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ウイズ・コロナを乗り切る企業

小宮一慶のモノの見方・考え方
2020.12.08

新型コロナウイルスの第3波が日本を襲っています。今年の2月あたりから日本経済に大きな影響を与え続けたコロナウイルスですが、ウイズ・コロナの状況に慣れつつあると言っても旅行や飲食業、小売業など多くの業種に大きな影響を与え続けていることも、経営の現場を見ているものとして実感しています。
イベント業も大きな影響を受けている業種です。当社のお客さまで、宮崎にワン・ステップさんという会社があります。イベント会場などに、空気で膨らませる大きな遊具を貸し出すなどが主な仕事の会社です。もちろん、コロナの影響でイベントの自粛が続き、この会社も大きな影響を受けました。
しかし、半年ほど前のこのメルマガでもご紹介したケンタッキーフライドチキンの創業者カーネル・サンダースの言葉、「できることはすべてやれ、やるなら最善を尽くせ」を文字通りこの会社は実践し、苦境を脱しようと努力しています。
まず、日本でマスクが市場から消え、多くの人たちがマスク不足に困っていた春先に、ワン・ステップさんは、遊具製造での中国でのコネクションを活かし、マスクを大量に中国から輸入したのです。そして、そのマスクを、ほとんど利益を乗せることなく、お世話になったお客さまなどに販売しました。当社でも購入させてもらいとても助かりました。マスクを購入されたお客さまも同様だったと思います。そのことで、ワン・ステップさんでも従業員さんの雇用維持ができたということです。
そのことだけでもすごいと私は思っていたのですが、その後、同社が行ったことに驚きました。空気で膨らませる遊具を作るノウハウを生かし、空気で膨らませる「屋外用ウォークスルー消毒テント」や患者さんの待合や臨時のPCR検査場としても使える「医療用エアテント」、さらには、ウイルス患者さんを隔離する際に使う「陰圧室」までを販売するようになったのです。自社の強みを活かしたのです。
ピーター・ドラッカーは、自社の存在意義をベースとして、自社の強みと市場を分析することで、自社の方向づけを行うことが大切と述べていますが、ワン・ステップさんは、市場ニーズに自社の強みをどう生かせるかを考え抜いたのです。
日本経済や世界経済が厳しい時期は今後しばらく続くと思います。もちろん、ワクチンの開発も進んでおり希望は持てますが、それでも私たち企業経営に関わるものは、しばらくはこういう時期が続くという前提で、経営計画や戦略を考えなければなりません。
何度も言っているように、このような状況が続くことを前提に「1年分くらいの資金を確保する」ということを行うとともに、自社の強みを活かして、お客さまや社会に役立つことができないかを今一度、部下や仲間とともに考えることが大切です。困難な時は知恵を出すチャンスでもあるのです。


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