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健康な歯を抜いてまでお客さまの立場になる「プロ根性」

知恵のバトン
2021.05.11

先日の日経新聞の夕刊に伊藤忠商事CEO岡藤さんの「プロとは何か」というコラムが掲載されていました。

グループの中に高齢者専門のお弁当を宅配する会社があり、その会社の34歳の社長がお年寄りがどんな気持ちで弁当を食べるかを自ら体験するために、健康な歯を7本抜いたというエピソードです。

 

仕事柄、「お客さま第一」という言葉をよく聞きます。

しかし、お客さま第一を単純にお客さまに言われたことをやることだと勘違いしている方が多いと感じます。お客さまが言っていることが常にお客さまにとってベストなことかというと必ずしもそういう訳ではありません。本当の意味でのお客さま第一とは、自分がお客さまだったら何をしてもらうことが一番嬉しいのかを、お客さまの立場に立って考えることです。

 

数年前にセミナーで帯広に行った時の話です。23日の合宿を終え、市内のお寿司屋さんで軽い打ち上げをしていました。一通り食事も終わったので、お寿司屋さんから帯広空港までタクシーで移動しようと思い、タクシー会社に電話し受付の女性に「タクシー2台お願いします。」と伝えました。すると「何名でどちらに行かれますか?」と確認されたので、6名で帯広空港まで行く旨を伝えました。それに対し、その女性は「6名で同じ場所に行くのであればジャンボタクシーはいかがでしょうか?その方が料金も安く皆さんでお話もできますよ。」と案内してくれました。私たちはその提案を受け、安く楽しく帯広空港まで移動することができました。

私としては、タクシーを2台手配してくれれば何の文句もありませんでした。なぜならお客さまである私が指示したことをキッチリ叶えてくれたからです。しかし、私にとって自分が指示したタクシー2台よりも、もっと良いことがあるということをこの受付の女性は提案してくれました。

 

お客さまは必ずしもその分野のプロではありません。お客さまの状況をしっかり踏まえつつ、プロとしての知識とスキルをフル活用しお客さまにとって一番価値のある商品・サービスを提供するのが本当の意味でのプロではないでしょうか。

 

この岡藤さんのコラムで出ている社長のやり方自体は、なかなか真似できるものではありません。しかしお客さまの視座に立って求められていることを考えるという姿勢は「プロ根性」の極みだと思います。商売人としてこちらの都合だけでなく、相手の立場に立って物事を考えるということの大切さを改めて実感しました。


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