経営計画は経営者が一人で考えるべきであり、
かつ、経営幹部と一緒に考えるべきでもある、と私たちは考えます。
その両方を満たすことで、実行力のある経営計画を策定することが可能になります。
1.経営計画を経営者が一人で考える意味
経営の最終的な判断を行い、責任を持つのは経営者の役割です。
経営者自身がとことん、自社のミッションやビジョンを考え、どのような方向付けをしていくかを考え抜くことは大前提です。
衆知を集めたうえで、経営判断には最終的に意志が必要です。
その意志の軸を作るためにも、自分と向き合い、自社の経営について考え抜くために、毎年日々の仕事から離れた一人だけの時間を確保されている経営者の方もいらっしゃいます。
2. 経営計画を経営者と経営幹部が一緒に考える意味
一方で、会社という組織は、経営者一人の力では動かせません。
組織において社員一人ひとりを動かすためには、経営者だけでなく、現場を動かす幹部メンバーが経営計画に肚落ちし、現場の社員への日々の働きかけに落とし込んでいくことが必要です。
ただし、幹部であるミドルマネジメント層は、通常は業務の「執行」に意識を向けているものです。経営計画においては「経営」の目線で考えることが必要になります。
私たちは、経営計画の策定のプロセスに経営幹部を巻き込むべきであると考えます。
そのメリットを5つ紹介します。
<経営幹部に経営の視点を育てる>
ミッション・ビジョンの確認、外部環境や内部環境の分析から戦略を考え、意見を出し合うプロセスは、近視眼的なことではなく中長期の視点、市場の変化への俯瞰的な視点を獲得する機会です。社長の右腕、左腕を育てるためにも、一緒に経営について考える貴重な機会となります。
<経営幹部が肚落ちすることで実行力が上がる>
自身が策定プロセスに参画し意見を出ながら策定した経営計画ですから、経営幹部の理解度やコミットメントが非常に高い状態です。社員へ自分の言葉で伝えられるようになり、実行計画への落とし込みやその実現への推進力が向上します。
<経営者だけでは見えないことに気づく>
経営者は、自分自身が思っているよりも現場との距離がどうしても離れてしまうものです。
現場で起きている問題や課題について、お客さまのニーズについて、または眠っている機会について、衆知を集めることができます。
<部署間の協力度が上がる>
検討プロセスには、営業や生産等の部署や各事業部から幹部が集まります。その場で会社の経営、将来像について経営の視座で議論をすることで、お互いの部署への理解が進み、連携して課題を解決していこうという機運が醸成されていきます。
<経営者と幹部の「姿勢」が揃うことで社員の納得度が上がる>
経営者と経営幹部が同じ経営計画にコミットしていることで、社員へのメッセージにぶれがなくなります。社員の方たちにとっても、社が本気で目指しているものなのだということが伝わることで、そのコミットメントや意欲が高まることが期待できます。
3.どのように経営者と幹部が一緒に考えるか
経営計画を経営者が立てて、その実行プランを幹部に考えさせる、というケースもよくあります。ただし、この場合は、幹部側は「上から降りてきた」ものに対して、うまく帳尻が合うように考えるという受け身の思考回路になるリスクがあります。
これは、「一緒に考える」ことにはなっていません。
1.で述べたように、経営者は経営者として深く自身でまず考えることが必要です。
そのうえで、一緒に考えるためには、経営者と幹部が同じテーブルにつき、忌憚なく意見を出し合える環境をつくることが必要です。
皆さんの会社は経営陣の間で遠慮なく意見を出せるような環境が作れているでしょうか。
その環境づくりや議論のファシリテート、新しい視点の投入などは、第3者の力を借りることも有効です。私たちもご支援させて頂いております。
そして最後に、議論を尽くした後に最終的に方向付けを決定するのは経営者です。決めること、という最終的な経営の責任の本質も、このプロセスを一緒に共有した幹部だからこそ理解できるのです。