どのぐらい必要とするかの実施頻度は職種などにもよりますが、会議(さまざまな会議体や打ち合わせを含む)は仕事と切り離せない、必要不可欠なアイテムです。そのうえで、生産性は会議マネジメント如何によって雲泥の差となることがあります。
生産性とは、投入した資源に対してどれだけの成果を得られたかのことです。効果と効率の切り口で整理することもできます。
効果:目的や目標に対して得られた結果や成果の大きさ
効率:目的や目標を達成するために投入した資源(時間、労力、費用など)の少なさ
オンラインで行う会議のほうが、実地・対面で行う会議に比べて、効果の面で優れていると考える人は、基本的にいないはずです。オンラインでのやり取りは、実地・対面に比べて通信上の何らかのやりにくさがあるためです。
その中でも、所与のアジェンダに沿って報告を行うだけの会議であれば、実地・対面とオンラインとで効果はほぼ同じかもしれません。
それに対して、会議実施のためにかかる移動の時間、会場や移動の費用、労力の差を考えると、オンラインのほうが格段に効率が良いと言えます。イメージとしては、次の構図です。この構図では、トータルの生産性はオンライン形式のほうが高いということで、オンライン形式の採用可能性が高いと言えます。
効果:実地・対面 ≧ オンライン
効率:オンライン > 実地・対面
一方で、相手への理解を深める、意見交換しながら制約なく創造的なアイデア発散を目指すなどだと、どうでしょうか。おそらく多くの人が、オンラインによるコミュニケーション上の制約を理由に、実地・対面のほうが明らかに効果が高いとみなすはずです。
一方の効率はどうでしょうか。時間や費用の面ではやはりオンラインのほうが優れていますが、「こんなにやり取りしにくい環境で話すぐらいなら、会って話したほうが早い」などのストレスを生むようであれば、トータルで実地・対面と同等程度かもしれません。例えるなら以下のようなイメージです。
効果:実地・対面 > オンライン
効率:オンライン ≧ 実地・対面
>や≧の度合いの大きさがどれぐらいかによって、今回はどちらの形式が適してそうか、選ばれるというわけです。
また、会議による成果物は、その会議を通して導き出すことができた結論や決定事項など「モノ(コト)」に関するものだけではありません。その会議を通してメンバーが当該テーマに対して能動的になった、思考力が高まったなど、「ヒト」に関する望ましい状態の変化も、成果物の一部だと言えます。
「余計な会話などの隙が一切なく、最短時間・最速で結論を出せた」会議より、「回り道の会話が多く具体的な結論が何も出ない会議だったが、「あの日の会議がこのメンバーの相互理解の原点になった」と後日振り返って言えるようになる会議だったと、全員が確信できる時間だった」という会議のほうが、効果が高いかもしれません。
効果の判定は、その会議の設置目的と、「モノ」「ヒト」の面でどういう状態になって会議を終わりたいかの到達目標次第、ということです。そして、その到達目標に向かって会議が進んでいくかどうかは、進行の仕方や発言の仕方、メンバーの相互のかかわり方によって変わっていきます。
さきほど、「効率」で「カネ」「時間」の要素が登場しました。
このように考えてみると、会議の実施形態や会議マネジメントは、「ヒト・モノ・カネ・時間」の経営資源を総動員しながら、その効果と効率の最適解を目指していく営みだと言うことができそうです。