「経営の歩留まり」という考え方 | コンサルタントコラム | 中堅・中小企業向け経営コンサルティングの小宮コンサルタンツ
loginKC会員専用お問い合わせ

コンサルタントコラム

ホームchevron_rightコンサルタントコラムchevron_right「経営の歩留まり」という考え方

「経営の歩留まり」という考え方

経営のヒント
2025.06.26

経営者やリーダーの皆さんは誰しも、自身の考え・思い(理念やビジョンと置き換えてもよいでしょう)がなかなか経営や事業の成果につながらないという実感を持たれているのではないでしょうか。

 そこで、今回は(KCクラブとしては最後になりますが)、「経営の歩留まり」について書いてみたいと思います。

「経営の歩留まり」ってなんだ?と思われる方がほとんどだと思いますので、簡単に説明してみたいと思います。一言で言えば、考え・思いが成果につながるまでのプロセスを分解して考える姿勢と言えるかもしれません。このアイディアを取り入れるだけで、かなり成果に向けたピントが合ってきます。

 そもそも「歩留まり」とは、「投入した原材料や素材に対して、実際に得られた完成品の割合」を示します。

これを経営やコミュニケーションについて考えると、上記の
「投入した原材料や素材」  伝えたこと・内容であり、
「実際に得られた完成品」  それによって実現した成果と言えます。

皆さんの考え・思い(理念やビジョン)が経営や事業の成果につながるには、4つの段階があります。

皆さんの考え・思いがあること。そして、それが行動につながれば成果につながることであること。
上記、が従業員・メンバーの皆さんに理解されていること。
これらが、従業員・メンバーの皆さんに感情的にも受け入れられていること。
これらが、実行されていること。 

このどれかが滞ると、皆さんの考え・思いは成果につながりません。この滞りが経営のボトルネックと言えます。

経営のボトルネックは、主に4つの壁として現れます:「内容の壁」「理解の壁」「感情的の壁」「行動の壁」です。

どれもがそれぞれ成果に影響していることもありますが、特に、その中の何かがボトルネックとして、成果を遠ざけているケースがほとんどです。

それぞれ見ていくと、
の、皆さんの考え・思いがありつつも、それが具体的でない、または考え方や戦略が外れている場合などは、「内容の壁」といって、そもそも経営者やリーダーの皆さん自身の考え・思いを磨いていく必要があります。

の理解がされていない、という場合は「理解の壁」に該当します。ただ、これはの皆さんの考え・思いが明確であることが前提になります。「内容の壁」に当たっているのに、理解をしてくれない従業員・メンバーのせいにしているケースが良く見受けられますが、自身の考え・思いが十分に詰め切れているのか、理解されやすいものになっているのか、行動までつなげられるものになっているのか、という点、そして、一回だけではなく、何度も伝えているのか、伝える努力ができているのか、という点を振り返る必要があります。

感情的に受け入れられない、という点については、経営者やリーダーの皆さんの日頃の行いや人間性といったことや、従業員・メンバーの方にとって、成果を生むこと・変化することについての抵抗(現状維持バイアスなど)が存在しないか、というご自身の課題と、従業員・メンバーの課題を両面で見る必要があります。また、皆さんに感情的にも受け入れてもらえる魅力のある考え・思いであるのか、という点もとても大切です。

このような「感情の壁」は、従業員・メンバーの方との対話を重ねることや、共に考え・思いを共有するプロセスを通して解消されることが多いです。ご自身だけで考えたことを押し付けようとしても、なかなか難しいケースが多い、ということです。

これらの壁を突破しても、実行されない「行動の壁」については、たとえば人員体制が実行を可能にする体制になっているのか、また、個々人の生産性の課題や、タイムマネジメントのスキルが不足しているなど、様々な課題が考えられます。

このように、「経営の歩留まり」という考え方に落とし込んで、4つの壁で整理して考えることによって、それぞれなんの壁がボトルネックなのか、そして、そのボトルネックを解消するためにはどのような取り組みが必要なのか、といった整理の仕方をすると、徐々に考え・思いが成果に結びついてくることになるでしょう。

私の経験上ですが、まずは「内容の壁」つまり、皆さん自身の考え・思いが明確でないケースがかなり多いように見受けられます。

まずは、ご自身の考え・思いが成果につながるほどのものになっているのか、これらが理解され、感情的にも受け入れられ、そして行動されれば、成果が出るものになるのか、と自問自答してみることをお勧めします。

この考え方を意識することで、経営の成果や日常のコミュニケーションの質も大きく向上します。相手に何かを伝える際には、以下のような点に注意を払うことが重要です:

  1. 伝えたい内容を事前に整理し、明確にする
  2. 相手の知識レベルや背景を考慮して、適切な説明方法を選ぶ
  3. 相手の気持ちや立場に配慮しながら対話を進める
  4. 具体的なアクションプランや次のステップを示す

このように、経営の歩留まりの考え方は、ビジネスを超えて、日常のコミュニケーションでも応用できます。

是非、経営の歩留まりコミュニケーションの歩留まり を日常で意識してみていただくと意外な効果が見えてきます。是非、ご参考いただければと思います。


お問い合わせCONTACT US

コンサルティング、セミナー、KC会員についてなど、
お気軽にご相談ください。