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推薦図書:「断絶の時代」(P.F.ドラッカー著)

経営のヒント
2021.10.08

赤表紙のドラッカー全集がございますが、その第7巻が本著「断絶の時代」になります。
1969年の著作ですが、1913年(第一次世界大戦の前年)から1968年までは1913年の延長線上の世界であったのに対して、その後の世界は全く様相が違う世界になる、ということで「断絶の時代」、というタイトルとなっています。

非常に多岐に渡った内容ですので、本書は一言で言い表すことは難しいのですが、やはり私が印象に残ったのはこれからは「知識の時代」に移行し、知識こそが価値を生み出す時代となる、というところです。

それは、本書発刊から52年が経った今、まさにその未来が実現しているのではないかと思います。
デジタル化やデジタルによるビジネス変革が実現するDX等、まさに知識による創意工夫や、知識そのものが高い付加価値を実現する時代が到来しています。

 

本書では、知識の時代を前提として、政府や組織、学校の在り方、また教育や仕事の在り方等が大きく変化していくことを、多角的に分析しています。
私はこれを読みながら、日本が成長できていない、また相対的には衰退している原因として、圧倒的に教育にかける人材、コストが足りないのではないかと改めて考えました。

それは、成人までの教育に関することだけではありません。ドラッカーは社会に出た後も大学に戻り、知識をブラッシュアップする事の重要さを述べています。むしろ、社会に出て経験をしてからこそ、知識が活きていくとさえ書いています。そして、新しい知識を得て、また社会で新しい成果を出していくのです。

 

まさに今問題となっているリスキニングと同じ問題意識です。最近は新聞でもよく取り上げられますが、日本は先進国の中でもリスキングにかける時間やコスト等が少ないと言われています。
その結果、新しいビジネスへの移行が進まないとも指摘されています。

子供の教育格差解消や、思考力を重視した教育プログラムの見直しも含め、この国は全世代を対象とした抜本的な教育改革が、この「知識の時代」を生き抜くためには必要なのでは、と感じます。その事により一時的に財政が逼迫したとしても、教育は、その教育を受けた人により新しい付加価値が生まれる投資です。失われたのが30年近くであるのなら、同じくらいの期間、国を傾けてでも教育に投資することが必要なのでは、と考えます。

 

本書は、「知識の時代」をこれから生き抜くために、我々が何をなすべきなのか考えさせられる一冊です。


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