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理念は大変なときこそ力を発揮する~ある管理職の言葉より~

知恵のバトン
2022.05.10

今回は「企業にとっての理念の力」について、ある事例をもとにお話をさせて頂ければと思います。

 

理念については、いろいろな定義があると思いますが、私は『その会社の土台となる考え方=理念』、『その理念を実現するために重要視する行動=行動指針』と定義しています。例えば、アマゾンドットコムの場合、理念は「地球上で最もお客さまを大切にする企業になること」行動指針は「Customer Obsession:お客さまを起点に考える」「It’s still Day One:毎日がはじまりの日、常に「Day One」の気持ちで行動する」というものを掲げていて、それらが社員の行動の基準となり、「地球上で最も品揃えが豊富な企業となる」というビジョンの実現に向けて邁進しています。いわば、理念や行動指針は、会社の考え方の基準となるものであり、仕事上における判断のよりどころになるものと考えています。

 

ある中小企業で企業理念をつくりたいという相談を受けました。背景として組織の規模が以前に比べ大きくなり、部署間の連携がうまく取れなくなり、衝突が増えているという状況でした。その原因として部署ごとの判断基準にズレがあると考え、会社としての判断基準をつくるべく企業理念づくりに取り組みたいということでした。

 

1年ほどかけて、経営者や幹部、管理職の方々を交え、企業理念と行動指針を作成。そして、その浸透策として、
・4半期ごとに行動指針の実践のための目標設定を実施
・週に1度、理念や行動指針の実践を課ごとに振り返る理念ミーティングの実施
・月に1度、社長・幹部・管理職が集まり、各課の理念ミーティングの実施状況や気づきの共有の実施
することにしました。

 

浸透策実施のリーダーとして動いてもらいという意図で、理念や行動指針の作成段階から管理職の方々を巻き込んだことが奏功し、比較的、順調に行動指針の浸透が進んでいきました。

 

浸透策の導入当初はコロナの影響もあり、例年に比べ、受注が減っている状況だったのですが、コロナが少し落ち着き始めると、これまで対応したことがないほどの受注の増加により、体制面で危機的な状況を迎えました。ものすごく忙しい状況が続いていたのですが、その中でも行動指針の目標設定や理念ミーティングについて工夫をしながら継続。そうした中、先日の月1回の理念ミーティングの実施状況や気づきの共有会において、ある管理職からこんな発言がありました。

 

「理念や行動指針に対する行動が少しずつできるようになってきたことで、今回のこの大変な状況を乗り越えることができたのだと感じている。」

 

この会社の理念は「自然とこぼれる笑顔をつくる」というもの。そして、行動指針は「自分やまわりが笑顔になるための行動をすること」。具体的には、あいさつをすることや、まわりを気遣って声掛けをすること、協力をすること、支え合うことなどです。

 

以前であれば、大変な状況になると、当然ではあるのですが、自分のことでいっぱいいっぱいになってしまい、まわりのことを気にして行動するということがなかなかできていませんでした。しかしながら、浸透策を実施し続けることで、まわりのことを気遣った行動が少しずつ増え、この大変な状況においても、その行動を引き起こすことができていたのです。

 

そして、その管理職の方は、こう続けました。
「大変な時こそ理念が大事になる。今後も引き続き、力を入れて浸透策を実施していきたい。」

 

とても頼もしい一言でした。今後もこの企業に注目していきたいと思います。


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