4月から新年度が始まりましたね。
新卒で新入社員を迎え入れた企業様も多いのではないでしょうか。
現職の会社では、新卒採用は行なっていないのですが、以前働いていた会社では、新卒採用を積極的に行なっていて、4月になると意欲が高く、やる気に満ちた新入社員と接することで、刺激を受け、気持ちを新たにしていたことを思い出します。
さて、今回のテーマですが、新卒社員が仕事を楽しめるかどうかの「始めの分岐点」はどこかということについて考えてみたいと思います。
■入社1年目で辞める新卒社員
近年、新卒で入社した社員が1年ほどで辞めてしまうというケースを耳にすることがよくあります。
以前であれば、3年まではがんばり、それ以降に辞めるというケースが多かったと感じます。
この状態をつくっているのは「社会人1年目の壁」を乗り越えられない新入社員が多くいるということだと私は考えています。
以前よりも早くに辞めてしまう外部環境要因としては、転職がしやすくなっている点が挙げられます。
その影響から「大変だったら転職しよう」、「思っているのと違っていたら転職しよう」という判断につながりやすくなっている背景があると考えます。
しかし、この判断は危険です。
本来であれば、乗り越えられるはずの壁を乗り越える前に辞めるという判断をしてしまうことによって、その壁を乗り越えることの難易度が上がり、なかなか職場で活躍することができないまま、転職を繰り返すということになりかねないからです。
■なぜ新卒1年目は大変なのか?
では今度は、新入社員目線で考えてみましょう。
新卒社員にとって、社会人1年目というのは、これまでの人生では体験をしたことがないくらいの苦労や大変さを感じる期間になります。それはなぜか?
次の3つの壁が同時にやってきて、それを乗り越えなければならないからです。
①新しいこと(新しい知識・技術・経験)を覚える壁
②新しい生活の壁
③新しい人たちとの関係づくりの壁
これまでの人生で、この3つの壁が一緒に同時にやってくる経験はありませんでした。しかも、その量が多い。
もちろん、学生時代とのギャップも大きいため、なおさら大変さを感じます。
新入社員の方々は、先が見えない中、何でこんなに大変なのかということが理解できていないことが多く、その原因を「この会社が悪いからだ」、「この仕事が良くないからだ」と会社や仕事のせいにしがちです。
だからこそ、この3つの壁のことをしっかりと意識できていれば、何を乗り越えれば良いかが明確になって、迷わず前に進んでいけると考えるのです。
■特に①の「新しいことを覚える」が大事
「新しいことを覚える=仕事の中でできることを増える」ということ。
「できることが増える」ということは「できなかったことができるようになる」ということ。
そうなると、どんな気持ちになるか?
できるようになったという達成感が持て嬉しくなります。気持ちが前向きになります。そうすると、また新しいことができるようになりたいと思うようになります。
このサイクルに入っていくことがとても大切です。
このサイクルを回し続けることで、できることがどんどん増えていき、お客さまの役に立つことができるようになる。そうすると、お客さまから「有難う」の声が増え、さらに前向きな気持ちが膨らんでいきます。
仕事が楽しいと思えるようになっていきます。
この3つの壁、特に①の壁をしっかりと乗り越えることができるかどうかが、仕事を楽しむための始めの大きな分岐点だと考えます。
※ここからは新卒社員の方々への送る言葉とさせて頂ければと思います。
上記の①の壁を乗り越えるために必要なこと、コツは何なんでしょうか?
それは、たくさん「失敗」をすることです。
当然のことながら、初めてのことをやって、始めからうまくいくことはまれです。誰でも失敗します。しかし、失敗を恐れているとうまくなれません。まずはダメもとで開き直って行動を増やすということです。
そしてもう一つのコツがあります。
それは、「一度した失敗はしない」ということです。
行動すると多くの場面で失敗します。失敗した後に、必ず振り返る。
なぜうまくいかなかったのか、どうすればうまくできるのかを考える。
そして、次はこうしようという「次の一手」を考える。
この繰り返しで、できることが増えていきます。
大谷翔平選手が「野球ノート」を、八村塁選手が「バスケノート」をつけていた話は有名ですが、そこで彼らは振り返りを行い、次の成長へつなげていたのです。
社会人1年目の3つの壁を乗り越えるのは、大変なことではありますが、一方で、これまで多くの社会人の方が乗り越えてきた壁でもあります。上記のことを認識して、前に進んでもらえれば、必ず乗り越えられます。
新社会人の皆さん、ご入社おめでとうございます。
これからの社会での活躍を楽しみにしています。