日曜日に衆議院議員選挙が行われました。結果は、各マスコミの予想通り、自民党が圧勝しました。
今回のメルマガでは、総選挙を踏まえて、短期、中長期的な今後の日本の状況を考えてみます。
まず、与党が圧勝したことで政局が安定し、予算案などが可決されやすくなります。そして「責任ある積極財政」の、それでなくとも「責任ある」の部分が以前から消えかけていたものがさらに進み、「積極財政」だけが前面に打ち出されることとなります。短期的には株高が進むと考えられます。
しかし、弊害も大きくなるでしょう。
消費税減税を自民党はじめ各党は主張しました。公約の実現に向けて議論を進めると考えられますが、大きな問題があります。ひとつは財源です。5兆円程度は必要と考えられていますが、対名目GDP比で先進国中最悪の財政状況では、財源の確保策を間違えれば、先に述べた積極財政ともあいまって、それでなくとも上がった長期金利がさらに上がる可能性があります。昨年初には1.2%程度だった新発10年国債利回りが、一時2.3%を超えました。企業の設備投資や借入返済には重荷になりつつあります。もちろん今後固定金利で住宅ローンを借りる人たちにも大きな影響が出ます。
そして、何よりも問題なのは、消費税は、社会保障をカバーする目的で徴収されている税金だということです。社会保障の経済的な担い手である生産年齢人口が今後もますます減少することが予想される一方、現状約30%の高齢者比率は40%以上まで上昇します。医療、介護、年金などの社会保障費が急増することが明らかなのに、社会保障のための税を減額するという発想がよく分かりません。
今回の総選挙で、ほとんどの党が、消費税減税を叫びながら、社会保障には触れなかったのは偶然ではありません。将来の医療や介護、年金の水準が大きく落ちることが心配です。
一方、インフレが続く中、実質賃金がマイナスの状況が続きますが、こちらも消費税減税だけでは解決が見えません。賃上げが継続的に続く必要がありますが、これはなかなか容易なことではないことは明らかです。
中長期的には、日本人だけなら毎年90万人ほどの人口減少が起こり、それにともない地方の衰退が加速しています。さらには、「世代間扶助」の美名のもと、減少している若い人たちに過度の負担をかけている社会保障の自転車操業の問題も全く解決策が見えません。
団塊の世代でひと学年最大で270万人、その子供世代である団塊ジュニアで209万人という出生数があったのが、今や70万人を切っているのです。何度も述べますが、そんな中、社会保障財源に充てられるべき消費税を下げるということを与党はじめ各党が声高に叫ぶことなど、開いた口がふさがらないのは私だけでしょうか。
それにともなった財政赤字の問題も、政府は国債費を除く収支である「プライマリーバランス」の均衡も早々と放棄してしまっています。そんな状態での「積極財政」です。
この国の衰退は明らかで、失われた30年とも言われていますが、その間、国の経済規模を表すドル建てでのGDPも2位から、中国、ドイツに抜かれ、今年はインドにも抜かれ5位になろうとしています。そして、このままでは人口減少、高齢化の中ますますこの国の衰退が予想されます。
高市首相が続投することで、中国との関係など国際情勢も心配です。
総選挙は終わりましたが、日本の現状や将来を、現実を直視しながら真剣に考えることが大切なことは言うまでもありません。
小宮 一慶