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国会日程の全体像とその課題

時事トピック
2025.11.11

1021日に高市新政権が発足しました。ASEAN首脳会議やトランプ米大統領の訪日など外交ウィークを経て、114日から就任後初の国会論戦に臨んでいます。この時期の国会は「臨時国会」と呼ばれるものですが、前提として1年間の国会日程の全体像をご存じでしょうか。自分自身、しっかりと理解できていなかった部分がありましたので、今回本項で整理してみたいと思います。

国会は大きく、「通常国会」と「臨時国会」に分かれています。(本項では、特別国会や参議院の緊急集会については割愛します)

「通常国会」は、毎年1回開かれることが憲法で定められており、1月に召集し、会期は150日間と国会法で定められています(1回の延長が可能)。通常国会冒頭の本会議では、首相の施政方針演説に続き、外相による外交演説、財務相による財政演説、経済財政政策担当相による経済演説が行われます。これら「政府4演説」に対し、与野党の議員らが首相や関係閣僚に答弁を求める「代表質問」が実施されます。その後の「予算委員会」では、政府が提出した新年度の予算案や国政の重要事項に関し、議員らと首相や閣僚との間で議論がなされます。
通常国会は、予算成立を目的とした3月頃までが「前半国会」、その他重要事項を審議する6月頃までが「後半国会」と呼ばれます。
なお予算編成に関しては、前年の夏頃より、各省庁から財務省への概算要求という形で始まり、予算編成作業が進みます。その後12月頃に閣議決定された予算案が国会に提出され、翌年1月からの通常国会で審議されることとなります。 

「臨時国会」は、追加の補正予算や、通常国会で処理できなかった法案等を審議するため、毎年秋に開かれます。そのため目下、11月~12月にかけて予算編成が行われる補正予算を中心に議論が行われています。
なぜ毎年開かれるのに「臨時国会」なのでしょうか。実は、憲法で臨時国会の召集条件が定められているのです。内閣、あるいは衆参どちらかの議院の総議員の4分の1以上から要求があった場合、臨時国会が召集されることとなっています。そのため、一部の例外(選挙に伴う首班指名のため開催される特別国会が臨時国会を代替した場合など)を除き、例年12月頃まで臨時国会が開かれることとなるのです。

ここまで日本の国会日程を見てきましたが、通常国会の会期150日は、他の主要国と比べると短い期間となっています。アメリカやイギリスは事実上1年間にわたり議会が開かれており、ドイツのように会期がない国もあります。原則として、会期中に議決されなかった法案は廃案となるため、例えば今期に法案を成立させたい与党と廃案に持ち込みたい野党との間で、審議の引き延ばしなど日程をめぐる駆け引きが毎度発生することとなるのです。

短い会期の中で、日程の駆け引きがあればますます実質的な議論の時間が短くなり、あるべき熟議から遠ざかってしまいかねません。通常国会+臨時国会というあり方が恒久化しているのであれば、国会会期の通年化も選択肢になるのではないでしょうか。改憲の必要はなく国会法の改正で対応できるため、ハードルは高くないはずです。新政権発足後、議員定数の削減など、国会のあり方そのものに注目が集まっています。これを機に、国会の会期に関しても、見直しの議論があっても良いのではないかと考えます。

小宮 弘成

 


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