当たる理由とは?
企業が体育会人材を採用したいと考える理由は、どのようなものがあるのでしょうか?
いくつか考えてみました。

・礼儀
上下関係が厳しい環境に身を置く場合が多く、あいさつや言葉遣いなどの規律を守る傾向がある。
・素直さ
試合に勝つために、監督・コーチ・先輩からの指導やアドバイスを聞き入れ、自身の動きを改善しようとする経験がある。
・関係構築
監督・コーチとの関係、先輩・後輩の関係、OB・OGとの関係など仲の良い学生同士以外の人との関係を構築する経験を持っている。
・自主性
目標を設定して、そこに向けて努力をし続ける経験がある。自分の何がうまくいっていて、何がうまくいっていないのかを振り返り、改善する経験がある。
・チームワーク
チームで動く経験がある。チーム・組織の中で、チームの目指す姿に対して自分の役割を理解して、その中で全力を尽くした経験がある。
・あきらめない
限られた時間やルールの中で結果を残すために、最後の最後まであきらめずに自分やチームを信じて活動した経験がある。

ちなみに就活をする学生は約45万人。その内、体育会に所属する学生の数は、7~9%と言われており、学生の中で希少な存在であることがわかります。
確かに、上記の観点を仕事やビジネスに当てはめると、仕事ができる人が持っている特徴とリンクします。そういった人材を採用しようと企業が躍起になることも想像できます。

■体育会人材のデメリットは?
一方で、体育会人材のデメリットはないのでしょうか?
私自身も体育会に所属していた経験があり、また社会人になって体育会人材と接してきた経験から感じることは、「悪い意味で従順で素直」というものがあります。
体育会の傾向として、先輩からの指示は絶対で、かつ素直に従うことが良しとされるため、自分で考える余地・判断する余地がかなり少なくなります。
それが続くと、自分で考える力が弱くなっていきます。

体育会の特徴として、
・上下関係が厳しい
・監督・コーチの指導が厳しい
・練習が厳しい
・ルールや決まりが厳しい
というものがあります。

耐えることが美徳。そうなると、疑うことや考えることへの力が弱くなります。
競技の面では考えることはできるのですが、それ以外の面となると、途端に考えることができない。体育会人材にはそういった特徴もあると感じます。
この特徴は、「言われたことをやる」という仕事や組織では機能しますが、多くの仕事や組織では、「自分で考えて動く」ことが求められるため、この面で言うと、体育会人材は決して良い人材とは言えません。

■体育会人材をどう見極めれば良いか?
ここまで見て頂いた通り、体育会人材には良い面・良くない面があります。
言い換えれば、良い面を持った体育会人材をいかに見つけ出すことができるかにかかっていると言えます。

では、どのように見極めれば良いのでしょうか?
見極めのポイントは、「自分で決めて動いていたか?流されて動いていたか?」
私自身が体育会に身を置いていたからわかることなのですが、「まわりより少しうまかったから」、「推薦が取れたから」、「他のことをやるよりおもしろかったから」といった理由で競技を続けている学生も多くいました。言い換えれば、具体的な個人目標を設定して競技に取り組んでいる学生は多くありません。
自分で目標を決めると、もちろんすぐに達成できるわけがなく、簡単にはうまくいきません。そうした際に、何がうまくいっていて、何がうまくいっていないかという振り返りをして、次の一手を考え、また練習をするサイクルが始まります。
サッカー元日本代表の中村俊輔さんや現NBAプレーヤーの八村塁選手、メジャーリーガーの大谷翔平選手が、毎日、練習や試合が終わった後に、競技のノートをつけていたのは有名な話です。
こうした行動を続けることで、自分自身を客観的にみることができるようになり、課題に気づき、そのための有効なアプローチを考える力が身に付きます。
この行動特性があると、すぐに成果を上げることは難しいのですが、着実に成長し、成果を上げられる人材になれる可能性が高まります。
そういったことから、体育会人材の学生に対して、次のような質問をお勧めします。

・体育会の競技を続けるにあたって、チームや監督・コーチから与えられた目標ではなく、自分自身で具体的な目標を設定していたか?
・試合や練習後に、自身のプレーを振り返り、自身の課題を見つけ、次のアクションにつなげていたか?
・監督・コーチ・先輩からアドバイスをされた際、一度取り入れてみるが、うまくいかないと思ったら止める判断をしていたか?

体育会人材だからと期待して採用したのだが、ぜんぜん活躍しなかったということにならないように参考にして頂けると嬉しく思います。

金入 常郎


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