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二宮尊徳の教えから考える経営管理

経営のヒント
2022.05.13

皆様の会社では、予算・計画を立てられて、そのPDCAを回されているでしょうか?

企業経営において、予算・計画を立てる中では、次のようなパターンが多いのではないでしょうか。

 

それは、お客さまへの貢献強化による売上増加と、予算・計画に基づいたコストの適正化により、利益の創出を目指します。

そして、そこから生み出された利益は、環境変化等の危機への準備だったり、将来の成長に向けた原資となります。

 

そして、年度の中では、この予算・計画通りに進んでいるかどうかチェックし、もし予定通りでなければ必要な対応策を取組んでいきます。

 

こうした経営管理の考え、進め方を、日本において200年前に考え出し、実践した人がいました。

それは二宮尊徳です。二宮尊徳の事績を記録した「報徳記」を読むと、まさに上記と同じことが書かれており、現代の経営管理の模範にもなると感じます。

 

よく二宮尊徳の教え、また実践した取組みのキーワードとして、「分度」、「勤労」、「推譲」、「報徳」の4つが挙げられますが、私はこれに「倹約」を追加したいと思います。

そして、これらの取組みをまとめた改革パッケージは「仕法」と呼ばれていました。

 

それぞれの取組みキーワードについてみてみたいと思います。

 

まずは「分度」です。これは、目標とする収入と、収入の範囲内となるように支出を計画します(ちゃんと余剰も残るようにします)。つまり、現在の予算計画にあたるものです。今は予算計画を立てるのは一般的ですが、江戸時代には予め予算計画を立てること自体が革命的でもありました。

 

そして、その「分度」で立てた目標収入を実現する為に「勤労」にはげみます。当時は既存の田畑を耕作することの他、荒地開拓も含まれていました。今で言うと既存事業の他に新規事業を展開するようなものです。

 

収入の範囲内となるように支出を抑えるように、「倹約」をします。そうした経営により、利益を出していきます。

 

「推譲」とは、その生み出された利益を他に譲ること言います。利益を他者に施すことも「推譲」となりますが、将来に向けて利益を積み上げて行く事も「推譲」と考えられました(将来や子孫に譲るものである為)。今で言うと、将来の危機や成長投資に向けて内部留保するようなものです。

 

これら「分度」から「推譲」までの取組み基盤となるものが「報徳」です。これは過去からの先人、また現在生きている中で受けてきた恩に対して報いていくという事です。こうした精神からお客さまに対する貢献や、働く仲間に対する貢献の気持ちが生まれると思います。

 

二宮尊徳はこれらのことを実践することで、困窮や飢饉に苦しんでいた多くの農村を救済し、後世で「代表的日本人」の1人として評価されました。

 

また、二宮尊徳の教えは、明治以降の多くの名経営者に影響を与え、日本の経済成長の礎となりました。現代では残念ながら二宮尊徳の教えが知られているとは言えませんが、今一度、二宮尊徳の教えを踏まえながら企業、組織の経営管理を考えられればと思います。


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