新しい年を迎えました。今年もよろしくお願いいたします。
今回は日本経済についてお話しします。今年の日本経済の大きな懸念はインフレが長引くことです。現状、3%程度のインフレ率ですが、それがしばらく続くと考えられます。3%程度のインフレなら、それほどの心配はないと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、問題は、賃金(名目賃金)がインフレ率に勝つほど上昇していないことです。つまり、名目賃金からインフレ率を差し引いた「実質賃金」がマイナスの状況が昨年も続き、それが、今年も継続する懸念があるのです。
そういった点で、春闘がどういうような結果となるかが注目です。昨年同様の賃金上昇が起こるかどうかです。昨年は大企業で5%ほどの賃上げが行われましたが、それでも日本全体で見れば、先にも述べたように、実質賃金のマイナスが続いたのです。
円安も大きく物価には影響を及ぼすので、インフレ抑制や円安阻止のために、昨年12月に日銀は政策金利をそれまでの0.5%から0.75%に引き上げましたが、今のところそれほどの効果は出ていません。
そのことに関連して、今年は金利が上昇するでしょう。現状のインフレ率や円安を考えれば、政策金利はさらに上昇することが予想されます。したがって、主に政策金利に連動して動く短期金利はさらなる上昇が予想されます。企業の短期借り入れや変動型住宅ローン金利が上昇します。今年末の政策金利は、1.25%ではないかと予想しています。米国の短期金利は低下することが予想され、現状よりは少し円高気味に動くと考えます。
そして、日本では長期金利も上がります。10年国債利回りが、年初に2.1%を超えましたが、さらなる上昇が予想されます。理由は、ひとつは、短期金利の上昇に伴って長期金利が上がりやすいことと、高市政権の「責任ある積極財政」の「責任ある」の部分への投資家などからの評価が低く、財政拡大懸念から長期金利が上昇するものです。10年国債利回りは3%を目指すと考えられます。企業にとっては長期金利の上昇は、設備投資抑制に働き、個人でこれから住宅を購入する人の固定金利も上昇することとなります。
金利の上昇は、もちろん、預金や債券の保有者には朗報です。そして、それでなくても格差が開きつつある中で、さらに格差が開くこととなります。
さらなる懸念材料は、対中国関係です。高市首相の「存立危機」発言から、日中関係は大きく冷え込みました。よく出張する大阪では、中国人観光客が減ったという話をよく聞きます。一部の百貨店では免税品の売上にすでに影響が出始めています。レアアースなどの戦略物資の調達も心配です。
さらに、中国は台湾への圧力を以前にも増して強めています。おそらく中国は、高市首相の発言を奇貨として、日本への圧力を強め続けると考えられます。そうすると、中国からの観光客の減少だけでなく、中国とビジネスを行っている企業にも、大小の差はあれ、影響が及びそれが長引くことが懸念されます。
日本全体を見れば、企業業績はまずまずで、景気は現状程度を維持すると考えますが、実質賃金や中国問題など、懸念材料は決して少なくありません。
小宮 一慶