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「練習は嘘をつかないって言葉があるけど、頭を使って練習しないと普通に嘘つくよ」

今週の「言葉」
2025.11.25

今週の言葉は、大リーグサンディエゴパドレス所属のダルビッシュ有選手の言葉です。

普段、何気なく使っている言葉の中に「努力する」というものがあります。

取引先の社員研修を担当する中で、今後に向けてのアクションを社員の方々が宣言するプログラムの際に「●●について努力していきます」と発表される方も少なくありません。

また、小学生の野球のクラブチームの父兄コーチをやっているのですが、チームの監督から「努力が必要」と選手に声がかけられる場面もあります。

努力とは何をすることなのか、努力という言葉をどう捉えどう使っていけばいいかについて、ダルビッシュ選手も含めた著名人の言葉を引用しながら考えたことをお伝えできればと思います。

■「努力」の言語化①~イチローさんの努力の考え方~
まず考えたいのが「努力とはどういう意味なのか?」ということです。辞書で調べると「ある目的のために力を尽くして励むこと」とあります。「力を尽くして励む」というのは、ちょっと抽象度が高めな気がします。「力を尽くして励む」をどう解釈すれば良いのでしょうか?

そこで、イチローさんが努力について語った次の記事を見つけました。

「これまでに、これだけは絶対誰にも負けていないと胸を張って言える努力って何?」と質問をするとイチロー選手は次のように答えてくれました。「高校の時に寮に入っていた3年間、僕は寝る前の10分間素振りをしていました。そしてそれを1年365日、3年間欠かさず続けました。それが僕の誰にも負けないと思える努力です」この話には後日談がある。つい最近のことだが、私の講演を聞いてくれていたイチロー選手の高校時代の先輩に声を掛けられ、その講演で触れた「10分間の素振り」について話題が及んだ。「やっぱり本当なんですか」と尋ねると、その答えに私は驚いた。「10分間の素振りね、あれは最低10分だからね。やり続けると1時間でも2時間でもやっていましたよ」。(致知出版社 奥村幸治さんの記事より)

この記事からイチローさんが考える努力とは、「自分が決めたことをやりぬくこと・やり切ること」と言えるのではないかと思います。

■「努力」の言語化②~ダルビッシュ選手の努力の考え方~
努力についての言語化のために記事を探していたところ、ダルビッシュ選手が大谷翔平選手のすごさを語る映像を見つけました。そこで次のような話をしていました。

「ホームランがすごい。ピッチャーもできてすごい。もちろんそう。でも、僕が見てるのはそこじゃない。その裏でやっていること。その裏でどんなトレーニングをやっているか。どんな栄養をとっているのか。トレーニングの組み方、栄養の取り方、そういうところを見ている。それを知っているから大谷くんがすごいホームランを打っても驚かない。だってそのための努力をしているから。」(高木豊のBASEBALL CHANNELより)

ダルビッシュ選手の考える努力とは、「成果を出すための行動の積み重ね」であり、「すぐに結果が出ないことへの行動の積み重ね」と言えるのではないでしょうか。

イチローさんとダルビッシュ選手の努力の考え方を併せると、努力とは「すぐに結果が出ないことに対してでも、自分が決めたことをやり抜き、行動を積み重ねること」と言えそうです。

■努力は裏切らないのか?
次に考えてみたいのは、「努力は裏切らないのか?」ということです。結果・成果を出すために努力をするのですが、努力をすれば、必ず結果・成果は出るのでしょうか?

それについて、ダルビッシュ選手の言葉を見つけました。

「練習は嘘をつかないって言葉があるけど、頭を使って練習しないと普通に嘘つくよ。」(ダルビッシュ選手のX(旧Twitter)より)

この発言、「練習」という言葉を「努力」と置き換えても良いのではないかと思います。努力の方向性が間違っていては、無駄になることもあると解釈できます。

弊社代表の小宮は、「正しい努力の積み重ね」という話の中で、次のような話をしています。

「サッカー選手が野球の練習の努力をしてもサッカーはうまくならない。サッカー選手は、サッカーの練習をする努力が必要。経営も一緒。営業がうまくなる努力をしても、経理がうまくなる努力をしても、経営はうまくならない。経営という独立した仕事があり、経営とは何かを理解して、そのための努力を積み重ねければ、経営はうまくならない。」(小宮書籍「経営者の教科書」より)

「経営とは何か?」ということについて、しっかりと定義できている人は意外と少ない印象があるだけに、小宮が言っていることはとても腑に落ちます。また、ダルビッシュ選手が言うように、ちゃんと物事を考えてないと間違った方向に努力をしてしまっていたということは、日常の中でも意外に多いのではないかと感じます。

■「努力をしている」は誰が決める?
「自分は努力をしましたが、うまくいきませんでした」
このようなことを聞くことがあります。

「努力をしている」というのは、誰が決めるのでしょうか?

そのことについて、大リーグのヤンキースで活躍した松井秀喜さんがあるTV番組の中で次のようなコメントを残しています。

「自分ががんばっていると思っていなくても、他人がすごくがんばっていると思う状態。これが良い状態だと思います。」

この松井秀喜さんの言葉から「努力は周りが決めること」であり、いくら自分が努力してますと言っても、まわりからすごいと思われなければ努力のうちに入らないということだと解釈できます。努力しているって自分で思っているうちは、なかなか成果にはつながらないものなのかもしれません。

数々の文学賞を受賞し、昭和の文豪と呼ばれた井上靖氏は、努力について次のような言葉を残しています。

「努力する人は希望を語り、怠ける人は不満を語る」

努力をしている本人はおそらく努力をしているという感覚を持っておらず、そこに悲壮感はなく、現状を良くしよう・状況を良くしようという方向に行動しているだけ。でもまわりは姿を見て、すごい努力をしていると感じるということではないかと解釈します。

今回、「努力」ということについて考えてみましたが、「努力」という言葉の重みを実感しました。皆さんはいかがでしょうか?

私自身は、まわりから努力をしていると感じてもらえる人間でありたいと願うとともに、そうなれるように自分が決めたことをやり抜き、そのレベルをしっかりと上げていきたいと思います。

金入 常郎

 


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