突然ですがあなたは、エレベーターに乗ったら、「とじる」ボタンと「行先階」ボタン、どちらを先に押しますか?
「とじる」ボタンを連打するせっかちな人もいれば、「どっちを先にしたって、たいして変わらないよ」と細かいことにこだわらない鷹揚な人、色々なタイプの方がいらっしゃるでしょう。
仕事の段取りという観点で考えれば、「閉まる」ボタンを先に押すのが正解ということになります。なぜなら、ドアが閉まるまでに時間がかかるから。時間のかかるタスクから先に着手するのが、段取り術の鉄則です。
そもそも仕事の段取りとは、何でしょうか。
『目的を達成するために必要なタスクを洗い出し、最も効率よく行なうために手順を整え、手筈をつけること』と私は捉えています。
まずやるべきことは、目的を達成するために必要なタスクを洗い出すことです。
目的:エレベーターで1階から10階に行く
必要なタスク:
・上ボタンを押してエレベーターを呼ぶ
・エレベーターに乗る
・10階のボタンを押す
・とじるボタンを押す
・10階でドアが開いたら、エレベーターを降りる
必要なタスクとしては、こんなところでしょうか。
次に、洗い出したタスクを最も効率よく(ここでは「最も早く」と捉えてみましょう)ために、順番をつけて行くわけです。そこで最初の話に戻ります。
時間のかかるタスクである「とじる」ボタンをまず押して、それから「行先階」ボタンを押すのが、最も効率のよい仕事の段取りとなるわけです。
仕事の段取りを組む場合は、次の4つのステップで行ないます。
1.期限を明確にする
⇒いつまでにそれをやるのか、期限を明確にします。
2.必要なタスクを洗い出す
⇒一見単純に見える仕事も、細かなタスクの積み重ねによって行われます。必要なタスクをあらかじめ洗い出すことで、やるべきことが明確になり、モレのない確実な仕事の段取りができます。
3.手順(順番)を決める
⇒時間のかかる仕事を先にするなど、最も効率よく仕事を進めるための手順を決めていきます。
他にも、「人に依頼する仕事」「AがなければBができないなど、タスクそのものに手順があるもの」「相手への礼を欠いたり、不快感を与える恐れがあること」などは、手順が特に重要です。
4.スケジュールに落とす
⇒時間軸にタスクを入れ込み、いつ、何をするのかというスケジュールを決めていきます。スケジュールが決まったら、日々のTODOまで落とし込むことがポイントです。今日やるべきことにタスクが入っていてこそ、確実に完了することができるのです。
仕事でもプライベートでも、私たちの生活には、段取りが必要な場面がたくさんあります。段取りなんて考えず、目の前のことから、行き当たりばったりに対処していくという仕事の仕方では、一度にひとつのことしか処理できず、仕事量が増えていくにつれてやがて対応できなくなってしまいます。
ちょっとした作業でも、これはどんな段取りで進めれば、最も効率よく進められるかを考え、実行する。これが段取り力をつけるためのいわば「基礎編」です。
私たち秘書は、限られた時間のなかで、同時に複数の仕事をこなしていくのが日常です。突然の割り込みで入ってくる仕事もたくさんあります。それらを限られた時間の中で対処していくためには、仕事の段取りが欠かせないのです。