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懐かしい本との再会

小宮一慶のモノの見方・考え方
2022.05.10

先日、家の片づけをしていたら、ずっと昔に読んで、長い間もう一度読みたいと思っていた本が偶然出てきました。

 

見つけ出した本は『新訳 菜根譚』(守屋洋著、PHP研究所)です。この本は、東京銀行に勤めていた時、留学から戻って配属されたシステム部時代の、私が20代後半に買った本です。その頃は少し人生に悩むことがあり、論語や仏教書などを読み漁っていたのですが、その中でたまたま手に取った一冊でした。

 

『菜根譚』は、今から約400年前の中国の明の時代に洪自誠という人が書いた本で、儒教や道教、そして仏教の内容を採り入れた実践的な生き方の本です。『論語』は「君子、かくあるべし」という意味合いが強いと思いますが、『菜根譚』はしなやかに、そしてしたたかに生きるにはどうすればいいかということを教えています。ある意味、高尚な処世術とも言えます。

 

たとえば、「小さな過失はとがめない、かくしごとはあばかない、古傷は忘れてやる。他人に対してこの三つのことを心がければ、自分の人格を高めるばかりでなく、人の恨みを買うこともない。」(『新訳 菜根譚』より)というようなことが書かれています。

 

私は『菜根譚』がとても気に入り、寝る前によく読みました。私は気に入った本があると同じ本を何度も読むのですが、この守屋先生の『新訳 菜根譚』も線を引きながら何度も何度も読みました。そして、私の生き方をある意味導いてくれた一冊であるとも言えます。

 

その後、この本は何度か引っ越しをしているうちに行方不明になってしまいました。別の『菜根譚』の本を何冊か買いましたが、やはり、守屋先生の本ほどしっくりきませんでした。

 

そして、30年ぶりくらいにこの本と再会したのです。線を多く引いてありますが、久しぶりに読み返してみると、やはりとても私の心にしっくりくるものがあり、一気に読み直しました。

 

はじめて読んだのが35年ほど前で、それから5年近くはよく読んだと思いますが、それ以降、30年ほどの空白がありました。その間には、転職や小宮コンサルタンツの立ち上げ、多くのお客さまとの出会い、大学教員、テレビ出演、そして150冊以上の本の出版など、さまざまな経験をしました。うれしかったことや辛かったことも少なからずありました。それらの年月や経験を経た後に再開した『新訳 菜根譚』は本当に新鮮なものがあります。以前より、より深く読めているとは言えませんが、多くのことを経験することで、著者や守屋先生の真意がより深く分かったような気がしています。今では、毎日、松下幸之助さんの『道をひらく』を読んだ後、5ページずつほどまた読むようになりました。とても味わい深い本です。


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