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「気遣い」の第一歩は、誰かの「気遣い」に気づくこと

ビジネスに活かす秘書力
2018.09.25

秘書という仕事は、「気くばりのプロ」「気遣いの達人」「気が利かなければつとまらない仕事」等と言われます。しかし私自身、決して「気がつく人」ではありませんでした。仕事で関わる経営者の方々や、各界の一流の方々、著名な方々は、細かなことに気づき、気配りされる達人ばかり。皆さまの細やな仕事ぶりを見ては、「私なんて・・・」と自己嫌悪に陥る日々でした。

以前、ある方からいただいたお手紙に感動したことがあります。

1月のことでした。ある会でお世話になった方がいて、私はそのお礼を、梅の絵柄の葉書に書いてお送りしたのです。

少しして、ご返事の手紙をいただきました。その会で、私との会話からご自身がお感じになったこと、私がお送りした礼状についてのお礼が、丁寧な言葉で綴られていました。そして、私が送った葉書の梅の絵柄から思いつかれたと、梅の絵を施した郷土のお品をお礼にお送りいただいたのです。

ハガキ一葉へのお返しに、ここまでなさる方がいるのかと、驚きを通り越して衝撃を受けました。その感動は何日も心に残って離れず、どうしてこんな心遣いができるのだろうと、そればかり考えていたほどです。

ある方に、このことをお話しました。そのお手紙に私がとても強く感銘を受けたこと、自分もこんな気遣いができるようになりたいが、遠く及ばないと思うことを、半ば悩み相談のように話したのです。

その時にいただいたアドバイスに、ハッとしました。

「そのお礼状の、どこにどう感動したのかを分析してみたいね。井出さんがそこまで感動したのだから、なぜ心が動いたのか具体的な理由があるんだよね」

心が動いたからには理由があるはず。そう聞いて私は、大切にしまっていたその手紙をもう一度取り出しました。改めて手紙を見返してみると、こんなことに気がつきました。

・手書きで、丁寧に書かれた字だった

・お会いした時、私が発した言葉がそのまま書いてあり、私との会話を覚えていてくださったことが伝わった

・私がしたことで、その方にどのような影響があったのかを具体的に述べた上で、お礼の言葉を書いていた

・互いの共通点を挙げていて、より親しみを覚えた

・同封した品について、なぜそれを送ったのかが説明されていた。こちらの行為(葉書が梅の絵柄であったこと)に気づき、それを受けての品(梅の絵を施したもの)であり、自分だけに向けられた特別な品であることが伝わった

・手紙が届くまで数週間空いたのだが、むしろその時間と手間をかけて、わざわざその品を用意してくださったことが感じられた

心に訴えた理由をこんな風に紐解くのは、書き手の立場に立ってみればあまり嬉しくないかもしれません。でも、単に「感動した」「嬉しかった」で済ませず、その理由をじっくり探して読み返したことで、その方がどれほど心を細やかに遣っているかを、より深く受け取ることができました。

私がお手紙やメールを書く時、何か品物を送る時、こうして教わったことが土台になっているのは言うまでもありません。

まずは自分がしてもらって嬉しかったこと、誰かがしてくれた気遣いを見つけることから始めてみませんか。ちょっとしたひと言、もらったメール、例え飴玉ひとつでも、それがなぜ嬉しかったのか、なぜ心が動いたのかまで考えてみると、自分の気づきの種がひとつ芽生えます。

そして、嬉しかったことは、相手にお礼を伝えましょう。なぜ嬉しかったのか、あなたが感じたことを素直な言葉で伝えれば、あなたの喜びが今度は相手を喜ばせることに繋がります。


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